本誌記事 WebCALCiO 2002

セレソンの陽気な雰囲気

タジアムで思い出したけど、僕は少し風変わりな会場で試合をした。セレソンの仲間と一緒に、アブダビ(UAE)のスタジアムでプレーしたんだ。本当に信じられない経験だったよ。何しろ、どこもかしこも大理石で埋め尽くされているんだ。ロッカールームまでそういう状態でね。あのスタジアムに足を踏み入れた時の第一印象は、「どこかの高級ホテルのトイレ」だよ(笑)。雰囲気がこれまでプレーしたどのスタジアムとも全く違うんだ。ただし、観客はみんな熱かったな。試合中もスタンドのいたるところでお祭り騒ぎが始まっていた。セレソンの行くところには常に喜びがあるんだ。僕にとってもセレソンの遠征に参加することは大きな楽しみだよ。世界各地でプレーしている同胞との再会の場だからさ。彼らと一緒にふざけ合っていると本当にハッピーな気分になれる。何度も言っていることだけど、今のセレソンには陽気な雰囲気が充満しているんだ。会場に向かうバスの中では、ラジオから大音響でサンバが流れているし、ロッカールームからピッチへ向かう通路で踊りだす選手も少なくない。みんな陽気な気分でスタジアム入りして、そのハッピーな気分をピッチの上にまで持ち込むんだ。そして、それを試合を見に来てくれたファンに伝える。つまり、僕らが言いたいのは、「サッカーは楽しいもの」ということ。そういう感情は、もしかしたらブラジル人特有のものなのかもしれない。ヨーロッパでプレーしていると、時々そうした雰囲気が恋しくなるよ。おそらく、ブラジル以外の国でプレーしているセレソンの仲間たちも同じことを思っているはずさ。UAEへの遠征は、フレンドリーマッチだったこともあって、いつも以上に楽しかったよ。当初は2試合をこなす予定だったらしいけど、結局は1試合だけになった。どうやら、現地の都合で2試合目が中止になったようだね。

それにしても、アブダビの建物の豪華さといったらなかったな。砂漠の中に高層ビル群がそびえ立っている、何とも不思議な光景だったよ。それから、僕らセレソンが宿泊したホテルもまたすごかった。まるで映画のセットのように豪華なんだ。イタリア産の大理石でできたバスルーム、金の装飾が施された調度品、壁には豪華な布やベールが所狭しとかかっていた。ホテルの従業員の数だって半端じゃない。サービスは、本当に“至れり尽くせり”という感じだったよ。

エメルソンvsロナウジーニョ

んなアブダビの超豪華ホテルで僕らが何をしていたかと言うと、もちろんいつものようにサッカーゲームなんだ(笑)。今回はリラックスした遠征だった分、愉快なエピソードがいつもより多かった。そうだ、エメルソンとロナウジーニョの話は傑作だったよ。セレソンの中でゲームが一番うまいのはエメルソンでね。特にウイニングイレブンをやらせたら、エメルソンの右に出る者はいない。エメルソンに唯一対抗できるのがロナウジーニョ。アブダビのホテルでも、2人は早速対戦を始めたんだ。

最初の試合でロナウジーニョが選んだのは、自分が所属しているバルセローナ。それを見て、エメルソンもユヴェントスを選んだ。バルサvsユーヴェの結果は、王者エメルソンのユーヴェが3−0で快勝。完敗に熱くなったロナウジーニョは、エメルソンにもう1試合やらせてくれって頼んだんだ。その時、僕はロナウジーニョに「次はインテルを選んでみなよ」ってアドバイスしたんだ。彼は、そのアドバイスに従った。こうなったら、僕とジュリオ・セザルがロナウジーニョ・インテルの応援に回るのは当然のことだよね。そして、僕らの声援のパワーが功を奏したこともあって、ロナウジーニョ・インテルがエメルソン・ユーヴェを3−0で下したんだ! ゴールを決めたのは、ミハイロヴィッチ、フィーゴ、そしてアドリアーノ!! エメルソンもチャンスをいっぱい作ったんだけど、絶好調のジュリオ・セザルが信じられないようなファインセーブを連発したんだ。僕らがロナウジーニョばかりを応援した上に完敗を喫して、エメルソンは顔を真っ赤にして怒っていたよ(笑)。それで今度は彼がロナウジーニョに再々戦を申し込んだってわけ。結果? エメルソン・ユーヴェがロナウジーニョ・インテルに1−0でリベンジを果たしたよ。エメルソンに連勝するのは、まさに至難の業なんだ。インテルとユーヴェの実際の対戦(第6節)では、僕らインテルがユーヴェに敗れている。今回は、ロナウジーニョがその借りを返してくれたってわけさ。この前の試合でもロナウジーニョが味方にいてくれればよかったんだけどね(笑)。

『フランス・フットボール』誌が主催する欧州最優秀選手賞。UEFA各国の記者の投票により決められる。56年から続く重要な個人タイトル。95年から、ヨーロッパでプレーしていれば国籍を問われなくなった。その後の11年間で、ブラジル人選手の受賞は4度目。ロナウジーニョは初めての受賞。バルセローナから受賞者が出るのは99年のリヴァウド以来6年ぶり。インテルからは、ローター・マテウス(西ドイツ)が90年に受賞している。ちなみに、ユーヴェの選手がバロン・ドールに輝いたのは過去8回。ミランは7回。

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