本誌記事 WebCALCiO 2002
サブタイトル

W杯の予想はこの6カ月間全く変わっていない。つまり、ほとんどの人がブラジルを優勝候補の筆頭に挙げているということさ。君はブラジルをどう見ている?

T― 優勝候補の筆頭だと思う。ロナウド、ロナウジーニョ、カカー、アドリアーノで構成する攻撃陣の破壊力は抜群だからね。ブラジルほどカンピオーネを揃えた国はいない。ブラジルほどの攻撃力を備えたチームも他にはない。ロビーニョみたいな若手も育っている。今のところ、ブラジルには死角がない。優勝候補と考えられるのは当然だろうね。

イタリアが入ったグループEはかなり厳しいものになりそうだ。

T― 抽選会を見ていて、「厳しいグループに入った」という印象を受けた。グループリーグと言えど油断は全くできない。初戦のガーナ戦からトップギアに入れなくてはならないだろうね。3試合全部に勝つつもりで戦わなくてはならないと思っている。2位通過だと決勝トーナメント1回戦でブラジルと当たる可能性が高いからね。避けられるものなら避けたい相手だよ。だから、とにかくグループリーグを1位で突破することが必要なんだ。常識的に見れば、チェコが最大のライバルということになるんだろうけど、ガーナのテクニックとパワーも無視できない。この10数年、確実な進歩を遂げているアメリカも不気味だ。特にモティベーションの高さは要注意だ。だけど……。

どこも油断できない相手だということだね。

T― でも、理論と実践は全く別なことも確かだ。W杯のような大きな大会では、時として技術が無意味なものになることがある。多くの場合、フィジカルとメンタルが勝負を分けるものだと聞いている。だからこそ、万全の状態を保つことが重要なんだ。

君の話題に戻ろう。今大会の個人的な目標を挙げてもらえるかな?

T― ヴィオラで成し遂げたことがまぐれではないことを国際舞台で立証したいと思っている。今シーズン、僕は自分のサッカー人生で最高の成績を収めることができた。ヴィオラのシーズン得点記録を塗り替えたし、代表でのポジションもある程度確立できた。だからこそ、W杯の舞台で「これがルーカ・トーニの実力だ」ということを改めて世界に示したいと思っているんだ。

W杯開幕直前の今のコンディションは?

T― カンピオナート終了時点では、疲労が最大限に蓄積していた。だけど、1週間を休養に充てることができて救われたという感じだね。1週間の休養でシーズンの疲労をほぼ完全に取り去ることができた。今は疲労を感じていないし、コンディションも最高だ。身体的コンディションだけでなく、メンタルコンディションも良い状態にある。大きな冒険に立ち向かうために準備万端と言ったところだね。今シーズンの僕はフィオレンティーナで“黄金の時”を過ごした。あと1カ月だけ、その“黄金の時”が続いてくれることを願っているよ。

リッピが攻撃的志向の強いアッズーリを作り上げたことに関して、どう思っている?

T― すごく良いことだと思っている。スペクタクルなサッカーを見せることでファンも喜んでくれると思うしね。本大会でも攻撃的なサッカーをやりたいと全員が思っているよ。リッピ監督もそのつもりだろう。どういう顔ぶれになるか分からないけど、“2トップ+トップ下”という攻撃のシステムは変わらないと思うよ。

正直に言ってほしいんだけど、今回のアッズーリにおけるキープレーヤーは自分だという認識はあるんだろう?

T― 正直言って、今シーズンは最高のプレーができたと思っている。おかげで、リッピの信頼も勝ち得たはずだ。ただ、最終的にリッピがどういう選択をするか、僕には何とも言えない。僕としては準備万端だとしか言えないのさ。もちろん、代表に貢献したいって気持ちはものすごく強いよ。せっかくだから、W杯で颯爽としたデビューを飾りたいと願っている。少なくとも1ゴールは記録したいと思っているよ。ただ、すべてはリッピ監督の選択次第さ。もちろん、出番を与えられたら、すべての力を出し尽くすつもりだ。

現時点で、ポジション争いの最大のライバルはピッポ・インザーギなのかな?

T― インザーギの存在は僕にとって脅威にはなり得ない。彼はチームメートであり、仲間なんだ。W杯で勝ち進むためには全員の力が必要になるはず。ピッポは国際経験豊富だし、ペナルティーエリア内では特別な力を発揮する選手さ。それに、カンピオナート終盤からずっと調子が良い。W杯ではイタリア代表の大きな力になってくれるはずさ。ポジション争いということではライバルはピッポだけじゃない。イアクインタだっているからね。今シーズンの序盤戦は故障などで思ったようなプレーができなかったけど、終盤戦では最高のパフォーマンスを見せていた。彼もアッズーリの大きな戦力になるはずさ。

パオロ・ロッシは「トーニはイタリアの希望だ」と言っていた。それを聞いてどんな気分だった?

T― そう言ってもらえてとてもうれしい。彼の言うとおりになればいいんだけどね。僕はこれまでに一度もヨーロッパの舞台を経験していない。そんな僕が、パオロ・ロッシみたいにW杯で活躍して、イタリアを優勝に導くことができれば最高なんだけど。

これまで多くのW杯を観てきたと思うけど、特に印象に残っている場面はある?

T― やはりイタリア大会の印象が強いね。バッジョの見せた数々のパフォーマンスは今でも覚えているよ。それに、02年のトッティの“不当な退場”かな。


このドイツ大会で経験するであろう最高の場面を想像してくれるかな?

T― ワールドカップを天に掲げる瞬間だろうね。それがまさに僕の願いであり、僕らアッズーリの夢なんだ。僕自身、今のイタリア代表なら、その夢の実現は決して不可能ではないと信じている。すごく強いチームができ上がっていると思うんだ。誰もがW杯で勝利を収めることに集中している。高いモティベーションを保っている。厳しいグループにいることは確かだ。ベスト16でブラジルと衝突する可能性があることも分かっている。W杯では、たった一つのミスで帰国しなきゃならないようなリスクを背負って戦わなきゃいけない。だけど、僕は楽観的に考えている。確かにブラジルは大本命だ。ただ、イタリアに簡単に勝てると思ったら大間違いさ。

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