ナカ、まずは、イタリア2シーズン目のこれまでを振り返ってもらえるかい?
中村(以下) ―― 今シーズンはイマイチだね。納得できるシーズンが送れているとは言えない。シーズン序盤戦、ケガ人が続出して、チームは良いスタートを切れなかったし、僕自身の体調も良くなかった。日本代表でプレーするために何度か日本に帰ったけれど、やっぱり長旅はキツい。常にかなりの疲労を感じているという状態だった。疲労感を持ってプレーしていては、やっぱり満足のいくプレーはできないよ。
君がレッジーナに来てから、すでに4人の監督の下でプレーしたことになる。ムッティ、デ・カーニオ、コロンバ、カモレーゼ……それぞれの監督が、それぞれ違った形でサッカーにアプローチしていると思うけど、君自身が最もやりやすいと感じた監督は誰かな?
―― それぞれ短い期間しか一緒にやれていないから、表面的なことしかわからないよ。具体的なイメージを持つには至っていないんだ。実際、カモレーゼ監督とは、まだ10日間くらいしか一緒にやってないんだからね。わずかな時間、わずかな知識で、監督の良し悪しを語るのは失礼でしょう? でも……あえて言うなら、ムッティ監督の時はかなり自由にプレーさせてもらったと思ってるよ。自分の好きなポジション(トップ下)でプレーできたし、プレー自体を楽しめた。コロンバ監督の下でも、必要に応じて守備もしっかりやるようには言われたけれど、基本的には自由にプレーさせてもらえた。彼もトップ下で攻撃を組み立てる役割を僕に求めていたから、僕としてもそれなりにプレーできたと思っている。新監督のカモレーゼも、僕に司令塔としての役割を求めてくれているみたいだね。つまり、この3人に関しては、僕に対する基本的な考え方に差はないと思う。デ・カーニオ監督は、この3人と比べると、組織プレーに固執していた印象があるね。ロッカールームにはいつも緊張感が溢れていたし、チームのみんなも常にプレッシャーを感じていた。チーム内でのポジション争いも熾烈だったしね。競争が熾烈なのは、ポジティブな面もあるけれど、ネガティブな面も当然あるんだ。

 ナカムラは冷静で強い精神力を持った若者である。それぞれの監督について語るナカムラは、決して感情に流されることはない。それでも、ナカムラがうまくコミュニケーションを取れなかった監督がいたことは、その口調から容易に想像がつく。ナカムラは規律を重んじる若者である。だから、チーム内に論争が巻き起こるような言動を極力慎む。自分を押し殺して、チーム全体の利益、チームの融和を引き出そうとするタイプの若者なのだ。そんな辛抱強いナカムラだが、今、そういった自分自身の行動に“疲れ”を感じているようだ。今のナカムラはチーム内のポジションを切実に欲している。チームの規律云々を言う前に、彼自身、心の命ずるままにプレーしたいのである。だが、度重なるケガが彼の自由を奪ってしまっている。
現在の体調は?
―― イマイチだね。足首、膝、腰、すべてボロボロだよ。すべてぶっ壊れちゃってるんだ(苦笑)。
今シーズンは、どうしてこんなにケガ人が多いんだろう? エマヌエレ・ベラルディ、モザルト、フランチェスコ・コッツァ、エミリアーノ・ボナッツォーリ、そしてナカムラ。これほどケガ人が続出するのは異常なことだよ。
―― 正直言って、理由は僕にはわからない。ただ、何かしら理由があるんだろうね。例えば、シーズン前の準備方法に問題があるとか。でも、僕自身にはわからないよ。
現在のレッジーナは、いつセリエB降格ゾーンに入ってもおかしくない順位をさまよっている。もう少し安全な順位まで上がるためには何が必要だと思う?
―― 全体的なテクニックのアップと組織的なプレー。チーム全体が意思統一して動けるようなシステムが必要だろうね。
 ナカムラは一つひとつの質問に、時間をかけながら、注意深く答える。自分の発言がチーム内に余計なトラブルを引き起こすことを恐れているかのようでもある。そこで私は、ナカムラの本心を引き出すため、こんな質問をしてみた。
君はこれまで、トップ下でプレーするより、引き気味のポジション(ボランチ)でプレーした時のほうが、内容のあるプレーをしていたという見方をされている。それには何か特別な理由があるのかな?
―― どのポジションでプレーしても、質の高いプレーをするのは難しいことだよ。ただ、すべてはチームの戦い方によると思う。ディフェンスラインが、長いボールを前線にフィードするような展開になると、僕自身が持ち味を発揮するのは難しいと思うんだ。空中戦で僕が勝てるとは思わないし。僕としては、ディフェンスラインからパスをつないで攻め上がるようなサッカーが理想だね。速いパスをつなぐようなサッカーをチーム全体でやりたいんだ。チームがそういうサッカーをしてくれれば、僕としても好きなポジション(トップ下)で持ち味を発揮できると思うんだけど。
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