この20数年間のストライカーの歴史を語るにふさわしい人物としてお話を聞かせてください。

ヴィアッリ(以下V) ―― そう言ってもらえるのは光栄だよ。確かにサッカーの多くの側面は不変だ。ただ、ストライカーのとらえ方に関しては、この10数年で大きな変化があった。動かないFWなんて今の時代には存在しないからね。つまり、ペナルティエリア内でボールが来るのを待つ、スタミナを温存してシュートの瞬間にそれを爆発させる、こんな考え方を持つFWなんてもはや存在しないということなんだ。ある意味、今の時代のFWはなんでもやらなければならない。点を取るだけでなく、ラストパスも出さなければならないし、相手にボールが渡った瞬間に誰よりも早くプレッシャーをかけにいかなければならない。そうした考え方が主流にあって、多くのゴールを生み出すということはすごく難しいと言えるだろうね。

ストライカーの役割が変わったということですね。新時代のストライカーの第一人者となったのは誰でしょう?

V ―― 新時代のストライカーの役割が、動きの質だけじゃなくて動きの量にあるとするならば、第一人者はフランチェスコ・グラツィアーニになるだろう。ロベルト・ベッテガなども新たな時代を築いたFWだ。

彼らが新しいボンバーのスタイルを作ったということですか?

V ―― そう、パワーとテクニックを兼ね備えたストライカーということさ。ゴールを生み出すには、完璧なアスリートである必要があるんだ。

あなたは大成功を収めたストライカーの一人です。ジャンルーカ・ヴィアッリは、なぜ多くのゴールを決めることができたのですか?

V ―― ドリブルやボールコントロールというテクニックに加えて、運動量が豊富だったことが最大の要因だろう。私は、洗練されたテクニックと運動量、それにチームへの献身的な姿勢がサッカーをする上での基本だと考えていた。その点で、私はサッカーをするための肉体的な条件を満たしていたのだろうね。だが、両親からもらった素材、すわなち身体的な要素だけに満足してはいけないと常に感じていた。だから、素材を磨く努力は怠らなかったつもりさ。常に上手くなろうと努力したよ。他の選手のテクニックを自分の中にも取り入れようとしたしね。

あなたの目から見て、最高のストライカーと呼べる選手は誰ですか?

V ―― ファン・バステン以外には考えられない。彼には最高のテクニックが備わっていた。それに、俊敏な動き、研ぎ澄まされた嗅覚も持っていた。彼はストライカーとしてプレーしたが、他のポジションをこなすことも可能だったはずだよ。MFとしても一流の選手になっていただろうな。要するに、サッカー選手として完璧だったというわけさ。かかとのケガでサッカー人生が短くなってしまったのは本当に残念だ。ケガさえなければ、彼は現役生活の終盤をパッサーとして過ごしていたはずさ。1.5列目のパッサーとしても、素晴らしいプレーを見せてくれていたと思う。ボールタッチの柔らかさはプラティニに匹敵するほどだったからね。

優雅さ、力強さ、卓越した技術を兼ね備えた完璧なストライカー。
“オランダ・トリオ”の一員としてミランの黄金時代を支えた。
89−90、91−92シーズンにセリエA得点王に輝いた。

では、現役選手の中で最高のストライカーを挙げるとすると?

V ―― シェフチェンコだろうね。彼はセリエA1年目で早くもその能力をフルに発揮した。セリエA初挑戦のシーズンで得点王になるなんて、驚異と言うしかない。彼の瞬間的なスピードは群を抜いている。それに、身体能力にも恵まれているし、テクニックも最高のものを持っている。特に、狭いスペースでの足技は絶妙だよ。まさにフオリクラッセ(最高級の選手の意味)と言える選手さ。

現役時代はあなたもフオリクラッセと言われましたが、今のセリエAの中で、ジャンルーカ・ヴィアッリとタイプの似たストライカーは誰でしょう?

V ―― 私がフオリクラッセだったかどうかは別にして、マルコ・ディ・ヴァイオが私に似ていると言う人は多いようだね。確かに、フィジカル面ではよく似ていると思う。だが、プレースタイルは若干違うんだ。マルコは一瞬のスピードを武器とするタイプ、瞬時のダッシュでマーカーを振りきるタイプ。私は、瞬間的なスピードよりも、加速的なスピードを持ち味としていた。この点で言えば、マルコよりもむしろトレゼゲのほうが似ているのではないかな。ゴール前のパワーという点では、よくファン・ニステルローイが私に似ていると言われるけどね。

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