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もし彼との出会いが なかったら、僕の人生も 変わっちゃっていただろうね ところで君は、ビッグチームには“見えない力”というのがあると思っている? R ―― そうだな。ベンフィカ時代にタイトルを獲った時には……。 君が去ってからは、1度も勝ってないみたいだけど。 R ―― (笑って)そのとおりなんだよ! まあそれはいいんだけど、あの時は確かに勝ったんだ。勝ったんだけど、よく審判とはもめてたんだよ。だから、“見えない力”を感じるってことはあまりなかったね。 イタリアでは? R ―― 僕自身は、レフェリーの心に“心理的隷属意識”が存在するなんて思っちゃいないよ。ただ、ビッグクラブのゲームの笛を吹いている時、彼らが怖じ気づいてるように感じることはあるな。 そんな状況で、フィオレンティーナがスクデットを獲るためには? R ―― 僕らが、他のチームより、ずっとずっと強くなることが必要だろうね。 ところで、もし君がレフェリーだったら、どうする? R ―― もっとコミュニケーションを図りたいな。選手とレフェリーのコミュニケーションが足らないと感じているんだ。ピッチ上で起こる感情の対立をうまくまとめる能力を持つレフェリーも何人かはいるよ。ごく一部のレフェリーは、選手が頭にきちゃっても、それをもう一度冷静にさせる術を心得ているんだ。それが、つまり対話力、コミュニケーションなのさ。ただ、全体的にはコミュニケーションは不足しているね。当然、レフェリーと選手の間の溝は広がるばかりだよ。 もし君が、国際サッカー連盟の人間だったら? R ―― そうだなぁ。まずプレーヤーに助言を求めるな。実際にプレーしているのは、選手たちなわけだからね。ボールを蹴ったこともない人たちが決めたことを守らなきゃならないなんて、やっぱりおかしいよ。2つ目は……、オフサイドの廃止。あのルールは選手と線審の頭を混乱させるだけだからね。 もし君がチェッキ・ゴーリだったら? R ―― 会長になった頃の、彼に戻るな。あの頃の彼は、チームの歯車の一部だったんだ。 今の会長は、チームから離れちゃってる、逃げちゃってるってこと? R ―― 彼には、もっとチームの近くにいてほしい。ただ、僕らと一緒に戦ってほしいだけなんだ。 そのことを、彼に伝えたのかい? R ―― 何度か言った覚えがあるよ。これは僕から彼に対する最後のお願いだったんだ。 最後?ってことは、他にも一杯お願いがあるってこと? R ―― あるね、たくさん。まあ僕は、頻繁に彼と会ってるから……彼と話す機会は多いんだ。チェッキ・ゴーリ・ファミリーの一員として7年もやってきたからね。彼と会って話すことは、楽しみでもあり、また僕の義務のひとつだとも思ってる。 じゃあ……そうだな。もし、君主演の映画ができるとしたら? R ―― 僕は歴史物が好きだから、ナポレオンをやってみたいな。彼の伝記はもう10回以上も読んでるんだよ。 じゃあ、もし、本を書くとしたら? R ―― それは、もうやったよ。 ああ……そうだった。読ませてもらったよ。ベンフィカのチームドクターについてのくだりがあったよね。君は昔、虚弱体質だったんだって? R ―― ベンフィカに入った頃の僕は、ホントに小っちゃくってね。ウチの母親が、「あなたの息子さんは医者の助けが必要だから」って説明されて、それである医者のところに行くことになったんだけど。 それでその医者のところに行ったわけだ。 R ―― そう、それで……、初めて彼と会ったわけだけど。彼には本当にいくらしたってしきれないくらい感謝してるんだ。というのも、ベンフィカは、初め、僕の体がすぐに強くなるような薬を注射してほしいと考えていたんだよ。あきらかに不自然な方法でね。ところが、彼はそれに反対してくれたんだ。そしてチームにこう言えと母親に促してくれたんだよ。「この体のままの息子をとってくれないのなら、私はすぐに、この子を家に連れて帰ります」ってね。彼がいたから、僕は、なにもされずにいれたんだよ。自分自身の体のままでね。もし彼との出会いがなかったら、僕の人生も変わっちゃっていただろうね。筋肉や骨の問題でずっと苦しんでいたかもしれないし、なにか人工的な方法に頼らなければいけない体になっていたかもしれないんだ。 “不自然な方法”と聞いて、すぐにドーピングとか薬物のことを思い浮かべちゃったんだけ ど……。そういうこと? R ―― 僕の大嫌いな考えだよ。すべての人にとっても、そうあってほしいね。 ただそれで救われる人もいるんじゃない? R ―― たとえ救われたとしても、間違った方法論だよ。自分の体が変わってしまうんだよ。結局は自分自身を騙してるだけさ。ピッチ上では、自分自身の力だけで戦わなきゃ、誇りなんて持てないよ。もし、自分より誰かが優れているなら、それを認めなきゃいけない。ドーピングでなんとかしようなんて、間違ってるよ。 じゃあ、もし君がカンピオーネではなく普通の人間だったら? R ―― 僕はいつだって普通の人間だよ。 |
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