| |
これから、君が接した監督の名前を順に挙げるから、君の印象を聞かせてよ。まずはトラパットーニから。 C ―― “サッカーに恋している男”とでも言うべきかな。トラップのことを悪く思っている人なんていないと思う。何せ、練習が終わってからもピッチに残って、ボールの止め方とか、利き足でないほうの足の使い方とか、基本的なことを教えてくれるんだ。あれほどの情熱を持っている人に“恨み”を感じる人間はいないはずだよ。それに、トラップは自分の選択(誰を起用して、誰を外すという)をきちんと説明してくれるんだ。他の監督とはだいぶ違う感じがしたね。 リッピは? C ―― ナポリ時代のリッピは最高の監督だったよ。ちょうど今のキエーヴォみたいにチームを見事にまとめ上げたからね。ナポリのフロントサイドはバラバラだったけど、ロッカールームには団結心があったんだ。だからこそ、UEFA杯出場権を手にすることができたと思ってる。 チェーザレ・マルディーニは? C ―― 親父のような存在だった。U−21に招集された時は、何か家族のもとに帰るような感じすらしていたからね。それに、U−21のチームメイトにはレナート・ブーゾもいた。カルチョの世界で出会った最良の友さ。今もスペーツィア(ブーゾが現在プレーするチーム)を応援しているよ。 カーニは? C ―― トラパットーニ同様、率直な人だよ。ピアチェンツァで初めて会った時、僕にこう言ってくれたんだ。「君ほどのテクニックを持った選手が、このレベルで終わってはいけない。ハングリー精神を持ってプレーしていたプリマヴェーラ時代の君をもう一度見てみたい」ってね。その言葉のおかげで、僕自身、サッカーへの姿勢を変えることができたんだ。何せ、その前年(ブレッシャ)が最低のシーズンだったからね。カーニの言葉で生き返ったと言ってもいい。ブレッシャでの1年はひどいものだったさ。それでも良い経験をしたと思えるようになったんだ。あの1年間を全うしたことに“誇り”を感じているほどさ。 “誇り”だって? C ―― そう、最低のシーズンを最後まで耐えたことに誇りを持っている。ともかくひどいシーズンだった。車はぶち壊されるし、卵を投げつけられるし……ブレッシャは僕の故郷だよ。あれは長い旅をして戻ってきた人間に対する扱いではなかった。それでも最終節までプレーした。最後までブーイングに耐え続けた。あの頃は、家に戻って本ばかり読んでいたな。何冊読んだか覚えていないくらい読んだよ。とにかく余計なことを考えないようにと読書に耽ったんだ。うつ病になる寸前だったんじゃないかな。 そして現在の監督、デル・ネーリ。彼はどう? C ―― 偉大な監督さ。明確な考え方を持っているし、言ったことは絶対に撤回しない。そういった意味でも偉大な人間と言える。監督の優柔不断な態度に選手は敏感なものなんだ。去年、テルニでプレーした時、こんなことがあったんだ。僕たちはオフサイドトラップがうまくいかずに思わぬゴールを許してしまった。試合終了後、選手の1人が「監督、どうして戦術を変えないのですか?」と聞いたんだよ。すると、デル・ネーリは「俺がこのチームを指揮している限り、この戦術で行く」とはっきりと言い放ったんだ。あれだけの確固たる意志を伝えられたら、みんな黙ってついて行くしかないよ。
C ―― メディアが“おとぎ話”という言葉を用いることに関して異存はないよ。実際、“おとぎ話”みたいなものだからね。それに、どこへ行っても好意的な声を耳にするようになった。一気に超人気者になったという感じさ。サッカーに全く興味がなかった人でも、今ではキエーヴォに声援を送ってくれている。 カルチョメルカートでいくら大金を投じてもキエーヴォのようなチームは作れないだろうね。 C ―― まず無理だろうね。ただ、キエーヴォはキエーヴォなりに計算されたチーム作りをしている。だから今のキエーヴォは“まぐれ”で勝ち進んでいるわけではないんだ。始めからそれなりにやっていけるチームだったんだよ。僕がキエーヴォ行きを決めた時、「お前、あんな村のチームでプレーするのか?」と言ってくる人もいたけど、あの時点で僕は別の考えを持っていた。「キエーヴォには、名前は知られていないがハイレベルの選手が多い。相当なところまで行けるはずだ」と思っていたんだ。 キエーヴォの住み心地は? C ―― ビッグクラブでは家に閉じこもらなくてはならないだろう? 何せ、町に出れば、ファンに囲まれてしまうからね。その点、キエーヴォは最高さ。家族でのんびりと散歩することだってできるし、よくチームメイトとも食事に行くよ。ホペイロ、マッサー、時には、監督も加わって食事することだってあるんだ。日によってレストランを変えるし、食事の支払いも順番になっているんだよ。 例えば? C ―― ボローニャ戦で勝った日はエリベルトのおごりだった。コラーディがゴールを決めた時は監督のおごり。次は僕が払う番さ。 |
| 3 / 4 |