これだけFWに人材が揃うと、トラパットーニがメンバーの選択に困るということもあり得ますよね。 R ―― 完璧な選手、完璧な人間なんていないものだよ。 もちろんトラップだって完璧ではない。 ただ、選手を管理する方法が、ベアルゾットに最も近いのはトラップだと言えるんじゃないかな。 ともかく、スター集団をチームとして機能させることは難しいことなんだ。 うまいことやろうと思うと、かえって失敗するものさ。 だから監督は、思っていることを発言し、常に率直であればいい。 「思ったとおりにやる」ということが大切なんだ。 ベアルゾットは一度決断すると、最後までそれを貫いた。 例えば、ある選手をレギュラーとして使うと決めたら、マスコミが何を言おうと耳を貸さなかったんだ。 “選手に好不調はつき物”という考え方を大事にしていたからね。 もっとも、今の時代、マスコミと対立しながら代表チームを管理することは不可能に近いよ。 そこでトラップは一つの方法論を編み出したんだ。 反対に、マスコミと積極的にコミュニケーションを図るという方法さ。 現時点では、この方法は機能しているようだね。 82年の時、あなたたちは報道管制を敷いてマスコミを寄せつけませんでしたね。 R ―― 20年前のマスコミは今より手厳しかったよ。 我々プレーヤーは、ファンとコミュニケーションを取る方法がなかったんだ。 だからマスコミに批判された時、我々には“黙る”しか手はなかった。 報道管制しか手がなかったんだよ。 その結果、どういうわけか、報道管制を敷くと“ツキ”が回ってくるなんて迷信が生まれてしまった。 今ではちょっと負けが続くと、すぐに“報道管制”だろう?もっと違った方法があると思うがね。 あなたの友、トラパットーニとアッズーリに何を願っていますか? R ―― 「チームに戦術的バランスを、グループに心理的バランスを!」とでも言っておこうか。 それにコンディションの管理がうまくいくことを願っているよ。 W杯の長丁場を戦い抜くのは非常に大変なことなんだ。 だからこそ、エネルギーの浪費だけは避けないといけない。 イタリアが優勝する可能性は高いと思っていますか? R ―― 相当高いと思っているさ。 だが、他の国の状況が良くわからないから、軽々しく“優勝”なんて発言はできないけれどね。 ただ、イタリアがいいチームに仕上がっていることだけは間違いない。 トラップは非常に実利的なサッカーをしているよ。 派手なサッカーなど考えず、確実に勝つためのサッカーを実践している。 攻守のバランスもとても良い。 例えば、マルディーニ、ネスタ、カンナヴァーロは世界最高のDFラインだろう。 中盤も、運動量の豊富さという点では見劣りしない。 そして攻撃陣も、さっきも言ったように、世界最高レベルだよ。 となると、このアッズーリに欠けているものはないのでしょうか? R ―― そうだな。 強いて挙げれば、近代サッカーが忘れがちな、あるタイプのプレーヤーが欠けているとでも言おうか。 ウイングサイドにブルーノ・コンティのような選手がいれば申し分ないだろうし、アントニョーニのようにテクニックもあれば運動量も豊富という選手が中盤にいれば、なんて思うこともあるさ。 それから、今でもたまに連絡を取り合っているタルデッリみたいな選手がいれば、最高の布陣になるんだろうが、欲を言ったらきりがないからね。 タルデッリとはよく会うのですか? R ―― サッカー界の人間で今でも頻繁に会うのはタルデッリくらいかな。 この前も一緒にバカンスを過ごしたんだ。 | ||
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