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ファビオ、君のケガが治ったのは、ある意味、奇跡的なことだったと思わない? カンナヴァーロ(以下C)― いや、そんなことはないよ。脛骨の骨折(すねの骨にひびが入っている状態)を治すには、2カ月間の安静が必要だった。それで、インテルの首脳陣にも、カンピオナートが始まる前、9月12日にはスタンバイできるような練習プログラムを組むと言ってあったんだ。インテル側もそれを承知していたはずなんだけどね。 ところが、その9月12日にはすでに、君はユーヴェのユニフォームを着ていた。
C ― そう、ユーヴェへの移籍が決定したことを知ったのは、夏のカルチョメルカートが終了する直前だった。つまり、ネラッズーロのユニフォームを脱ぐという結論は僕の意志によるものではなかったんだ。ただ、あの時点ですでに、インテルが僕を必要としていないということもわかっていた。インテルは僕を必要としていなかったけど、その一方で別のビッグクラブが僕の能力を高く評価してくれていたということさ。 皮肉な話だよね。インテルは君の体調が戻ることを長い間、辛抱強く待った。ところが、君が完全復帰できるという時に、君を手放すことになったんだから。 C ― 収支バランスを考慮しての決断だという説明があったよ。まるで僕の年俸だけが大きな問題だったかのような言い方をしていたな。幸い、ユーヴェは金のことだけを気にするチームじゃない。ここでは、人間性だとか、サッカー選手としての立ち居振る舞いだとか、そういったことをきちんと考慮してくれる。 インテルでは、選手としての君の能力をさほど評価してくれなかったということだね。 C ― うん。少なくとも、マンチーニは僕に何の保証も与えてくれなかった。 マンチーニは、ラツィオから多くの選手を連れてきた。もちろん、金を払ってだ。君のポジションには、彼の大親友とも言うべきシニシャ・ミハイロヴィッチを連れてきた。 C ― シニシャは良い選手だよ。シニシャ個人には何の文句もない。僕のポジションには、その他、ブルディッソも入ってきた。若いけど、それなりの実績を残している選手だよね。 ユーヴェは、だいぶ前から君を欲しがっていた。ユーヴェはいつ頃から君に誘いをかけていたのかな? 5月の末に、フィレンツェからナポリまでルチアーノ・モッジ(ユヴェントスGM)と一緒にタクシーに乗ったことがあったね。あの時に君のユーヴェ行きの話が出たのでは? C ― それはなかった。信じてくれよ。すべて、カルチョメルカート終了の直前に湧いて出た話なんだ。確かにモッジとはタクシーの中でいろいろと話をしたよ。でも、僕の将来に関する話は全くなかった。これは本当の話だ、信じてほしい。 カルチョメルカート終了間際に一気に交渉が進み、君のユヴェントス入りが決まったということだね? でも、それ以前にも、もう少しのところでユーヴェ入りなんてこともあったよね? C ― 2回あった。最初は若い頃さ。ナポリからパルマに移籍した時のことだ。あの時、ユヴェントスに入るという話もあったんだ。そしてもう1回はパルマを出た時。実はあの時もユーヴェから話があった。でも、結局はインテルでプレーすることになったんだ。インテルでのプレーが決まった時は、「ミラノで現役生活を全うする」と決めていたんだけど……。 ブッフォンとカモラネーシが「カンナヴァーロの復調は単に体調によるものじゃない。インテルの周囲のヒステリックな環境から、穏やかな環境に移ったことが大きな要素だ」と言っていたよ。 C ― アスリートにとって、周囲の信頼感とか、落ちついてプレーできる環境といったものはすごく重要な要素だよ。ただ、インテルの環境がひどすぎるということはなかった。ロッカールームでも、僕自身、保護されているという感覚があった。やっぱり体調の問題だったと思うんだ。あの時、今みたいにコンスタントに練習できていれば、あるいは、今みたいにコンスタントにプレーできていたなら、自分自身の持ち味を十分に発揮できたはずさ。確かにインテルでの2年間、思ったようなプレーはできなかったし、チームの勝利にも貢献できなかった。ただ、だからといって、2年間を無駄にしたとは思っていない。僕がインテルを去る時、涙を流してくれたチームメートもいた。それはつまり、僕もそれなりの仕事をしたということだろう? 君がインテルからユヴェントスに移った時点で、状況に大きな変化が生じた。ユヴェントスは鉄壁の守備を取り戻し、インテルのDF陣は失点を重ねている。 C ― 僕の移籍がこういう状況を生み出したとは思わないけどね。1人の選手がチームの運命を変えられるわけがないし、失点の責任をすべてDF陣に押しつけるのは間違っているよ。失点をするのは、攻守のバランスが悪いからなんだ。別にDFのせいだけじゃない。昨シーズンのユーヴェは、まるで今のインテルのようだった。そう、攻守のバランスが悪かったんだ。加入したばかりのレグロッターリエが全く機能できなかったのは、そんな状況のせいもあったんじゃないかな。「レグロッターリエは使い物にならない」と言う人も少なくないけど、僕は彼は素晴らしい才能を持ったDFだと思うよ。攻守のバランスが蘇った今シーズンのユーヴェでなら、かなりやってくれるはずさ。 いずれにしても、今頃、インテルは君を放出したことを後悔しているだろうね。 C ― それはどうかな? 結局のところ、すべては彼らが下した決断だからね。僕としては、ユーヴェで快適にプレーさせてもらっているだけで十分だ。居心地は最高だよ。チーム周辺に漂う雰囲気も好きだし、トリノの町もすごく落ちついた感じがして気に入っている。トリノに来た最初の日から、すぐに町にもチームの環境にも馴染めたという感じかな。ここには、昔からの友だちもたくさんいるし。 チーロ・フェラーラもいるしね。 C ― そう、2人ともナポリ出身なんだ。チーロがトリノに直行したのに対して、僕は“寄り道”をしたという点が違うだけ。チーロは偉大なるカンピオーネさ。身体的にもまだ十分にやっていけるし、少年のような情熱もまだ持ち合わせている。 |
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