回 〜 現在、そして未来へ 〜 (4/4)
僕は毎週日曜日に
ゴールを決めたいんだ。
相手がどこかなんて関係ない

君のゴールについて話しているうちに、あることに気がついたよ。フィオレンティーナ戦で昨シーズン初ゴール、ヴィチェンツァ戦ではセリエA残留を決めるゴール。そしてユーヴェ戦でもインテル戦でもゴールを決めている。何が言いたいかというと、かつてプレーしたチーム相手の時はいつもゴールを決めているってことだよ。かつての所属チームに対してどんな感情を抱いているんだい?

R ―― 別に悪い感情なんて全然ないよ。

でも、いつもより“やる気”はあるんじゃない?

R ―― そんなことはないよ。僕は毎週日曜日にゴールを決めたいんだ。相手がどこかなんて関係ない。かつて所属したチームと対戦するのも仕事のうちさ。僕がイタリアでプレーしている限り、どのチームとも遅かれ早かれ対戦するんだから、特別な感情なんて全然ないよ。僕にとって大事なのはブレッシャの勝利であって、相手チームのことは関係ないんだ。

初めて経験したロンバルディア・ダービー(ブレッシャvsアタランタ)の印象は?

R ―― 第1戦は不思議な展開だった。チャンスは僕らのほうが多かったんだ。でも、先制点を奪うことはできなかった。そのうち、彼らが先制点を決めたんだ。ゴール隅への素晴らしいシュートだった。あの得点を決めた選手はシーズンを通じて1本しかゴールを決めていない。それがこのゴールだったんだ。そして、後半にはガンガン攻めてきたよ。僕らにはどうすることもできなかった。試合終了間際にもう1点取られて0−2で負けてしまった。でも、ゲームとして僕らのペースでもあったんだ。負けるべくして負けたという感じではなかった。負けるべくして負けたのは第2戦だったな。特に後半は攻められっぱなしだった。それでも前半はそこそこにプレーしたんだがね。でもツキはゼロだったよ。まあ、彼らのほうが強かったということさ。2試合で5ゴールを挙げているからね。

ビッグクラブのダービーと比較して、“プロヴィンチャ・ダービー”の雰囲気はどうだった?

R ―― 雰囲気はすごいよ。ミラノ・ダービーやトリノ・ダービーと比較しても遜色ないね。いや、それよりもすごいかもしれない。

ブレッシャのファンもアタランタのファンも熱狂的なことでは知られているからね。

R ―― そうなんだよ、そこがポイントさ。彼らの熱気というのはここでプレーすればよくわかるよ。ここでは熱気を感じ、熱気を呼吸しているという感じなんだ。

このダービーに特別なプレッシャーを感じていたのでは?

R ―― 僕らは常にこの状況に身を置かなくてはならないんだよ。もし、ファンの気持ちを理解しているのなら、このゲームがファンにどういう意味を持つものなのかがわかるはずだろう? ファンは当然、「このゲームだけは勝ってくれ」と願っているんだ。当然、選手への期待も増す。要するに、ファンはダービーを特別なゲームとして捉えているということなんだよ。



チームで好成績を残し
W杯に出場すること、
これが今の僕の夢なんだよ

第11節のサン・シーロでのインテル戦について聞くけど、君にとってはインテルを離れてから初のサン・シーロだったよね。インテル以外のシャツを着てサン・シーロでプレーするということに何か特別な意識はあったのかな?

R ―― 少々複雑な気分だったかな。だって、インテルをやめてからさほど時間が経過していなかったからね。もっとも、インテルのために全力を出し尽くしたと感じていたから、後悔したりはしなかったよ。堂々とサン・シーロのピッチに上がったつもりさ。それが基本なんだ。最初の数分は何らかの違和感、感情はあるけれど、それだけのことだよ。

サン・シーロのファンはどうだった?

R ―― とても良くしてくれたよ。今までも常に大きな愛情を示してくれたし、あの日も同様だった。

次に、これは僕個人としてすごく印象に残っていることなんだけど、第2節のパルマ戦で感動的なシーンがあった。ブレッシャが敵陣に攻め上がっている時に、パルマのDF、サルトルは足をつってしまっていて、地面に横たわっていたんだ。君はすぐさまサルトルのところに駆け寄り、彼の足にマッサージを施してあげた。ああいう行為はなかなか思っていてもできないことだと思うけれど、君はそれをやったんだ。

R ―― いや、誰もができることだと思うよ。特別なことではないさ。ただし、プレー中はテンションが高くなっているので、したいと思ってもできないことはあるかもしれない。特にイタリアでは難しいだろうね。だって、そのような行為で立ち止まってしまうことで、大きなチャンスを逸するということだってあり得るわけで、そうすると自分たちのファンにブーイングされてしまう危険性もある。でも、選手はその時点で自分が思ったとおりの行動をすべきだと思う。もちろん、種々の解釈をされる可能性はある。ただ、自分が正しいと思ったことはするべきだと思うよ。

ブレッシャでの大活躍を君の家族は褒めてくれたかい?
君の活躍を喜んでくれている?

R ―― 常に冷静に僕らの戦いを見守ってくれたよ。セリエA残留がいかに大変なことか家族もわかっているんだ。だから、2試合も残して残留を決めたことに驚いただろうね。君が言ったように、ブレッシャは34年ぶりにセリエA残留を果たしたんだ。これは快挙と言ってもいいだろう?

ちなみに、34年前というのは君が生まれた頃だね。 君はまさにブレッシャをセリエAに残留させるために生まれてきたようなものだよ。 ところで、君の34年間の人生において、サッカーとはいったい何だったのかな?

R ―― それぞれの年代で違った意味合いを持っていたと思う。例えば、子どもの時は人生そのものだった。僕の生活にはサッカーしか存在していなかった。それから、時が経過するにつれ僕も成長し、同時にある種の責任感というものが生まれてきた。そして、サッカーに関する考え方も変わってきた。もはや、単に娯楽、楽しみでは済まなくなった。僕にとってサッカーはゲーム(遊び)ではなく、職業になり、そして僕は1人(独身)ではなくなった。妻と子どもとともに人生を歩むことになり、人生は広がりを見せたんだ。だからといって、サッカーへの情熱が消えたわけではない。34歳になった今でも、サッカーは今までのように僕にとってはとても重要なものさ。そして今後の人生においても重要なものであり続けるはずだよ。僕にとってサッカーへの情熱はそれほどに大きなものなんだ。ある程度の年齢に達すると、多くの人が「サッカー、そんなものはもうどうでもいいよ。人生にはもっと大切なものがたくさんあるのだから」ということを口にする。もしかすると、それが正しいのかもしれない。ただ、100%そうだとは言いたくないんだ。僕にはサッカーの血が流れているんだ。長い年月を経て、僕の血の一部になっているんだよ。

最後に、ロベルト・バッジョの近未来に関して聞かせてほしい。

R ―― 未来だって? 何度も言っているように、僕の願いは僕自身、4回目のW杯出場を実現することなんだ。来年、日本で行われるW杯に出場することさ。これまで3回もW杯でプレーすることができた。そして次のW杯が最後だよ。それ以上は望まない。これが僕の最大の望みなんだ。そして、そのためには、今シーズンの活躍が必要になる。チームで好成績を残しW杯に出場すること、これが今の僕の夢なんだよ。




(完)
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