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今シーズン開幕前、ヤ―プ・スタムの獲得を決めた時、ミランのフロント陣はアレッサンドロ・ネスタとのセンターバックコンビを作ろうと考えていた。 これは実に賢明な選択だった。確かにパオロ・マルディーニとアレッサンドロ・コスタクルタはまだまだ元気だとは言え、彼らも今や30代後半。DF陣の世代交代は必要不可欠だった。加えて、スタムはラツィオ時代にもネスタとコンビを組んでいた経験がある。彼らは当時、セリエAでも屈指のセンターバックコンビとしてラツィオのスクデット獲得に大きく貢献した。おそらく、ミランフロント陣の頭の中には、当時の最強コンビ復活の青写真ができていたはずだ。 スタムの加入が決まった時、多くの人間は彼こそがミランDF陣の要になると考えた。だが、それは大きな間違いだった。事実、今シーズンの前半戦でミランのディフェンスラインを統率したのはアレッサンドロ・ネスタのほうだ。スタムはけがで早々と戦線離脱、マルディーニは左サイドでの出場が多かった。カフーは前方へ攻め上がることが多く、守備での貢献度は低かった。つまり、最終ラインの裏を取られたり、ゴールを背にして敵と一対一になったりした時、最後の砦となるのはやはりネスタの足だったというわけだ。ゴール前のネスタは、まるで相手の進路を前もって知らされているかのように、いとも簡単に攻撃を防いでみせる。今の彼は、言わばピッチ上の渋滞を仕切る警察官のような存在なのだ。彼に前を塞がれたら、いかなる野望を持つストライカーでも立ち止まるより他はない。 昔から優秀なDFを数多く輩出してきたイタリアは、ここへ来て自分たちのサッカーを再考する時期を迎えている。2002年W杯、EURO2004での惨敗を受け、我々は「ビッグタイトル獲得のためには、もはや守備を固めるだけでは不十分」という結論に至ったのである。そのため、あろうことかネスタのような優秀なセンターバックの実力さえ、見直すべきだということになっている。センターバックは、相手の攻撃を食い止める優秀な防波堤であるだけでなく、攻撃時、特にセットプレーの時にチームにゴールをもたらす存在でなくてはならない。そんな意見がまかり通っているのだ。 確かに尊重すべき意見だとは思う。しかし、DFにまでゴール能力を求めるその考え方は、本来この半島にはなかったものだ。イタリアの批評家たちは、こうした舶来の思想に惑わされ、ネスタのような選手が持つ真の価値を見失いつつあるのではないだろうか。そう、センターバックは本来、自軍の“ペナルティーエリア内の主”であるべきだ。つまり、自陣深くで力の差を示す、そんな選手である。わざわざ敵のゴール前まで行って何かをする必要など、本当にあるのだろうか? 勝利を手にするチームの哲学は、いつの時代も変わらない。それぞれのポジションで相手を上回ることだ。ネスタがゴールを死守している限り、ミランは勝利を手にするはずである。 |
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