本誌記事 WebCALCiO 2002

僕が持っている唯一のサインがジーコのもの
一生の宝物として今でも大事に保存してあるよ

大会で主役を演じそうな選手は?

A― 具体的に誰と言うより、FWが脚光を浴びるような大会になればいいなと思っている。そう、スペクタクルなサッカーがたくさん見れるような大会にしたい。世界中の人々にサッカーの楽しさを味わってほしいんだ。W杯期間中が、世界中の人々にとって最高のバカンスになればといいと思っている。僕が生まれ育ったファヴェーラ(スラム)に住む人々が、日常の憂いを忘れられるような楽しい大会にしたいんだ。W杯は世界中の人々がテレビで見ることができる。つまり、世界中でサッカーを楽しむことができるんだ。ロナウジーニョ、トッティ、リケルメ、バラック、ロビーニョ、ロナウド、ベッカムといったスター選手が人々に夢を与えるように、90分間という限られた時間ではあるけど、僕も人々に夢を与えたいと思っている。

イタリア代表をどう見ているんだい?

A― イタリアは常にいいチームを作り上げてくる。今年のチームもすごく強いと思うよ。リッピは偉大な監督さ。今年もすごく団結力のあるチームを作り上げた。イタリア代表のほとんどの選手と知り合いだし、全員が正真正銘のプロと言える選手ばかりさ。いい選手がたくさんいるという感じだよ。

トッティのケガに関しては?

A― トッティには何とか間に合ってほしいと思っている。トッティのいないW杯はすごく寂しいものになってしまうだろう。彼は、子供たちに夢を与えられるだけのテクニックを持っている選手の一人だからね。僕の好きなタイプのプレーヤーでもある。僕は子供の頃から高いテクニックを持った選手が好きだったんだ。そういう選手のプレーをテレビで見た後、近くの広場でよく真似したものさ。子供の頃、W杯期間中はいつもそうだった。テレビでゲームを見た後、広場で同じようなプレーができるか挑戦していたんだ。それぞれが好きなカンピオーネの役を演じようとして、よく喧嘩していたよ。誰もが、ドゥンガやロマーリオ、ベベートの役を演じたがったからさ。相手チームの役をする子供はいないしね。子供たちにとって、W杯は自分たちの大会でもあったのさ。

君にとってのアイドルはジーコだったよね?

A― そうだけど、セレソンとは関係ないよ。ジーコはフラメンゴのアイドルで、僕は“フラ”のファンだったからさ。僕は“フラ”の下部組織で成長して、そのままトップチームに引き上げられたんだ。だから、ずっと“ジーコ神話”の下でプレーしていたようなものなんだよ。

ジーコに初めて会った時、サインをもらったの?

A― もちろんもらったよ! 僕はサインを集めるほうじゃないんだけど、ジーコだけは特別だった。僕が持っている唯一のサインがジーコのものなんだ。実は初めて彼に会った場所は日本だったんだ。ブラジルのユース代表チームの一員として日本に行った時、ジーコに会うチャンスがあってね。僕が16歳の時だった。彼は“アドリアーノへ”という言葉を添えてサインをしてくれた。一生の宝物として今でも大事に保存してあるよ。

近い将来、“未来のセレソン”が君にサインをせがむかもしれないね。

A― 僕はサインを頼まれたら必ずするよう心掛けている。特に子供たちをがっかりさせたくないからね。子供は正直さ。一生懸命応援してくれるし、チームが負けると一緒に悲しんでくれる。だから、子供の期待を裏切ることだけはしたくない。子供の期待を裏切ることは、その後30年間ファンでいてくれる人を失うことになる。いつも自分が子供だった頃のことを思い出すんだ。子供の頃に、もしロマーリオに会ってサインをねだって断られていたら嫌な思いをしただろうし、ひょっとしたらサッカーをする気もなくしていたかもしれない。となると、今の僕はなかったということになる。子供たちにそんな気持ちになってほしくないんだ。

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