ヒカルド・レイチ・ドス・サントス、通称カカー。1年前、イタリアで彼のことを知る者はほとんどいなかった。唯一、現役引退後、スタッフとしてクラブに残ったレオナルドは別だった。イタリアにおいて、おそらく彼だけはカカーのプレーを熟知し、その才能を高く評価していた。ある意味では、レオナルドがあまりに熱心に獲得を薦めたため、ミランの首脳陣は仕方なくカカーを獲得したとも言える。どこかプロヴィンチャのチームにひとまずレンタルに出そうという動きさえあったようだ。チャンピオンズリーグを制したばかりのカルロ・アンチェロッティの言葉を借りれば、「未来のミランを考えて彼を獲った」のである。

つまり、カカーは即戦力とは考えられていなかったのだ。したがって、カカーは人目をはばかるようにミラネッロ(ミランの練習場)の門をくぐらなければならなかった。しかし、あれから1年が経過した今、カカーはイタリアサッカーの質を大きく変えた存在と認識されている。03−04シーズン、その甘美なフチボウ・バイラード(ポルトガル語で“踊るようなサッカー”を意味する)で、ファンを、監督を、そしてイタリアサッカー界全体を魅了し続けたからだ。1年前、カカーに素っ気なかったミラネッロは、今や全くの別世界になっている。カカーに注がれる視線、そしてカカーのサインを求める人の群れでミラネッロは溢れかえっている。

こうした状況について、カカーは謙虚な口調で次のように語っている。「みんなが僕のことを褒めてくれるのはすごくうれしい。でも、僕は練習して、もっと上手くならなくてはいけないんだ。ヘディングの練習をしなくてはいけないと思っているし、それにダッシュのスピードをつけなければ……。どうしても最初の一歩が遅れてしまうんだ。それに、ロングパスの正確さも身につけないとね。どれも、セリエAでやっていくには基本的な能力だよ」。

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