トラップのサッカーへの情熱は
並大抵じゃないよ。今だって、
その情熱は衰えていないと思うな
ジジ・マイフレーディ監督の下で迎えたユーヴェでの最初のシーズン(90−91シーズン)、リーグ戦では33試合に出場して14ゴール、カップウィナーズカップでは9ゴール、コッパイタリアでも3ゴールを挙げて、君個人としては決して悪いシーズンではなかったよね。でも、ユーヴェはリーグ戦7位に終わり、チームとしては良い成績を残せなかった……。
ロベルト・バッジョ(以下R) ―― 結果としては、悪いシーズンだった。でも、開幕当初は良いゲームをしていたんだ。新しい選手がたくさんいたんだよ。僕も含めてね。だから、チームとして新しく作り直す必要があった。それでも前半戦は良い戦いができていたと思うよ。スクデット争いにも加わっていたし。でも、リーグ後半に入ってからは、いろいろな問題が起こったんだ。選手間の問題というより、選手と監督との問題だった。マイフレーディが新聞に載ることを喜ばない選手が何人かいたんだ。彼らにしてみれば、マイフレーディが主役になってしまうことが不満だったんだろうね。それで、フロントは方針を切り替えて、マイフレーディを解任することにしたんだよ。解任が決まった時点で、彼には監督としての能力を発揮するための場所も、時間も与えられなくなった。その結果が7位という不本意な成績だったんだ。
91−92 シーズンにはジョヴァンニ・トラパットーニがユーヴェのベンチに戻ってきた。君とトラップの最初の出会いだったんだよね。どんな印象だった?
R ―― 良い印象だったよ。彼は家庭的な雰囲気を持った人だからね。若い選手にとっては父親的な雰囲気を持った監督だった。怒りっぽい性格だったけれど、選手のためにベストを尽くすタイプの人だったよ。選手を刺激して、より多くのものを引き出すために怒っていたんだと思うな。
大きな情熱を持った監督でしょう?
R ―― トラップのサッカーへの情熱は並大抵じゃないよ。今だって、その情熱は衰えていないと思うな。それが彼の持ち味なんだよ。同時に、落ち着いた人だし、人間味にあふれた人だね。
カリスマ性を持った人物ということかな?
R ―― そのとおり。彼のカリスマ性はTVの画面からも伝わってくるよね。何と言っても、選手としても監督としても、サッカー界に大きく貢献した人だから。それだけでカリスマと言えるだろうね。それに、とても感じがいい人なんだ。一緒にいて気分が良くなるような人だよ。
トラップがユーヴェの監督になって、君のポジションが話題になったよね。バッジョはFWなのか、それともトップ下なのかという議論だよ。君はどのように感じていた?
R ―― いつもそうなんだけど、新聞は書くことがなくなると、何か新しい話題を作りたがるものなんだ。メディアが最近の僕に関してどのくらい嘘や偽りをデッチ上げたか、例を挙げたら3時間くらいかかってしまうと思うよ。彼らは常にネタを欲しているんだ。例えば、フィオレンティーナvsユーヴェ戦でのPKの話にしたってそう。メディアが勝手に話を作りあげて、それが結局、エピソードとして伝わってしまうんだ。
君が(ユーヴェ移籍後)初めてのフィオレンティーナ戦でPKを拒否したという話だね?
R ―― あの試合前、PKが与えられた場合、僕は蹴らないということになっていたんだ。監督との決めごとだったんだよ。そして、実際にPKが与えられ、予定どおりにチームメイトが蹴り、それを外したんだ。それが、どういうわけだか知らないが、僕が悪いということになっちゃったんだよ。「バッジョは裏切り者だ」と非難された。「去年までいたチーム相手にPKなんか蹴れない」と僕が拒否したせいで、1点を取り損ねたと言うんだ。馬鹿げているよ。すべては論争を引き起こすための作り話さ。
君がPKを蹴らない、というのはゲーム前から決まっていたことなんだね。
R ―― そうさ。それに、PKは僕がもらったものなんだよ。エリア内で僕が倒されて。でも、メディアは論争を欲していたんだ。いつも論争を引き起こそうと思っているんだ。ネタはいたるところに転がっているからね。 |