「僕のような男はバロン・ドールなんて縁のない話だよ。
でも、世界のベスト50以内に常に自分の名前が挙がっているのは
光栄なことだけどね」と殊勝に語るパヴェル・ネドヴェド。
今シーズン、なかなか調子の上がらないラツィオの中にあって、
唯一、安定感あふれる堅実なプレーを見せている。
移籍の噂が絶えないラツィオのプレイメーカーを直撃する。

文●マッテオ・ダッラ・ヴィーテ text by Matteo DALLA VITE
写真●兼子愼一郎、グエリン・スポルティーヴォ 
photo by Shin-ichiro KANEKO/GUERIN SPORTIVO

「昨シーズン、僕たちは神経質になっていたんだ。怒りもしたし、ピッチ上では汚い言葉で罵り合ったりもしていたさ。それでも問題はなかった。いろいろあったけど、それが本物の緊張感というものさ。ところが、今シーズンは緊張感ゼロだ。穏やかなもんだよ。いや、穏やかすぎるんだ。だから、余計『クソ食らえ!』っていう気持ちになるんだよ。何も知らないふりをして我慢するよりも、チーム内で言いたいことを言い合ったほうがいいに決まってる。そのほうがきっといい結果をもたらすはずだよ」

ローマ市郊外、フォルメッロの林の中(ラツィオの練習場のある場所)での午後のひと時。リラックスしてビリヤードに興ずる今シーズンはどこか空しい。

「僕はピッチの内と外では全く異なる男なんだ。プレーしている時は、心に悪魔が宿るんだよ。だから、“やり合う”ことが多いのさ。レフェリーのジャッジに対しても文句を言うよ。でも、ピッチの外じゃ正反対さ。素晴らしい家族を持っているおかげだよ」

そう、彼の傍らには妻のイヴァーナ、そして4歳になる愛娘イヴァーナと、1歳になったばかりのミニ・パヴェルがいる。ミニ・パヴェルときたら、まさにネドヴェドのクローン人間のようだ。
「ちょっとした思いつきだったんだけど、僕と妻のイヴァーナは子供たちに自分たちと同じ名前をつけたんだ。将来、僕と妻と同じ名前の人間が両親と同じように愛し合って生きていくことを願って、子供たちに同じ名前を名付けたんだよ」

1972年にチェコのチェブで生まれたパヴェル・ネドヴェド。今では国際的に名の知られたプレーヤーである。彼はゼマンと同じように、相手の目を見据えながら、あたかも相手の心を探るかのような鋭い目付きで話す。

「この前、ゼマンと話したよ。お父さんの具合が悪いらしいんだ。ずいぶん気落ちしていたし、とても寂しそうだった……。 それにしても、ナポリはゼマンに対してひどい扱いをしたものだよ」
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