本誌記事 WebCALCiO 2002
サブタイトル

リーノ、君はかつてスコットランドへの熱い想いを語ったことがあったね。「いつの日か、若い頃にプレーしていた、あの場所に帰りたい」と。つまり、君はそう口にするほどグラスゴーに馴染んでいたということだけど、一般的には、そういう考えを持つ人は少ないよね?

  1. レンジャーズには97-98シーズンから2年間在籍した
  2. 98年8月にサレルニターナへ移籍。その後、ミランに加入することになる

ガットゥーゾ(以下G)― あっちで暮らしたことのない人間には分からない考えさ。小さなことだけど、こことは違う部分がたくさんある。例えば、レギュラー選手が自分でシューズを磨いたり、ロッカールームで8時間も議論したりしたこともあった。今、レンジャーズのキャプテンをしているバリー・ファーガソンと部屋を閉め切って議論したことを今でも思い出すよ。あそこには、イタリアにはないスピリットがある。それに、人々のサッカーへの接し方も違うしね。おれが「ミランを退団してあっちに戻りたい」なんて言うと、「何を言っているんだ!」ってみんながバカにするけど、そういうやつは現状を理解していないのさ。

現状というと?

G― スコットランドにいた時のほうが、サッカーに対する大きな情熱を感じていた。心の問題だよ。あそこではみんなが心を込めてプレーしている。自分の信じる道から外れないためにも、そういう心の声を聞く必要があるんだ。

今でも特に懐かしく思うことは?

G― 彼らのスポーツに対する姿勢だな。“オールド・ファーム”でのセルティックとのダービーの朝は、全員がフィッシュ&チップスを食べるんだ。信じられるかい? 土曜日の試合前の昼食に、魚と豆の料理を食べたりもしたな。あの時は、試合中に何度も吐きそうになったよ。それに、ファンの熱狂の仕方も違う。ここでは、ミランvsユーヴェがあるとすると、1カ月くらい前からその話で持ちきりになるだろう。でも、向こうでは、大一番の前でも盛り上がってくるのはゲームの数時間前からなんだ。

そうなんだ?

G― そう、おれたちイタリア人は、サッカーに関しては自分たちが誰よりも知っていると思っている。自分たちがサッカーを教える立場にあるなんて、勘違いしているんだ。でも、実際は違う。ここには文化のかけらもないし、チームの歴史にも無関心。イタリアの選手でクラブのトロフィーの飾ってある部屋に自ら行く選手がいるかい? 歴代の会長の写真を畏敬の念を持って眺めるやつがどこにいる? だいだい、ここでは会長の写真が飾ってあること自体が少ないしね(笑)。例えば、練習場に訪れるレンジャーズの選手は、みんなきちんとスーツにネクタイでやってくる。クラブへ敬意を払っているからね。ところが、イタリアではどうだい? 派手なTシャツにピアス、指輪……まあ、しょうがないとは思うけど。

いやいや、君の言うことは正しいよ。

G― プロを目指す子供たちには、「間違えるんじゃない。そういうことが大事ではないんだぞ!」って言いたいんだ。タトゥーだとかピアスだとか、そんなものはどうでもいいこと。ピッチ上で十字を切ったり、ゴールの後に指輪にキスしたりするのを見るだけで腹が立つんだ。

それはまた別の話じゃないの?

G― 別なもんか。上手くプレーしたいがために神に祈るなんて、そういう考え方自体に腹が立つのさ。その後、テレビで本当に苦しんでいる人を見ると、無性に恥ずかしくなる。ゲン担ぎのために宗教を使うのはよくないと思うし、おれには耐えられないことだね。

でも、君も神の存在を信じているんだろう?

G― もちろん、信じている。懺悔の時の神父さんの説教は嫌いだけどな(笑)。

君だって過ちを犯したこともあるんだろう?

G― もちろん、あるさ。1つや2つはしょっちゅうだよ。大事なのはそこから何かを学ぶこと。ほら、「3回も殴られるのはアホだから」(仏の顔も三度までを意味する格言)って言うだろう?

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