本誌記事 WebCALCiO 2002

来年の今ごろには、僕らインテルが
ユーヴェの立場にいるかもしれない

ところで、カンピオナートではユヴェントスが独走態勢を築いている。君たちが彼らを捕らえる可能性は、どれくらいあると思う?

A― もしユーヴェが今のペースで走り続けるのであれば、僕らが逆転優勝する可能性は限りなくゼロに近いだろうね。現在の彼らの勢いは本当にすごい。あのペースは半端じゃないよ。ただし、彼らがこのままのペースでシーズンを走り抜けることはあり得ないと思うけどね。きっとどこかで“息切れ”するはずさ。もしそうならなかったら? それだったら仕方がないね。それで僕らが2位になっても悲観はしないよ。宇宙人と争っても、負けるのは当然だからね(笑)。ただし、これからはチャンピオンズリーグが再開するから、そうなれば、再び3日に1度のペースで試合をこなさなくてはならない。ユーヴェの集中力が落ちる可能性はあり得るってことさ。今シーズンのユーヴェは、カンピオナートによりもチャンピオンズリーグに重きを置いて戦っているように見えるよね。となると、彼らがカンピオナートで気を抜いてしまうことも考えられる。それでも、ユーヴェを気にするあまり、僕らインテルが変な取りこぼしをしてしまったんじゃ意味がない。まずは僕らがしっかり勝ち点を積み上げることが重要さ。ユーヴェのちょっとしたつまずきを逃さず、彼らとの差を詰めていくしかないだろうね。

ユーヴェの背中が見えないまま、彼らを追走していくのは辛くない? そう言えば、昨シーズンも似たような展開だったよね。

A― もちろん、独走態勢を築いてトップを快走するほうが楽に決まっているよ。ただし、サッカーはそう簡単にはいかない。仕方がないよ。今は自分にあんまり多くの課題を課さないようにしているんだ。まず目の前の相手のことを考え、目の前の試合に勝利するためにプレーをする。今は、それだけを考えればいいと思っているんだ。この2年間で、インテルは飛躍的な成長を遂げていると思う。来年の今ごろには、僕らインテルが今のユーヴェの立場にいるかもしれない。その可能性だってあるはずだよ。

今のユーヴェの強さの秘密は何だと思う?

A― (苦笑して)それが分かれば、苦労はしないよ。

カペッロとマンチーニ、どちらが監督として優秀なんだろうか。正直、カペッロだと感じることもあるのでは?

アドリアーノ
激しい当たりにも動じない強靭なフィジカルと柔らかなボールコントロール技術を兼ね備えており、ゴール感覚も抜群。左足のパワーには絶対の自信を持っており、迫力あるシュートでゴールを量産する。7歳からフラメンゴの下部組織でプレーしていたアドリアーノがインテルに加入したのは01年夏のこと。当初は経験不足で出番を与えられなかったアドリアーノだが、マンチーニ監督率いるフィオレンティーナにレンタル移籍して頭角を現し、02年からプレーしたパルマでブレイク。この頃からブラジル代表にも定着し、現在はセレソンの主軸へと成長した。世界最高のFWの一人と評価されているが、まだ23歳。最近はチームプレーの面での向上が顕著である。

A― それはないよ。2人とも全く異なったタイプの指揮官だし、比較はできないよ。まあ、カペッロ監督の下でプレーした経験はないから、比較するほどの情報がないってこともある。マンチーニ監督はまだ若いんだ。数年前まで現役選手としてプレーしていた人だから。その分、選手への接し方などは、カペッロよりダイレクトな面があるんじゃないかな。現役時代の記憶がより鮮明に残っている分、僕ら選手の抱える問題をより深く理解し、適切なアドバイスができるんじゃないかと思う。一方のカペッロは、まさに“鬼軍曹”という感じだね。それでも選手から慕われているのは、おそらく、かなりのカリスマ性があるからだろう。2人の取る戦術も、全くタイプが異なる。正直言って、僕はマンチーニのサッカーが好きなんだ。自分のチームの監督だからってわけじゃない。マンチーニの理想とするサッカーは、よりスペクタクルで攻撃的だからさ。

現役時代のマンチーニは君と同じFWだった。その点でも意見が合うのでは?

A― そのとおりだよ。だから、練習で監督がくれるアドバイスは、僕にとって本当に貴重なんだ。監督も、現役時代、相手のゴールだけを見つめてプレーしていたはずさ。そう、まるで今の僕みたいに……。だからと言って、マンチーニは決して守備を軽視する監督じゃないよ。嘘だと思ったら、インテルのDF陣に直接聞いてみるといい。彼ほどディフェンスの練習を念入りに繰り返す指揮官も珍しいんじゃないかな。僕らFW陣までディフェンス練習をやらされるんだ。相手がボールを支配している時には、僕らも中盤に下がって、ディフェンスに協力しなければならないのさ。綿密な練習をしているだけあって、今のインテルでは、チーム全体で守備をするという意識が徹底されているんだ。

ユーヴェの選手の中でインテルに欲しいと思う選手はいる?

A― それはここでは言えないよ。だって、そんなことをしたら、インテルで同じポジションをやっている選手が嫌な思いをするだろう? もちろん、「素晴らしい」と思う選手はいるよ。イブラヒモヴィッチや、ブッフォンだ。彼らは本当にすごい選手だよ。

デル・ピエロについては?

A― 選手としてはもちろん知っているけど、個人的な付き合いはないんだ。だから、試合の時に顔を合わせるだけ。

エメルソンと君の関係は?

A― 彼とはかなり仲が良いよ。セレソンのチームメートだからね。みんなは知らないかもしれないけど、彼は信じられないほど陽気なんだ。セレソンでいつも大騒ぎを始めるのは彼なんだよ。試合前のロッカールームで、その辺にある何かを太鼓がわりにして、サンバのリズムを取り始めるのは決まってエメルソンなんだ。それがきっかけになって他のチームメートがリズムを取り始めて、最後には全員でサンバを踊ることになる。ブラジル人はよく“カルチョ・バイラード”(踊るようなサッカー)をすると言われるけれど、あれこそ本当の“カルチョ・バイラード”だよね(笑)。

3 / 4