#
このコーナーも今回でついに最終回。
おそらく、ここまでたくさんの質問に答えてくれた
サッカー選手は初めてじゃないでしょうか。
こんな企画に乗ってくれたバッジョに感謝です。

インタビュー●高橋在 interview by Ari TAKAHASHI
写真●高橋在 photo by Ari TAKAHASHI

最も愛着を感じている町は?
(山口県 佐藤隆義さん)

これまで生活した(プレーした)町で最も愛着を感じている町は? あるいは最も印象に残っている町は?

ロベルト・バッジョ(以下R) ―― どの町でも快適に過ごせたと思っている。本当だよ。ファンと問題を引き起こしたことはないし、どの町も快適だった。どこの町でもとてもよくしてもらったよ。確かにボローニャでは、最高のシーズンを送れたし、フランスW杯への道を開いてくれた。でも、ボローニャだけじゃなく、どこの町も僕の人生にとって大切な場所だったよ。


マッツォーネ監督と
ケンカしたことはありますか?

(東京都 高坂藍さん)

君がマッツォーネと最高の関係にあることは誰でも知っているが、彼の下す決断、選択に一度も“ノー”と言ったことがないの?
あるいは、些細なことで言い合ったなんてことはないの?

R ―― 彼はそういう面において最高の人間なんだよ。彼は意見を言わせてくれるんだ。僕に意見を求めることさえあるよ。もちろん、彼には彼自身の考えがあり、彼の選択もある。だからといって、自分の意見を後生大事に抱えておくような人ではないんだ。常に前向きなのさ。おそらく、これが彼のパワーの源なんだと思う。彼は人間性にあふれ、選手にも大きな愛情を注いでくれる。例えば、僕に何かあると、汚い言葉を使ってでも、大声で僕を弁護してくれるんだ。ただし、監督として要求すべきことは要求する人だよ。優しさだけではチームを機能させることはできないからね。


ロビーのようなスター選手が
プロヴィンチャでプレーするのは、
どんな気分?

(福岡県 前川彰弘さん)
自分自身、ブレッシャのキャプテンとして、
チームに何をもたらしたと考えますか?

(千葉県 林田健志さん)
バッジョのキャリアにおける
ブレッシャの位置づけは?

(兵庫県 松前紀実さん)

若い頃を除けば、君はずっとビッグクラブでプレーしてきた。君みたいなスーパースターがプロヴィンチャでプレーするというのはどんな気分なのだろうか?

R ―― チームを選択する時点で、様々なケースを頭に入れておくことが大切だと思うんだ。そうすれば、リーグ戦の真最中にトラブルが生ずるなんてことはないだろう。僕はプロヴィンチャに入るということを、前もって頭に叩き込んださ。ビッグクラブと比べて、何ができなくて、何が可能になるのかということをね。そうやってすべてを予測してプロヴィンチャのクラブと契約したのさ。(プロヴィンチャでプレーするということは)当然、苦労もあるし、多くの汗を流さなければならないと思っていたさ。だが、同時に、セリエA残留という目標を達成した時の喜びもすごいだろうとは思っていたよ。

ブレッシャにおける、君のキャプテンとしての最大の貢献は何だったと思う?

R ―― それは僕の口からは言えないな。横柄だと思われちゃうからね。ただ、チームにプレーする喜びを持ち込んだと言えるかな。プレーをする喜びというのはどのチームにもあるものさ。もちろん、ブレッシャにもあった。ただ、僕は自分の経験をチームに吹き込んだのさ。ブレッシャの選手はみんな若い選手ばかりだから、僕がサッカー人生で経験してきたことを彼らに少しでも見せてあげたいと思っただけさ。もちろん、チームメイトはみんな真面目な選手だから、僕の実際の行動と言動をとてもよく理解してくれたと思っている。すべてチームのための行動だということをわかってくれたみたいだよ。

君のサッカー人生において、ブレッシャでのプレーはどういう意味合いを持つのかな?

R ―― まず第一に、今までとは違ったリーグ戦を経験したということ。これまでの目標は常にスクデットだった。でも昨シーズンはセリエA残留を目的として、それを達成した。楽ではなかったが、目標を達成したんだ。それに10ゴールを決めることができた。それなりに満足できる数字だよ。そしてチームメイトにとって、チームにとって有用な選手でいられた。すべての汗と努力は報われたと思っている。8、9カ月前の自分を考えると、よくぞここまでやったという感じだよ。

若い選手には、ビッグクラブの控えと
プロヴィンチャのレギュラー、
どっちを勧めますか?

(千葉県 伊田葉子さん)
バッジョの後継者には現在のところ、
誰が一番近い?

(埼玉県 廣川将さん)

若い選手にとってはビッグクラブに入って控え選手としての立場を耐えるほうが得策なのか、それともプロヴィンチャでレギュラーとしてプレーしたほうがいいのかな?

R ―― 今の若手には希望があると思うんだ。ビッグクラブでプレーしたいという気持ちもよく理解できる。自分の力、才能を試してみたいものなんだ。ただ、現在のサッカーは大きな変貌を遂げている。かつては、ビッグクラブであろうとプロヴィンチャであろうと、チームに入るということは、それだけでプレーする責任を負っていたんだ。

だが、今日のサッカーではそんな責任は存在しない。あるのは、高いレベルの20人、25人の選手との競争だよ。1人の選手が自分の能力を立証したいと思うなら、コンスタントにプレーする環境が必要になるんだ。3試合に1回だけ、それもラストの15分間だけプレーするという状況で、能力を発揮するなんてしょせん無理さ。だから、自分の能力を試すという意味では若者がビッグクラブに入るのも正しい選択だと思うけれど、自らを失う危険性も高いということを知っておくべきだね。毎年、ビッグクラブに何人のタレントが入り、何人がゲームに出られないかを調べてみるといい。僕としては小さなクラブに入って常時プレーすることを勧めるよ。ゲームをエンジョイしながらでも能力を立証することはできるんだから。

今の若者の中に“バッジョの後継者”と呼べる選手はいるかな?

R ―― イタリアには将来性のある若者の数は多いと思っている。問題は若者を信頼することができる監督がいるかどうかということなんだ。才能の芽を摘むことなく成長させ、プレーチャンスを与えられる監督がいるかどうかだよ。プレーチャンスがなかったら、どうやって能力を立証できるんだい?

繰り返すけど、いい素材を持った若手は多いと思うよ。僕自身、才能豊かな若手とプレーする機会に恵まれたからね。ピルロ、ボネーラ、ディアナ、フィリッピーニ兄弟とかね。いや、フィリッピーニは若手とは言えないか。身体が小さいから、どうしても若手と言ってしまいがちなんだ(笑)。どちらにせよ、彼らには高い潜在能力があると思っている。彼らはブレッシャのような小さなチームにいるからこそ、プレーチャンスを与えられ、その結果、その能力を立証できたんだ。他のチームで出場機会がそれほど与えられなかったとしたら、こうはいかなかったと思うよ。