本誌記事 WebCALCiO 2002
サブタイトル

これまでリーノを助けてくれたものは何だい?

G― 両親から受け継いだ性格だね。おれの頑固でけんかっ早い性格は、親父のフランコ譲りなんだ。おれは13歳でカラーブリアの実家を出て、17歳の時にヴェスパからペルージャの下部組織に移った。そして、ペルージャでプレーした後、グラスゴー行きの飛行機に乗り込んだのさ。

向こうでの生活は楽じゃなかっただろう?

G― 今でも初めてスコットランドへ行った時のこと、グラスゴー空港に降り立った時のことをはっきりと覚えているよ。特に、最初の2カ月間はひどかった。知り合いもいないし、英語も全くしゃべれなかったからね。あの時は、イタリア人に出会うと本当にほっとしたもんだよ。

マリオに出会ったのはそんな時だったのかい?

G― そう、彼が経営するイタリアンレストランに招待してくれたんだ。彼のおかげでおれは笑顔を取り戻すことができた。その彼が、今ではおれの義理の親父になっているんだから、不思議なもんだよ。それから、グラスゴーを発った日のこともよく覚えている。夜中の12時発のフライトでね。友人に挨拶している暇もなかった。サレルニターナへの入団が決まったのが、メルカートの最後の最後だったのさ。あの時もみんなからこう言われたよ。「なぜ、わざわざサレルノに行くんだ? 君のサッカー人生において、それは後退じゃないか」ってね。

でも、君は自分の意志を通した。

G― そう、いつものようにね。さっきも言ったけど、頑固さは親父譲りなんだ。おふくろのコスタンツァからは人間としての生き方を学んだ。おふくろはおれが大金を稼いでいることが、今でも信じられないって言ってるよ。

えっ、どういう意味だい?

G― いつだったが、おふくろに1000ユーロ(約13万5000円)の小遣いをあげたことがあったんだ。そうしたら、おれのことを不思議そうに見るんだよ。つまり、おふくろには理解できないのさ。おれがサッカーで大金を稼いでいるという事実をね。

リーノ、それが本当の生活というものさ。今、このインタビューを読んでいる読者の多くは、君のお母さんのように普通の生活をしている人たちなんだよ。

G― よく分かっているよ。おれたちサッカー選手の生活は、普通の生活とはかけ離れているからね。周りに“おかしな人間”も集まってくるし。

“おかしな人間”?

G― 頭のおかしいやつらさ。しかも、筋金入りのね。

おかしいやつか、そうでないか、どうやって見分けるんだい?

G― すぐに分かるよ。そういう人間は、おれの周辺で問題が起こると、すぐにどっかに行ってしまうからな。重要なのは、現実世界とのつながりを断ち切らないこと。頼りになるのは子供の頃からの親友さ。例えば、ミラノでおれの身の回りの面倒を見てくれているサルヴァトーレや、カラーブリアでおれが所有しているチーム、マリーナ・ディ・スキアヴォネア(ディレンタンティのカテゴリー、プロモツィーネに所属)の監督をしているヴァレンティーノ・グエリエロ。2人とも子供の頃からの友達なんだ。

リーノ、君にとって、人気者になるということは何を意味するのかな?

G― それは、グラスゴーにいた時に学んだ。スコットランドに行った当時は、サインを求められることは1週間に数回程度だった。でも、ある日曜日、レンジャースとセルティックのBチーム同士の試合の後、突然、道で呼び止められたんだ。それで、その後はサイン攻めにあったよ。

その時から“ガットゥーゾ崇拝”が始まったと?

G― あの頃のおれは、まるで鍛冶屋みたいに毎日一生懸命練習していた。“ガットゥーゾ流”のプレースタイルが形成されたのは、あの頃さ。時にはすべてを蹴散らすつもりで走り回っていたよ。入団当初、ファンはおれにイタリア仕込みのテクニックを期待していた。でも、実際には、おれは彼ら以上にスコットランド的な男だった。つまり、泥くさいプレーを身上とする選手だったんだ。だから、すぐに人気者になることができたのさ。

そうだろうね。

G― 分かるだろう? おれのサッカーの原点はあそこにある。凍りつくような冬の夜のゲーム、降りしきる冷たい雨、口から漏れる白い息、そして全員が死に物狂いでプレーする。そういう雰囲気がおれは好きなのさ!

すごくよく分かるよ。

G― だから、おれが「あっちのサッカーが好きだ」と言ったとしても、ミラニスタには理解してもらいたい。それは、裏切りとは違うんだ。それと、「あいつにはミランのキャプテンマークの重みが分かっているのか!」、みたいなことも言ってほしくないね。

確かに君は次期キャプテンと言われている。その重み?

G― ミランのキャプテンなんだから、身ぎれいにすべきだと言う人がいるんだ。おれはこのとおり、髭も剃らない不精者。それで、よく言われるんだ。「リーノ、髭くらい剃ったらどうだ。みっともない」ってね。でも、おれはこういう人間なんだよ。おれ自身、こういう自分が大好きなんだ。

キャプテンを務めることと髭、どういう関係にあるんだろうね。

G― たぶん、テレビなんかで話す時に見栄えを気にするべきだって言いたいんだろうな。「ミランのキャプテンはそうあるべきだ」ってね。そういう意味じゃ、おれなんかよりもミランのキャプテンに相応しい人間はたくさんいるはずさ。ピッチ上でもおれ以上の働きを見せている選手がね。

つまり、君は“テレビ映りのいいカルチャトーレ”なんかに興味はないってことかい?

G― 変な質問をしないでくれよ。カルチョへの情熱の話だけしようじゃないか。ここ数年、大事なことを話す機会が本当に少なくなった。例えば、サッカーを始めた頃のこととかね。

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