僕としては一生ミランでプレーしたいと考えている。
そのことはガッリアーニにも伝えてあるよ



これまでのサッカー人生で、今が一番乗っていると言えるのかな?


インザーギ(以下I) ―― 最高かどうかはわからないけど、すごくいい時期であることは間違いないよ。自分自身、思った以上にやれていると思うし、自分のプレーも正当に評価されていると感じている。周囲に認められていることをひしひしと感じるよ。それに、精神的にも成熟したと思っているんだ。若い頃には欠けていたバランス感覚を手に入れたような気がするのさ。今なら、たとえ3試合連続でゴールを決められなくてもイラつかないで済むはずだよ。以前は違っていた。ゴールを決められない時は、自分自身に腹が立ったし、チーム全体にもむかついたもんだ。チームメートとケンカするなんてこともあったよ。

君がベストと言わないところをみると、もっといい時期がこれから来るという可能性もあるわけだね。

I ―― そう願っているよ。今シーズン、もっといいことがたくさん起こってくれることを願っているんだ。僕はかなりラッキーな男なんだよ。どこにいても幸運の女神が僕についているような気がする。いろいろな場所で生活し、プレーしたけれど、どこでも満足のいく生活をすることができたし、いいプレーができたと思ってるんだ。生まれ故郷のピアチェンツァでプロデビューできたこともラッキーなことだった。若い時は、どこか他の町に修行に出されるのが普通さ。それが、家族と一緒に生活しながらプロの世界での競争に挑むことができたんだ。すごくラッキーだったよ。その後もいいことばかりだった。ベルガモ(アタランタ)ではセリエA得点王になったし、トリノ(ユヴェントス)ではスクデットを手にすることができた。そしてもちろん、今は世界で最も権威あるクラブの一つ、ミランでプレーしているんだから、周囲が羨むサッカー人生だと自分でも思ってるよ。

ただ、昨シーズンはそのミランで、何のタイトルも獲れなかった。

I ―― それが何だって言うんだい? 今シーズン、タイトルを獲ればいいだろう? 今シーズンがダメなら、来シーズンに獲ればいいだけの話さ。時間はまだ十分にあるんだ。僕は残りのサッカー人生をミランと共に歩むことにしたんだからね。ミランとの契約はあと3年だけど、3年経った時点でミランサイドがまだ僕を必要だと思ってくれるなら、契約更新するつもりなんだ。僕としては一生ミランでプレーしたいと考えている。そのことはガッリアーニにも伝えてあるよ。

その話は私もガッリアーニの口から聞いているよ。ガッリアーニに、「ミランのフロントに入ってもいい」みたいな言い方をしたそうだね。将来ミランの監督に、なんて話もしたそうだけど。

I ―― 確かにそんな話もした。でも、まだはるか先のことだよ。僕は少なくともあと5年はプレーしたいと思っているんだから。その後にコーチの話があれば、その時点でじっくりと考えるさ。最初は下部組織の監督がいいだろうな。セリエAのベンチで戦術論を説くより、若い選手にサッカーを教えるほうが楽しいだろうしね。とにかく、僕としてはできるだけ長く、プレーすることへの情熱を燃やしていたいのさ。監督になってしまうと、いろいろ制約も増え、自由な情熱を持って生きることは許されなくなるだろうしね。その点、ロベルト・マンチーニはすごいよね。選手としてもすごかったけど、現役を引退してすぐに監督になり、あれだけの実績を残しているんだから頭が下がるよ。経営難で破産の危機に見舞われているラツィオを率いて首位争いをしているんだよ。考えられないことさ。もっとも、マンチーニだったら、相当やるとは思っていたけどね。彼の仲間、ヴィアッリも監督としてすぐに成績を残してるけど、サンプドリアの雰囲気が2人に監督としての素地を与えたのかな。それとも、マンチーニにとってはエリクソンが良い教師だったのかな。2人はどことなく似ているような気がするしね。

そろそろ、話をミランに戻そうか。ミランはかつて、“チャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグの前身)の女王”とも言うべきチームだった。88−89から94−95までの7シーズンで、優勝3回、準優勝2回という成績は並ではないよ。その後、ミランはいわゆる暗黒の時代に入った。チャンピオンズリーグの早期敗退なんてこともあった。96年のローゼンボリ、99年のガラタサライはミランに早々の引導を渡したわけだ。ところが、今シーズンはここ数年とは全く違う。ミランはチャンピオンズリーグの主役に踊り出た。ヨーロッパ中が今のミランを畏敬のまなざしで見つめている。いったい、ミランに何が起こったのだろうか?

I ―― 君の言葉を聞いていると、何か昨シーズンのミランがゼロだったような響きを感じるけど、僕は昨シーズンのミランだってけっこう良かったと思っているんだ。UEFAカップでは準決勝まで勝ち進んだしね。特にシーズン終盤の3カ月間は完璧な戦いぶりだったと思ってるよ。カンピオナート、UEFAカップを通じて、2月以降、たった1試合だけひどいゲームをやってしまった。それが、ドルトムントでのゲーム(UEFAカップ準決勝第1戦)だった。4失点もするなんて考えられないことさ。第2戦で奇跡を起こすにはあまりにもビハインドが大きすぎた。本当に残念な結果だったよ。あのゲーム以外のミランは完璧だったのに……。

君は「ミランは昨シーズンとほとんど変わっていない」みたいな言い方をするけれど、本当に変わっていないと思っているのかい?

I ―― 数人のカンピオーネ(並はずれた能力を持つ選手のこと)が新たにミランのシャツを着たという点は重要かもね。ネスタとリヴァウドが加わったことで戦力がアップしたことは間違いないし、セードルフの加入も大きかったと思うよ。
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