本誌記事 WebCALCiO 2002

アドリアーノにとって今は、決して良い時期とは言えない。現在のアドリアーノにできることは、歯を食いしばってこの苦境を乗り越えることだけである。とにかく、今の彼には、ゴールが出ない。悪循環と言うべきか、すべてのことが悪いほう悪いほうへと向かっている感じなのだ。

現在の“皇帝”にいつもの落ち着きはない。彼は常に大きなプレッシャーを感じている。集中してピッチに上がることができない状態で、ゴールが生まれるわけがない。不安はいつしか強迫観念へと変わり、無理を繰り返し、ミスばかりが増えていく。

精神的に追い込まれた状況で、アドリアーノは、ファウルを仕掛けてきた相手に“暴力行為”を働いてしまった。そして、2試合の出場停止という厳しい判決を言い渡されてしまったのだ。「厳しすぎる」という声もある。しかし、もはやその判定が覆ることはない。“皇帝”にとって苦悩の日々が続く。

リオ・デ・ジャネイロのスラム街には、古くからこんなことわざが伝わっている。「一つのことがうまくいかなくなると、それに呼応するかのようにすべてが悪くなっていく」。今のアドリアーノなら、その言葉の意味をよく理解できるだろう。それを心でつぶやきながら、できることなら、この苦境を笑い飛ばしたいと思っているはずだ。ただし、サッカーの世界では、一つのことがきっかけですべてが変わる。狂った歯車を元に戻すためには、一つの勝利、一つのゴールがあればそれで良い。アドリアーノはまだ若いが、「カルチョとはそういうものだ」と割り切れるだけの知識と経験がすでに備わっているのだ。

1 / 4