オレのことを気にかけてくれている
人たちが周囲にいてくれる。
家族や友達のおかげで
戦い続けることができるんだよ

40歳の誕生日を迎えた今、君の人生をちょっと振り返ってもらいたいのだけど……
かなり危険なことも多かった、と言えるんじゃないかな?


マラドーナ
(以下) ―― 
この歳になってやっと、世界を冷静に見ることができるようになったという感じだよ。胸を張ってそう言えるね。オレはこれまでの人生に誇りを持っているし、常に自分自身に忠実だったしね。長所も短所もさらけ出してきたんだ。自分の体を傷つけたかもしれないけど、他人に危害を加えるようなことはしなかった。借りも作らなかったし……。ただ、家族にだけは大きな借りがあると思っているよ。

厳しい人生になった、と思っている?

 ―― 毎日戦っているさ。これは事実だよ。ただ、幸いなことに、オレのことを気にかけてくれている人たちが周囲にいてくれる。家族や友達のおかげで戦い続けることができるんだよ。オレには世界を変えることはできなかったけど、そんな気はもとからなかったんだ。オレが無力だったからじゃないぜ。ただ、他人にオレの人生を操られたことはないし、今後もそんなことはあり得ない。コカインがオレを変えたと言う奴もいるけど、オレ自身はそうは思っちゃいないしね。

なぜ、そんな言い方ばかりするの? 以前もローマ法王について批判してたよね?

 ―― ローマ法王? ああ、言ったよ。オレがバチカンの御殿に足を踏み入れて、見てきたまんまを言っただけさ。あそこは豪華絢爛そのものだった。すごかったぜ、天井なんかピカピカの金張りで……やりすぎだよ、ありゃ。だから、オレは言ってやったんだよ。「世界では数百万人の子供たちが飢えで苦しんでいる。法王がここにある物の一部を売れば、その金で多くの子供たちが救われるだろう」ってね。

スポーツ界で君が認める人物は?

 ―― 何人か名前を挙げられるぜ。すぐ頭に浮かぶのは……そうだな、アイルトン・セナだろ、カール・ルイスに、マイケル・ジョーダン、レイ・“シュガー”・レナードといったところかな。でも、ナンバーワンは何といってもカルロス・モンソンさ。彼は最高のボクサーだったよ。

1989年5月17日、UEFAカップを抱くフェルライーノ会長(当時)と喜びを分かちあうマラドーナ。この時、28歳
世界中の“著名人”と知り合ったでしょう?

 ―― あぁ。でもな、モナコのアルベール(国王)は最低だったぜ。1度、夕食に招待されたことがあるんだけど、ひでぇディナーでさ、他にアポがあるとか言って途中で席を立ちやがったんだ。あの野郎、金も払わず店を出て行きやがった。結局、ぜんぶ、オレが払ったよ。最低な奴だったぜ。それから……チェ・ゲバラとは会ってみたかったな。その代わりと言っちゃなんだが、フィデル・カストロ(キューバ首相)と知り合うことができた。思うにカストロ以上の人間はこの世に存在しないだろうな。カストロとは時々会うんだけど(注:マラドーナはキューバでコカイン中毒のリハビリ中)、会うたびに興奮させられるよ。“歩く百科事典”を前にしているような錯覚を覚えるんだ。何でも知っているって感じだよ。時々、考えるんだ。これほどの人物だからこそ、10人の兵隊と3丁の機関銃だけでキューバを治めることができたんだ、とね。通商停止なんて処分がなかったら、この国の発展は限りないだろう、と考えることもある。今、オレが“生きている”としたら、それはフィデルと神のおかげだよ。

神という言葉が出てきたね。君の宗教感について話してよ。

 ―― 神のおかげでオレはあらゆるものを手に入れた。サッカー、家族、友、素晴らしい 人生。すべて神がくれたんだ。
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