ミッコリとカッサーノは
EURO2004でレギュラー争い をするまでに至っているだろう トラパットーニ監督の采配に関して聞かせてください。相変わらず、守備的なサッカーが批判を浴びていますが、彼は2002年W杯の不幸な経験から多くのことを学んだと見ていいですよね? V ―― 多くのことを学んだはずさ。2002年のW杯でトラップにとって致命的だったのは、それまでに代表チームを指揮した経験がなかったということさ。代表チームを指揮することとクラブチームを指揮することは全く違う。代表チームは短い期間に試合が立て続けにあるから、選手を随時入れ替えなければならない。それに、チームの士気を高める方法にも工夫が必要になる。クラブチームを指揮していた頃のトラップは、選手の闘争心を高める独自の方法を持っていた。ユーヴェやインテルの監督を務めていた頃は、様々なテクニックを使って選手のテンションを高め、気が緩まないように力を尽くしていた。ユーヴェ時代、私も彼の指導を受けたことがあるが、例えば、試合前日にかなり激しいミニゲームをやらせるんだ。チームメート同士がプレー中に揉めたりいがみ合うくらいのね。でも、意外とそれが翌日のゲームにうまく活かされるんだ。今考えて見ると、滅茶苦茶なミニゲームだったな。自分で笛を吹きながら、トラップもゲームに参加するんだよ。トラップは自分のチームがリードするまで試合終了のホイッスルを吹かないんだ(笑)。ただ、プレー中にエキサイトすることもあったが、結構リラックスできていたかもしれない。これは一例だけど、トラップはクラブチームを率いる方法はたくさん知っているんだ。でも、その方法は代表チームでは使えない。彼の悩みの一つだろうね。 トラパットーニは2002年のW杯で多くの批判を浴びました。ディノ・ゾフはEURO2000終了後に監督を辞任。チェーザレ・マルディーニも、アリゴ・サッキも批判にさらされました。要するに、イタリア代表の監督というのは、誰がやっても批判されるものなのでしょうね。 V ―― 本当に不思議なことだよ。例えば、サッキはベアルゾット以来の好成績をイタリアにもたらした監督だ。それが今では全く評価されていないんだからね。94年のW杯はブラジルに敗れて準優勝に終わった。それでも、PK戦で敗れての準優勝さ。もう少し評価されてもいいと思うんだが。私自身、アメリカ大会の時はサッキとの感情のもつれでアッズーリには協力できなかった。だが、そんなしこりはすぐに消えたよ。基本的に、彼と私はお互いを認め合っていたからね。サッキへの批判は今でも尽きないようだが、私が見る限り、彼はイタリアサッカー界が生んだ最高の監督の一人だよ。代表チームでは戦術主義が裏目に出てしまったが、少なくとも、ミランを通じてサッカー界に新たな革命をもたらした功績は評価すべきだ。個人的には、サッカーの歴史に金字塔を打ち立てた監督だと思ってるんだ。 それなのに、なぜ今でもブラジルに敗れた94年大会のことで批判されるのでしょう? V ―― 国民の同意を得るような采配をしなかったからだろう。それが良い悪いというのではなく、国民の思いに沿うような采配をしなかったからではないかな。戦術を選手に押しつけたという印象を与えてしまったし、部分的な責任はサッキにもあったと思う。選手の意識が戦術に縛られたということは否定できないからね。 当時、もしあなたが監督だったら、ケガでボロボロになっていたロベルト・バッジョを起用したでしょうか? 万全のコンディションだったジャンフランコ・ゾラを起用するという手もあったと思いますが。 V ―― いや、私が監督だったとしても、あの時点ではロベルトを起用した。サッキは決勝戦の前日にロベルトと話しただろうし、コンディションを確認して、「プレーできる」という確信を得たからこそ彼をピッチに投入したのだろう。イタリアが決勝まで駒を進めることができたのはロベルトのおかげだったんだ。彼を起用したことは間違いではなかったと思うよ。 代表チームが成長していく上で、新旧交代は欠かせない要素です。今の若手で、イタリア代表に招集してみたいストライカーはいますか? V ―― ミッコリとカッサーノはEURO2004でレギュラー争いをするまでに至っているだろう。すでにトラップのアッズーリでも不可欠な選手になったと言えるだろうね。若手ではないが、バッザーニとコラーディも興味深い。ヴィエリの控えとして貴重な存在だよ。他にも、EURO2004出場枠を争う選手が10数人いる。これから、ポジション争いはさらに熾烈になっていくはずだよ。 トラップ政権が終わった後、「トラップの後継者はヴィアッリだ」という声が高まっています。これに関してはいかがですか? V ―― 不思議な気分だよ。でも、自分の名前が代表チームの監督候補として挙げられているんだから光栄に思っているんだ。もし、今代表に就任したら40歳の代表監督ということになる。これは記録だろう? プレミアリーグでの監督経験を経て、「機が熟した」とも言えるのではないですか? V ―― 私みたいな若造が、「機が熟した」なんて言えるわけがないよ。今、私の就任先として挙がっているのがユーヴェとアッズーリ。どちらもサッカー界の怪物とも言えるチームさ。同時に失敗は許されない。だから恐怖感もある。マイク・タイソンが相手のリングに上がるか、モハメッド・アリが相手のリングに上がるか、こんな選択を迫られているようなものだからね。ただ、候補に挙がるだけでも名誉なことだとは思っているよ。
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