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カルチョの世界の印象は? サムエル(以下S) ―― イタリア人というのは、全員が全員、このスポーツに夢中なんですね。これには本当に驚きましたよ。 我々はボールの世界に生きているんだよ。 S ―― 中には、奥さんや子供たちを放っぽらかしにして、憧れのプレーヤーに近寄ろうとしたりするんだから、笑ってしまいますよ。ちょっとやりすぎだと思いますよ。
S ―― 時にはそういうこともありますが、だいぶ違うと思いますよ。いや、表面的にはアルゼンチンとイタリアは似ているかもしれない……。ただ、基本的に違うところがあります。 スタジアム暴力のことを言いたいの? S ―― そうですね。そこは根本的な違いですね。イタリアでは馬鹿騒ぎをしますよね。でも、大騒ぎして、そこで終わり。でも、アルゼンチンでは命の危険すらあるのです。アルゼンチンでのサッカー観戦は“命がけ”なんです。それと、もう1つ。これはアルゼンチンにはないことですが、人種差別……。あれは最低ですね。 話は変わるけど、ずっとサッカー選手になることを夢見てきたの? S ―― 子供の頃からの夢というわけじゃありませんでした。でも、ニューウェルズの下部組織でプレーし始めた頃から、「プロのサッカー選手になりたい」と思うようになったんです。14歳の時でした。その頃のポジションはMFでした。14歳から18歳まで、朝から晩までサッカー漬けの生活でした。勉強は全然しませんでしたね。その間に2つのことを理解したんです。1つは、サッカー選手としてやっていけるということ。もう1つは、サッカーだけが大切なのではないということ。他にも大切なことが存在するということを学んだんです。 例えば? S ―― 例えば、家族とか、恋人のセシーリアとか、フィルマットに住む友達とか……。 “馬鹿なこと”をした思い出は? S ―― もちろん、ありますよ。ある日、3、4人でボンネットから煙が出るようなボロボロの車に乗ってディスコに行ったんです。 ディスコ? S ―― まだ若かったんですよ。1週間前の話をしているんじゃないんだから。その日は満員だったんですけど、いきなり周りで殴り合いが始まったんです。僕たちも知らずしてケンカに加わって、押し合いをしている時に、誰かのヒジ打ちが僕の口に飛んできたんです。その瞬間、変な音がして、手を口にやると歯がなかったんですよ。すぐに歯を探しましたよ。ケンカの最中に、仲間と僕だけが、フロアにしゃがんでゴソゴソと抜けた歯を探したんですよ。本当にその光景は“間抜け”に見えたと思いますよ。 同じように、もし、今シーズン、ローマがスクデットを獲り損ねたら“間抜け”に見えるだろうね? S ―― ちょっと勝ち点を取り損ねただけしょう。大袈裟な表現はしないで下さいよ。 ということは? S ―― まだ、スクデットの話をするのは早すぎるということですよ。まだ、折り返し地点を過ぎた所なんですよ。この先、まだ10試合以上も残っているんですから。現時点でスクデットの話をしても意味ないでしょう。 ボカ・ジュニオールスではリーグ優勝を2回経験したよね。その時はどうだったの? S ―― ボカは、その時まで長い間優勝できなかったんです。だから、優勝への思いは相当強かったんです。優勝への強い欲求があったからこそ夢が実現したと思っています。それに、常に冷静さを保てたということも優勝の要因だったと思いますよ。今考えれば、周囲が「もう勝ったも同然」と言っている時にも平静さを保てたということが大きかったですね。
でも、もう勝ったも同然だろう? S ―― だから違うって言ってるじゃないですか。僕たちは、常に客観視しなくてはいけないんですよ。ただ、ファンはすぐに“その気”になってしまうものなんです。だから、選手は常に客観的に状況を判断しなくてはいけないということが言いたいんですよ。常に、地に足をつけているべきなんです。 どのチームが足を地につけて戦っているのかな? S ―― やっぱり、ユヴェントスでしょうね。何といっても、スクデット争いにかけては“慣れっこ”ですからね。状況を心得ているはずですよ。でも、ローマには強力なFW陣がいます。セリエA最強のFW陣がね。 |
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