本誌記事 WebCALCiO 2002
サブタイトル

エルナン、3シーズンぶりにインテルに復帰してみて、最初に感じたことを教えてくれるかな?

クレスポ(以下C)― このチームから3年間も離れていたなんて、とても信じられない。もしかして3日間の間違いなんじゃないか? 冗談じゃなくそう思っているよ(笑)。インテルは僕にとって一番くつろげる我が家のようなチーム。3年前、アッピアーノ・ジェンティーレを去った日のことを今でも思い出すよ。あの日、僕はロッカールームにあった自分の荷物をまとめながら悲しくて涙を流したんだ。インテルで過ごした1年は、僕にとって最高の年だったからね。サッカー選手としてだけでなく、一人の人間としてこのチームが大好きなんだ。3年前のあの日、「なぜこんなにも素晴らしいチームから出て行かなければならないんだ」と何度も自問していたよ。そして、あれから3年が経ち、僕は再びアッピアーノ・ジェンティーレに戻ってきた。ここに来てうれしかったのは、インテルの雰囲気が少しも変わっていなかったこと。だから、今は本当に最高の気分だ。

今、君は「少しも変わっていない」と言ったよね。でも、3シーズン前と今シーズンではかなりの違いがある。何しろ今シーズンのインテルは、他のチームを圧倒する勢いでセリエAの首位を快走しているんだからね。

C― 確かにそうだよ。ただ、僕が言いたいのはピッチ上での結果のことではなく、あくまでチームの雰囲気のことさ。もっとも、3シーズン前のインテルも決して弱いチームじゃなかった。サッカーというのは運に左右されるスポーツ。僕ら選手から見ると、君たちジャーナリストやティフォージは、いつも結果にこだわりすぎているように感じる。サッカーにおける“結果”とは何のことだと思う? 結局はボールがゴールネットに何回突き刺さったかということだけさ。いくら良いサッカーをしていても、相手にたった一つのミスを突かれて負けてしまう時だってある。それがサッカーというスポーツなんだよ。確かに、今シーズンのインテルは3年前の時よりもはるかにハイペースで勝ち星を積み上げている。でも、当時だってインテルは十分に首位争いができるチームだった。プレーの質でも今シーズンのインテルと遜色なかったと思うよ。

ただ、今のインテルはやはりいつもとは違うようだ。実際に、これほど強いインテルを見たのはここ10年で初めてだよ。

C― インテルが変わったと言うよりも、イタリアサッカー界全体が変わったというべきじゃないかな。どう変わったのかは、僕が今さら説明することじゃないだろう? もちろん、カルチョ・スキャンダルだけがインテル独走の要因ではない。でも、やはり何らかの関わりはあるはず。もし3シーズン前のインテルと今のチームに違いがあるとすれば、おそらく精神面だろうね。今のインテルの選手たちには、かつてないほどの自信がみなぎっている。傍から見れば小さなことかもしれないけど、実際は違う。例えば、マテラッツィの変わりようが良い例だよ。

どういうことかな?

C― 彼は昨年の夏、アッズーリのレギュラーとして、イタリアのワールドカップ制覇に貢献した。そのことがマルコ(マテラッツィ)を大きく成長させたのさ。今の彼は、自分が世界でも有数のDFであることをはっきりと自覚している。もっとも、彼は以前からかなりの自信家だったけどね。でも、その自信が今や確信に変わってきたんだ。これは決して小さなことじゃない。スポーツというのは一種の心理学だ。自分のプレーに自信を持つことで選手は大きく成長する。今シーズンのマルコのプレーを見ていれば、それがはっきりと分かるはずさ。

審判の判定にも変化を感じないかい? 昨シーズンまでのインテルは審判の不利な判定にずいぶん泣かされてきた。ところが、今シーズンは審判からの“被害”もだいぶ少なくなったようだね。

C― それはどうかな。僕の口からは何も言えない。その問題については、もう少し広い視点でじっくりと分析していく必要があるね。僕は実際、ピッチ上でプレーしている人間。この種の議論は基本的に苦手なんだ。確かにここ10数年、インテルが審判の判定に恵まれたことはほとんどなかったんだろうね。それはその間、インテルがピッチ上でスクデットを一度も獲得していないことからも分かる。ただ、今そのことをとやかく言っても仕方がない。僕ら選手が考えるべきことは、過去に起こったことじゃなくて、これからしなければならないことのほうさ。今シーズン、僕らインテルはようやくカンピオナートで良いスタートを切れた。ティフォージも喜んでくれている。僕にとっては、それこそが大事なことであって、それ以外のことは正直どうでもいいことなんだ。

評論家の多くが、「スクデットはもはやインテルで決まり!」と言っている。これについてはどう思う?

C― それは違う! 決まりなんてとんでもない。スポーツ選手が陥りやすい最も危険な過ちは、戦いの途中で「自分たちが勝った」と思い込んでしまうことさ。すぐにあきらめてしまうのも悪いけど、こうした“思い込み”こそ本当に危険なんだ。確かに、今のインテルでは選手全員が「勝つんだ」という強い気持ちを持って試合に臨んでいる。でも、そういう気持ちと「スクデットはもう僕らの物」と思うのは全く別の話。実際に、僕らの背後にはわずかな差でローマが追走してきている。彼らがインテルとの差を縮める力を持ったチームであることは、僕ら自身が一番よく分かっている。たとえ10ポイント以上の差がついたとしても油断してはいけない。そんな差は3試合もあれば、すぐに詰められてしまう。だから、現状の差なんていうのは、現代サッカーでは決して大きな差とは言えないのさ。最終節まで決して気を抜いてはいけない。そのためにも、まずはケガ人を最少限にとどめること。それから決して“大崩れ”しないことも重要だ。できれば、今のペースでシーズンの最後まで走り抜けていきたいね。

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