パルマ戦の試合終了の笛が吹かれた瞬間、どんな気分だった? 初めてスクデットを獲ったという実感はあったのかな?
バティストゥータ(以下B) ―― まず感じたのは解放感かな。あとは喜びの渦の中にいたよ。僕自身、チームメイト、ファン、みんなが喜びの渦の中にいたという感じさ。終盤戦の戦いがキツかっただけに、その分、喜びも大きかったんだ。何せ、何度か優勝を決められる状況で勝てなかったからね。ゴールに近づいたと思うと、また離れてしまう……そんなキツい戦いだっただけに、ストレスもたまっていたさ。そんな苦痛からやっと解放されたという安堵感もあった。でも、最後はオリンピコで優勝を決めることができてラッキーだったと思うよ。8万本のジャッロロッソのフラッグはすごかった。あの光景を目にした瞬間、ゾクゾクしたよ。サッカーというのは、時として、何ものにも代えがたい“情熱”をプレゼントしてくれるんだ。
冷静になってリーグ戦を振り返るとどんな感じかな?
B ―― 去年の夏、フィレンツェを去るにあたってずいぶん悩んだが、いい決断をしたと思っている。特に、首都ローマを、ASローマというチームを選んで正解だったという気がしている。僕がローマからのオファーを受入れた時、そして、センシ会長のプロジェクトに賛同した時、多くの人が否定的な見方をしていた。「ローマに行ったって、何のタイトルも獲れないさ」と言う人が多かった。だが、彼らは間違っていたんだ。僕らはそのことを証明したんだよ。要するに僕の選択が正しかったということさ。だからといって、僕の心までフィレンツェから離れてしまったというわけではないからね。フィレンツェはいつだって僕の心の故郷なんだ。
最高のシーズンだった。
だが、同時に、君にとっては、ケガが原因で最もキツいシーズンだったのでは?
B ―― 君の言うとおりだよ。その点に関してはラッキーとは言えないシーズンだった。た
だ、自分のプレーには満足しているよ。特に前半戦では数多くのゴールを決めることができたと思っている。確かに、長期間に渡って、片足でプレーする状態だったから、思ったようなプレーができなかった。そういった意味では、ロマニスタはまだ本物の“バティ”を見ていないということさ。「来シーズンの“バティ”を見てくれ」と言いたいな。チャンピオンズリーグでも本物の“バティ”を見せるつもりだよ。バカンスを早めに切り上げ、夏のキャンプにはベストの状態で臨むつもりさ。僕がローマにとって“最高の買い物”であったということを証明したいね。
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| 元チームメイトのトルドと抱き合うバティ。フィレンツェの町には思い出がいっぱい詰まっている |
ローマでスクデットを1回、フィレンツェでコッパイタリアを1回……。
君ほどのカンピオーネからしたらタイトルの数はあまりにも少ないよね?
B ―― 仕方がないさ。フィレンツェでタイトルを獲れというのは難しい注文だよ。でも、ローマだったら今後も多くのタイトルが獲れそうな気がしているんだ。来て早々スクデットだからね。さらに前進したいという気持ちでいっぱいなんだよ。「食べれば食べるほど食欲が湧いてくる」と言うだろう? 僕は食事をし始めたばかりなんだ。
ローマでの生活には慣れた?
B ―― 美しい町だよ。いろいろな面でフィレンツェとよく似ている。だから、町に慣れるのには苦労しなかったさ。僕はローマの郊外、海の近くに家を借りたんだ。何せ、ロマニスタは熱狂的だからね。町中にいると落ち着けないと思って、郊外に住むことにしたんだ。フィレンツェからローマに引っ越しする時は、家族への影響を心配したよ。特に、長男のティアーゴや、妻のイリーナのことが心配だったんだ。何せ、友達がたくさんいたフィレンツェを離れるんだからね。でも、心配は無用だった。彼らもローマでの生活にもう完全になじんでいるよ。
ローマのチームメイトにはすぐなじんだの?
B ―― 全然問題なかったよ。共通の目的があったからね。全員が勝ちたいと願っていた。そして、僕らは勝利をモノにしたんだ。チームのまとまりという面でもローマは最高だった。団結心とかチームワークを十分に立証できたと思うよ。ピンチになった時でも、チームの団結心は失われなかったさ。
第6節で首位に立ち、それ以来ずっと首位をキープして優勝した。
ピンチなんてあったの?
B ―― チームとしての団結力があったからこそ、ピンチを未然に防げたんだよ。ローマは精神的にも強いチームなんだ。各人が各人の力を認識しているんだ。それに、背後には将来をしっかり見据えた組織があるというのも強みだよ。
スクデット獲得におけるカペッロの役割、あるいは、カペッロの功績をどう解釈したらいいのだろうか?
B ―― カペッロの果たした役割は非常に大きなものだよ。彼は僕ら選手に“勝利のメンタリティー”を植えつけたんだ。彼は決断力の強さでそれを示したのさ。彼には、「決してめげない。決して諦めない」という強い精神力があるんだ。彼の怒りとか決断力がチーム内にいい意味での緊張感を生み出していたんだ。最高の監督だよ。
君は一度も交代させられていないからそう言えるんじゃないかな?
B ―― そんなことはないと思うな。彼はゲームを理解しているのさ。ゲームの読みにかけては天下一品だよ。確かに、僕は一度も途中で引っ込められてはいない。それはそれで僕は満足しているよ。スクデットを獲ったチームのレギュラーであるというのはうれしいことだよ。
今シーズン、初めてローマ・ダービーを体験したわけだけど、どんな印象を受けた?
B ―― すごいゲームだよ。観客の興奮の仕方も並じゃないよね。特に、僕が先制ゴールを決めた時(第28節)なんてすごかっただろう? あんな雰囲気でプレーするのは初めてだったさ。フィレンツェにいた時は、ユーヴェ戦での盛り上がりがすごかったけど、ローマ・ダービーの比ではないよ。むしろ、フラッグや観客の興奮度という面ではアルゼンチンのボカvsリーベル戦に似ているかな。 |