“我がミラン”がルイ・コスタを
獲得したと聞いてうれしかったよ。
今シーズンは、ミランの
巻き返しがあるんじゃないかな。
レオ、君は9年ぶりにブラジルに戻ったわけなんだけど、故郷の様子はどうだい?前よりも良くなっている、それとも悪くなっている?

レオナルド(以下) ―― 今から半世紀以上前、オーストリア出身のある作家がこんなことを書いてるんだ。「ブラジルは未来がある国だ」って。彼の言った“未来”がやっと始まったって感じだね。人々も政府も、今まで社会にはびこっていた不正や不平等をなんとか取り除こうと必死だよ。モラルを回復しようとする気持ちが感じられるんだ。ブラジルの未来に関して、僕はすごく楽観的だよ。


レオナルドは、再びサンパウロのユニフォームを着てプレーすることになった。今やチーム、代表ともに1番のベテランとなっている
ブラジルに戻ったというのは、やっぱり、“サウダージ”(ポルトガル語でホームシックを意味する言葉)からかな?

 ―― “サウダージ”は、もっと強い感情を表す言葉だろ。帰りたくてどうしようもないなんて気持ちは感じなかったよ。僕の場合は、何カ月も十分に考えたうえで帰国を決めたんだから。僕は人生の約1/3を海外で過ごしてきた。そこで多くの重要な経験を積むことができたし、多くの人々との素晴らしい出会いもあったわけだけど、自分自身こう思ったんだ。「もうこれで十分なんじゃないか。そろそろ故郷に戻ってプレーするのも悪くないんじゃないか」ってね。それに子供たちのことも気になった。彼らは今まで一度も、故郷で“暮らした”ことがなかったんだ。そろそろ彼らに、祖国ブラジルの伝統や音楽を感じさせたかったんだよ。もちろん、ミラノに戻って友人たちに会いたくなることも時々あるけどね。

イタリアのことで特に懐かしく思うのはどんなこと?

 ―― イタリアの文化、都市、おいしい料理、少しバランスを欠いたイタリアの社会全体が懐かしいね。それからミラネッロ。あそこには、最高の環境が整っていた。ホペイロからクラブ首脳まで、みんな僕の大切な友人なんだ。個人的に誰に会いたいかって?少なくとも20人はいるな。一番最近話したのは、ズヴォニミール・ボバンだよ。彼はスペインのセルタに移籍したらしいね。残念だよ。ブラジルに来てプレーすればよかったのにね。

君はまずスペインでプレーしたあと、日本に行って、その後はフランス、イタリアと遍歴を続けてきた。それぞれの地で、どんなことを学んだのかな?

 ―― そうだね。バレンシアで僕の海外でのキャリアが始まったんだけど、すごくいいスタートが切れたと思っている。バレンシアはまるでリオの町みたいだった。浜辺があって、人々はいつもフェスタに興じていたよ。日本では、規律とグループでの仕事の大切さを学んだ。日本は経済だけでなく、ここ数年でサッカーのレベルもすごく向上しているんだよ。鹿島アントラーズというチームでプレーしていたんだけど、その時初めてナカタを知った。彼はまだ17歳だったけど、その時からもう才能の片鱗を見せていたよ。彼のすごさは意志の強さにあると思う。来年のW杯では、日本代表の主力として、大会の主役の一人になるんじゃないかな。

パリやミラノでの思い出は?

 ―― パリでの生活は、僕に文化的刺激を与えてくれた。他のどこでも味わえないようなあの魅力的な雰囲気、そして、ワインの味が僕を夢中にさせたんだ。イタリアについては……、いまさら言うまでもないよね。すべてが最高だった。

イタリアでも新しいシーズンが始まった。この夏のカルチョメルカートはすごかったけど、君にとって誰の移籍が一番印象的だった?それと、ずばりスクデットを勝ち獲るのはどこだと思う?

 ―― この夏のカルチョメルカートの目玉は、なんといってもルイ・コスタだろうね。すべてのチームが彼を欲しがっていただろう?最後に、“我がミラン”が彼を獲得したと聞いてすごくうれしかったよ。今シーズンはおそらく“ミラノ勢の巻き返し”があるんじゃないかな。ミランは、ルイに加えて、テリムを監督に迎えた。彼はカリスマを持った素晴らしい監督だよ。チームの闘志に再び火をつけるんじゃないかな。それからインテルも周到な補強をしたね。特にクーペルという優秀な指揮官を得たのが大きいよ。ミラノ勢以外には、やはりユーヴェとローマが強そうだね。ラツィオとパルマはワンランクダウンといったところかな。


スペイン、日本、フランス、イタリアと遍歴を続けてきたレオナルド。それぞれの地の思い出を語ってくれた
お金の力で、チームの主力級が簡単に移籍する時代になったよね。“バンディエラ”(チームの旗頭)という概念自体がすでになくなってしまった気さえする。古き良き昔に、もう後戻りはできないのだろうか?

 ―― 移籍金がとんでもない額になってしまっているからね。現実の話とは到底思えないくらいに。その結果、1つのチームへの帰属意識、愛情というものが弱くなってしまってるんじゃないかな。いくつかの例外を除いてね。

フィオレンティーナの“破綻”は、例外的な出来事?
それともこれから起こる危機への警告なのかな?

 ―― とにかく、この状況を軽視するべきではないと思うな。スポンサー、クラブ、テレビの放映権……、ヨーロッパサッカー界のシステム全体に亀裂が生じ始めたような気がする。かつてブラジルで起こったようなことが繰り返されるのかもしれないね。3年ほど前、ブラジルでもヨーロッパと同じくらいの金額が飛び交った時期があったんだ。その後、バブルははじけ、何が残った?瓦礫の山だけさ。だからこそ、ブラジルでは年俸(移籍)システムを改善しつつあるんだ。今では、移籍金や年俸も妥当な金額に抑えられていると思うよ。
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