インタビュー・文●アルヴァーロ・モレッティ
Interview and text by Alvaro MORETTI
写真●グエリン・スポルティーヴォ Photo by GUERIN SPORTIVO
 今年、イタリアの夏は相当な“猛暑”であった。その間、ローマは、アッズーリでポジションをつかんだセンターバック、ニコーラ・レグロッターリエの獲得のためキエーヴォ・ヴェローナとの交渉を進めていた。ところが、交渉は最後の最後で決裂。なぜなら、キエーヴォがレグロッターリエの交換要員としてダニエレ・デ・ロッシのレンタルを要求してきたからだ。カペッロ監督は、すぐさまその要求を拒絶した。つまり、ローマの指揮官は、7月に20歳の誕生日を迎えたばかりのデ・ロッシに強くこだわったのである。あれから3カ月あまりが経った。あの時のカペッロの選択は間違いではなかった。事実、現在のデ・ロッシは、カンピオーネのひしめき合うローマのレギュラーとして、見事な活躍を見せているのである。

 ローマ近郊のオスティア出身のデ・ロッシは、ローマの下部組織で育った。しかも、父親のアルベルトは、そのプリマヴェーラの監督である。デ・ロッシは、まさにローマの“生え抜き中の生え抜き”なのである。ちなみに、現在、ローマの下部組織は、イタリア有数の若手の宝庫として注目されている。実際、ユーヴェのモッジGMがダーヴィッツの見返りとして要求したのは、デ・ロッシ、ランツァーロ、アクイラーニといったローマの“ゴールデン・ボーイズ”だったのだ。しかし、レグロッターリエのケース同様、ローマが、その申し出を受け入れることはなかった。

 ちなみに、今シーズンのデ・ロッシの年俸は推定で7万ユーロ(約900万円)。これは、ダーヴィッツの年俸の、わずか20分の1でしかない。おそらく、今の彼にとって、お金のことはさほど大きな問題ではないのだろう。ただ、現在はヴィエリやモンテッラの代理人でもあるベルティ氏がローマと新契約について交渉中である。オリンピコのピッチを走り回る彼は、今は何よりも高いレベルのサッカーができることを心から楽しんでいるようだ。

 クラウディオ・ジェンティーレが率いるU−21代表ではすでにボランチのレギュラーとして活躍している。アッズーリのトラパットーニ監督も、彼のプレーに注目しているようだ。もしかすると、来年の夏、彼がU−21EURO2004、アテネ・オリンピック、そしてEURO2004と、3つの大舞台を経験することも十分に考えられるのである。

 デ・ロッシのプレーは、あのライカールトを彷彿とさせる。83年生まれのデ・ロッシにとって、おそらく、かつてのミランの名ボランチは決して身近な存在ではないはずだ。しかし、ライカールトのプレーは、ビデオを通じてくり返し観ているそうである。「確かに『プレーがライカールトに似ている』とよく言われるね。もちろん最高の褒め言葉だと思っているよ。ライカールトのことは、幼い頃から父に聞かされていたし、プレーも、ビデオを通じて何度も観ていたからね。彼は、後方から試合を操るだけでなく、前線に切り込んで決定的な仕事のできる選手だった。今、僕もローマでそれを実践しようと一生懸命努力しているんだ」。
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