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君がセリエAにデビューした23年前と今のカルチョの違いは?
M─ 本当に多くのことが変わってしまった。最も変化したのはカルチョを取り巻く環境だ。もちろん、プレー自体も大きく変わった。プレースピードは毎年上がるばかりだし、個人技よりも戦術を重んじる傾向が強くなった。一言で表すなら、「すべてが標準化した」という感じかな。ただ、最初に言ったけど、本当に変わったのは環境だ。テレビ、チャンピオンズリーグの形式、サッカー界全体の制度の改革……すべてを挙げていったらキリがないよ。今のチャンピオンズリーグへの注目度を考えてみてほしい。マスコミが取り上げる頻度だけを言えば、もしかしたら20年前のワールドカップよりも多いかもしれない。僕がセリエAにデビューした頃、カンピオナートの試合はすべて日曜日の同じ時間に始まっていた。テレビの生中継はなく、夕方に1試合の前半か後半が放映されるだけ。ところが今はどうだい? カンピオナートの試合がすべてリアルタイムで見ることができるし、しかもイタリアだけじゃなく世界中で見ることができるんだ。本当に信じられないよ。もちろん、それはそれでいいことだと思うけどね。 ただ、中には、「プレッシャーで本来のプレーができなくなってきている」などと語る選手もいる。 M─ 僕はそうは思わない。人々のサッカーへの関心は、他のスポーツに比べて格段に高い。注目されることでサッカー界が発展しているということは無視できない事実だよ。 ところで、今シーズンのミランは無冠に終わる可能性がある。と言うより、その可能性はかなり高いと言わざるを得ない。このまま行くと、君の輝かしいサッカー人生の汚点となることも考えられるんじゃないかな? M─ まあ、そんなに焦らないでくれよ。確かに、スクデットの可能性はもうない。でも、チャンピオンズリーグはどうなるかまだ分からないよ。今シーズンは終盤に波乱が起こる試合が多いからね。決勝トーナメント1回戦のバルセローナvsリヴァプールを見ただろう? バルサがホームで敗れた試合さ。それにしても、リヴァプールはいつも逆転勝ちだね(笑)。チャンピオンズリーグでの僕らの目標は少しでも良い成績を残すこと。勝負は準々決勝での組み合わせが決まってからだ。もっとも、チームの調子は少しずつ上がってきているし、ケガ人も戻ってきた。僕らがチャンピオンズリーグで良い成績を残す可能性はまだ十分にあるよ。 これまでで最も印象に残っている試合は? M─ 94年のアテネでのチャンピオンズリーグ決勝かな。94年の夏は、本当に密度の濃い数カ月だった。自身3度目のスクデット、チャンピオンズリーグでの優勝、そして、PK戦で敗れたアメリカW杯での決勝と、本当に目まぐるしい夏だったよ。特に、チャンピオンズリーグ決勝のバルサ戦は歴史に残る一戦だった。あの時はバルサのほうが絶対的優勢と見られていた。世界中の評論家がバルサの優勝を予想していたんだ。それに、あの日、僕らはバレージとコスタクルタを出場停止で欠いていた。彼らは決勝の地、アテネにも入らず、すでにアメリカW杯に向けた合宿に合流していた。そんな中、当時の指揮官ファビオ・カペッロはチームを完璧な状態に仕上げてアテネのピッチに送り込んだんだ。そのおかげで僕ら選手はいい仕事ができた。マウロ・タッソッティ、フィリッポ・ガッリ、そして、若き日のクリスティアン・パヌッチがいた。ズヴォニミール・ボバンが右サイドに入り、マルセロ・デサイーは中盤を任された。いつもとは違う布陣に、バルサを率いていたヨハン・クライフはさぞ混乱したことだろうね。試合開始から20分後には、ダニエレ・マッサーロのゴールで僕らが先制。その後はもう言う必要はないよね。 そして、君たちは4‐0でバルサを一蹴した。もっとも、君たちはその前の89年、90年にも名将アリゴ・サッキとともにヨーロッパを制している。あえて94年の決勝を挙げたのはなぜかな? M─ その2つの優勝も、もちろん印象深い。特に、89年の優勝は、僕にとって初めてのヨーロッパ制覇だったから、すごくうれしかったよ。あの時のミランは本当に強かった。チャンピオンズカップは当時のチームにとって、最後の総仕上げとも言うべき大会だったんだ。あの時のミランの周囲には、試合をする前から「勝てる」という雰囲気が漂っていた。でも、当時、僕はまだ20歳。無我夢中だったから、気がついたら優勝していたという感じだったんだ。94年のアテネでの勝利のほうが印象に残っているのはそのためだと思う。 逆に、長い現役生活で最大の屈辱を味わった試合は? M─ 決勝で負けると本当につらい思いを味わう。ただ、数年後に振り返って見ると、逆に「あそこまでやれた」という充実感のほうが大きくなって、失望をあまり感じなくなる。例えばイスタンブールでのリヴァプール戦がそう。負けた瞬間は本当につらかったよ。あの日、僕は珍しくゴールも決めていたからね(笑)。でも、今は決勝まで進むことができたんだから、それでよしとしなければいけないという気持ちに変わってきた。2年連続で決勝進出を逃したインテルのこと、03年にマンチェスターで僕らに敗れたユヴェントスのことを考えたら、05年のチャンピオンズリーグはいい大会だったと思わなければいけないんだろうね。むしろ、00年、01年に2年連続でトルコのガラタサライに敗れて決勝トーナメント進出を逃したことのほうが悔しかった。決勝戦ではなかったけど、格下に敗れた上、グループリーグ敗退を余儀なくされただけにかなり悔しかったんだ。特に、00年は1次リーグでの敗退だった。毎シーズンのようにチャンピオンズリーグに出場している僕らにとっては悪夢にも似た出来事だったよ。 |
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