今シーズン、あなたの故郷とも言えるサンプドリアには、日本からヤナギサワが加入しました。これまでの彼をどう評価していますか?

V ―― パッサーとしての資質を持った、攻撃的MFという印象がある。ただ、このままではセリエAで苦戦し続けるかもしれない。ヤナギサワのポジションにはライバルが多いんだ。フオリクラッセでない限り、攻撃的MF、もしくはセカンドアタッカーのポジションでレギュラーをつかみ取るのは難しい。それに、監督のノヴェッリーノは細かなプレーをする選手、ファンタジーアを前面に押し出す選手を好むタイプではないんだ。彼が望むのは、ゴール前で運動量とテクニックを示すことができて、コンスタントにゴールを決めることのできる選手なんだ。いい例がフラーキだよ。もともとゴール前での能力は高く評価されていたが、シーズン開幕当初は4人目のFWと見なされていた。それが今ではレギュラーポジションをつかんでいる。ヤナギサワにとって、フラーキの存在は励みにもなると思うがね。

完璧なストライカーになるために必要な要素をいくつか挙げていただけますか。

V ―― まずは、ペナルティエリア内でも冷静でいられる精神力。ゴールを目の前にして舞い上がっていたのでは何も始まらないからね。それに、戦術への対応能力も必要になってくる。特に、状況に応じた戦術理解は必要だ。もちろん、身体的な強さは絶対に必要。当然、ペナルティエリア内で受けるプレッシャーはかなり厳しいものだからね。それに当たり負けしないだけのパワーも必要不可欠だよ。パワーと同時に、洗練されたテクニックも重要なポイントだ。特に、動いているボールを的確に対処する能力が求められる。また、スピードにうまく対応できるかどうか。現代サッカーにおいては、選手がワンプレーに要する時間が短くなっている。だから、練習を通じてスピードに対応できるだけの判断力を身につけなければならない。その他、一年を通じてコンスタントにプレーできるかどうかも重要だ。もちろん、サッカーにケガはつきものだが、その中でもいかにゲームに出続けられるか、この点もストライカーには大切になってくる。「無事これ名馬なり」ということさ。

メンタル面についてはいかがですか。

V ―― 目標を達成するために、どれくらい神経を集中させることができるか。それに、いかにプレッシャーを克服するか。プレッシャーは自信と密接に関係してくる。自分のプレーに確固たる自信を持っていれば、自ずと道は拓かれる。ストライカーを養成することは、樹木を育てるようなものなんだ。ゴールが樹液であり、精気でもある。一本一本のゴールが自信となり、精気となって樹の中を巡るのさ。それを栄養として樹木は育っていくんだ。

セリエA初挑戦の99−00シーズンに24ゴールで得点王を獲得。今シーズンは第17節終了時で14得点

先ほど、現役選手最高のストライカーとしてシェフチェンコの名前が挙がりましたが、現役最高のパッサーは誰でしょう?

V ―― トッティだよ。ただ、トッティはパスのフィードだけじゃなく、得点能力もある。まさにオールマイティーな選手だよ。

トッティは、EURO2000で世界から脚光を浴び、大成した選手です。でも、2002年のW杯ではイタリアを勝利に導くことができませんでした。アッズーリのトラパットーニ監督は、EURO2004でトッティを軸としたシステムを敷くのでしょうか?

V ―― システムなんてどうでもいいんだ。大切なのは、チーム全体に戦う意志があるかどうか。今のアッズーリは、十分過ぎるほど攻撃の駒が揃っている。あとは、攻める意志を持った選手をピッチに送り出せばいい。監督の仕事は選手をその気にさせるだけなんだ。きっと彼らはやってくれるはずさ。

3 / 4