ユーヴェにとってミラン以外のライバルはどこになりますか?

C― マンチーニのインテルにはかなりのチャンスがあるだろう。テクニックに優れた選手が多いチームだからね。

インテルから欲しい選手はいますか?

C― 名前は言わないがたくさんいるよ(笑)。なんと言ってもレギュラークラスの選手が30人もいるからね。マンチーニも大変だろう。

あなたが抱く理想のメンバー構成は何人くらいですか?

C― 高いレベルを持った選手が20人いれば十分だろう。

そういう意味で言うと、新シーズンのユーヴェはいかがでしょう?

C― 同じことを言うようだが、ライバルたちが非常に手強くなってきていることを考える必要があるだろう。ライバルと言えば、すぐに君たちマスコミは、ミラン、インテル、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリー、バルセローナ、チェルシーなどといった“いつもの顔ぶれ”の名前を挙げる。しかし、昨シーズンのチャンピオンズリーグの決勝戦のカードは、ポルトとモナコだった。EURO2004の決勝を戦ったのも伏兵と言えるギリシャとポルトガルなんだ。

サッカー界の何かが変わってきたということですか?

C― そうは思っていない。そのチームが持っているクオリティーが問題だということだよ。

クオリティーという言葉を聞いて、すぐに思い出すユーヴェの選手と言えば、やはりデル・ピエロでしょう。EURO2004が終わった今、彼についてはどう思われていますか?

C― EURO2004では、アレックスだけじゃなく、他の選手たちも決して本調子とは言えなかった。彼は、主力選手として期待が大きかったために、批判の嵐の中に巻き込まれてしまったんだ。もし、彼が3本あった惜しいシュートのうち、たった1本でも決めていれば、評価はまた違ったものになっていたはずだ。いずれにせよ、彼は決定的な仕事ができる選手だと思っているよ。

サッカー選手としてのデル・ピエロはどうでしょう?

C― サッカー選手には4つのタイプがあると私は思っているんだ。普通の選手、うまい選手、すごい選手、そしてフオリクラッセ。

デル・ピエロはどこに属しているのでしょう?

C― それは言えないな。私は自分の選手の格付けをしない主義なんだ。

移籍の話があったトレゼゲの引き留めには、かなり熱心でしたね。

C― 理由は簡単だ。彼は毎シーズン、20前後のゴールが計算できるFWなんだ。しかもまだ26歳と若い。私の考えでは、フオリクラッセと呼ばれる選手は、全体の5パーセントぐらいしかいない。トレゼゲは、その5パーセントの中に入っている選手なんだ。そんな選手を放出する必要なんてないだろう? しかも、彼には高い得点能力だけでなく、素晴らしい人間性があるんだ。

あなたは、先日の記者会見で、補強には2つの種類があると発言していましたが、具体的にはどういうことなのでしょうか?

C― 一つは、今在籍している選手が飛躍して新たな戦力になること。そしてもう一つは、新戦力を他のチームから買ってくるということ。新戦力は、2人あるいは1人でも良いと思っている。重要なのは、新加入の選手がハイレベルの選手であるということ。それが、現在の私の補強哲学だよ。すでにチームにいる同タイプの選手を、3人も4人も集めたところで何の意味もないからね。

新シーズンへ向けて、現在のユーヴェの状態はいかがですか?

C― 昨シーズンの選手層と比べると、ケガで戦列を離れる選手や、ベテラン選手の力の衰えなどであいた穴を、ようやく埋められるメドが立ってきたよ。

どんな選手に期待されていますか?

C― レグロッターリエとミッコリだね。レグロッターリエは、私がローマの監督時代から欲しかった選手なんだ。ミッコリは、類い稀な才能の持ち主だね。くり返すが、なぜ選手を他チームに求めなくてはならないのだろうか。クラブの健全な経営を優先するべきだろう。

あなたにとって、2回目のチャンピオンズリーグ制覇、海外も含めて7回目のリーグ優勝、どちらが魅力的ですか?

C― 1番はチャンピオンズリーグ、そのすぐ背後にスクデット。そして、かなり離れてコッパイタリア。今度それを全チームの監督に聞いてみるといいよ。誰もがこのような順番で答えるだろう。

つまり、一番重要なのはチャンピオンズリーグなんですか?

C― 私はそれを獲るためにここに来たんだ。

それでは最後の質問です。もうどんな質問かおわかりですね?

C― 想像はできるよ。ローマのことについてだろう?

そうです。最後のシメをよろしくお願いします。

C― 会長をはじめ、センシ・ファミリーにはすごく感謝している。それからGMのバルディーニ、副GMのプラデ、それからティフォージにもこの場を借りてお礼を言いたい。おそらく、新シーズンのローマの敵は1番目がラツィオ、そして、私がユーヴェに移ったことで2番目がユーヴェになるだろう。以前、私は確かに「ユーヴェには絶対に行かない」と言ったことがある。ただ、それはあくまでユーヴェに敬意を示していただけなんだ。あの頃のユーヴェはあまりにも強すぎた。だからこそ、あんな発言をしていたんだ。だが今は違うよ。今のユーヴェは人間的なチームなんだ。

(注1) ビジアカリア地方出身者の意味。ビジアカリアは、現在のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の一部の地名。カペッロはこの地方にあるピエリス(ゴリツィア県)の出身
(注2) 70年の夏、セリエA屈指のMFだったカペッロは、ローマからユヴェントスへ電撃移籍して、周囲の良識家のひんしゅくを買った経験がある
ファビオ・カペッロ
シーズンクラブ順位備考
1986-87
1991-92
1992-93
1993-94
1994-95
1995-96
1996-97
1997-98
1999-00
2000-01
2001-02
2002-03
2003-04
ミラン
ミラン
ミラン
ミラン
ミラン
ミラン
レアル・マドリー
ミラン
ローマ
ローマ
ローマ
ローマ
ローマ
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
5
1
1
1
4
1
1
10
6
1
2
8
2
途中就任
スクデット獲得
スクデット獲得
スクデット獲得

スクデット獲得
リーグ優勝


スクデット獲得

EURO2004のイタリアを見てどう思われましたか?

C― 国民意識の欠如にはがっかりしたな。これは年々ひどくなるばかりだ。本当の意味でのティフォージがほとんどいないし、みんな国歌すら歌わない。選手ですら、ろくに国歌を歌おうとしないからね。私にはイタリア人だという強い自覚がある。イングランド人、スウェーデン人、オランダ人には、強いアイデンティティーがある。選手たちも母国のユニフォームを着ることを誇りに感じているだろう。ところが、イタリアにはそういう愛国心が欠如しているように思えるんだ。非常に残念だね。

では、EURO2004のスターたちの話をしましょう。

C― これだけは書いておいてくれ、「カペッロはルイ・コスタが復活したことを喜んでいた」と。それに、決勝戦のフィーゴのプレーも良かった。「フィーゴはもう終わった」なんて誰が言ったんだろうね。

今回のEURO2004を振り返って、どう感じましたか? 『フォーリオ』紙は、「今回のギリシャにはネレオ・ロッコの精神(カテナッチョ)が宿ったようだった」と評していました。

 

C― サッカーは現有戦力で、いかにうまく戦うかということが重要なんだ。ギリシャのレーハーゲル監督は、そのことをよくわかっていた。そして彼は、我々が60年代にやっていたようなカテナッチョを用いてギリシャを優勝に導いたんだ。しかし、文字どおりの守備的なサッカーをしていたのは、イタリアだけだったんじゃないかな。

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