本誌記事 WebCALCiO 2002

ブラジルでの僕の知名度は高くないけど
セレソンのチームメートに追いつきたい

W杯が近づいてきたけど、今の心境はどうなんだい?

アドリアーノ(以下A)― 大きな興奮、かな。僕にとっては初めてのW杯だからね。チームメートが言うんだよ。「初めての試合はジェットコースターに乗るようなものだ」って。それまで一度も体験したことのないような感覚らしいんだ。超満員のスタジアムにはいつもと違う熱気があって、世界中の何億って人が僕のプレーに注目している……。それは試合後のインタビュールームで改めて分かるらしい。あらゆる言語が飛び交っているからね。世界中の人が、試合後に僕がどんなコメントを出すのかを待ち構えている。そう考えるとすごく興奮するよね。

心配は何もない?

A― 正直に言うと、心配も少なからずある。とにかく、失敗が許されない大会だからね。僕は若いから、もし失敗しても次のチャンスは巡ってくるだろう。だけど、今回が最大のチャンスだと思っている。だから、絶対に失敗しちゃいけないんだ。僕はまだ若いけど、それでもチームの中心としてプレーするって自覚を持たなくてはならない。「アドリアーノは頼れる選手」だって、ブラジルの全国民に知ってもらいたいんだ。

ブラジル国民と言えば、国内での君の人気はそれほど高くないと聞いたけど……何か理由はあるの?

A― 若い時にブラジルを出たから、ブラジルでは僕の知名度はあまり高くない。僕は若いうちにフラメンゴからインテルに移籍した。ブラジル国内でほとんど活躍しないまま、有名になる前にイタリアにプレーの場を移してしまったということさ。イタリアに来て、フィオレンティーナやパルマにレンタルに出された。僕自身にとっては、イタリアの小さなクラブでプレーすることはすごく勉強になった。フィレンツェとパルマでは貴重な経験ができたと思っている。僕はあそこでカルチョというものを学んだんだ。だけど、ブラジルのサッカーファンは「アドリアーノはどこかに消えてしまった」と感じたんだろうね。

インテルでの君の活躍はブラジルでも知られているんだろう?

ロナウジーニョとロナウドの知名度に追いつくことは、アドリアーノの目標の一つだ

A― 最近になってようやく、「アドリアーノはイタリアの名門クラブにいる選手だ」と認識してもらえるようになった。ただ、人気や知名度ではロナウドやロナウジーニョには到底かなわない。ロビーニョもそう。ロビーニョはレアル・マドリーに入る前にブラジル選手権で活躍していたから、僕よりはるかに人気はある。別に人気がないからといって気を悪くするわけじゃないけど、人気があるほうが良いに決まっているよね。今回のW杯で失敗したくないと言うのには、そんな意味もある。セレソンのチームメートに知名度でも追いつきたいんだ。

最も楽しみにしているゲームは?

A― もちろん決勝さ(笑)。いや、ブラジルが入ったグループは、周囲が言うほど楽じゃない。それに、決勝トーナメント1回戦でイタリアと対戦する可能性もある。最初からトップギアで戦わなくてはならないと考えているよ。いずれにせよ、W杯ではすべての試合にリスクがあると考えるべきだ。特に初戦の相手、クロアチアは厄介な相手だね。すごくまとまったチームに仕上がっているし、W杯への執着心は相当強いようだ。クロアチアはW杯出場を国を挙げて祝っている。彼らは国家の誇りを引っさげてドイツにやって来るんだ。彼らの主力はほぼ全員がヨーロッパのトップリーグでプレーしている。こういう機会がないと滅多に集まらない選手たちなんだ。だからこそ、一緒になった時にモティベーションが高まるのさ。それに、彼らの試合がある時には、クロアチア国民すべてがテレビの前で自国のヒーローに声援を送るだろう。彼らのモティベーションは軽視できない。大きなモティベーションがあれば、実力以上のプレーだってできるものさ。

オーストラリアは?

A― PSVでプレーしている仲間と話したんだけど、ヒディンクは選手のやる気を高めることがとてもうまいそうなんだ。僕らにとって問題なのは、どこのチームも相手がブラジルとなれば、いつも以上に熱くなって立ち向かってくるだろうってこと。オーストラリアも相当なモティベーションで僕らに挑んでくるはずだ。

では、ジーコ監督率いる日本は?

A― 4年前のW杯で日本の能力が高いことを知って驚いたよ。最大限の集中を保ってプレーしなくてはならない相手だ。もちろん、テクニック面では僕らのほうがかなり上だという自信がある。だけど、日本はちょっとでも気を許すとそこを突いてくるチームだ。油断すると痛い目に遭うということは分かっているつもりさ。

どんな試合になるかな?

A― 熾烈な戦いになると思う。日本に有利な点が少なくとも一つある。日本の選手はおそらくブラジルの選手全員のプレースタイルを研究してくるだろう。一方、僕らは日本の選手のことをほとんど知らない。特にウチのDFにとっては、日本のストライカーの特徴を知らずに対戦しなきゃならないことが大きなハンデになるだろうね。それに、日本戦はグループリーグ最終戦なんだ。その時点で、ブラジルが勝ち点3を必要とする状況だと危険だよね。油断できないチームを相手に、心理面で追い詰められた状態で戦うことになるんだから。

ところで、君は昨年のコンフェデレーションズカップに参加している。ドイツのスタジアムはどうだった?

A― コンフェデレーションズカップでプレーしたスタジアムはすべて素晴らしかったよ。最も近代的なスタジアムが揃ったという感じさ。ただ、ちょっと気になるのはピッチコンディションだ。一部のスタジアムは芝の状態が相当悪いと聞いている。セレソンはテクニックを持ち味にするチームだから、良いピッチコンディションでプレーできるといいんだけど……。

でも、君は劣悪なピッチには慣れているはずだ。

A― 残念ながらね。僕らのホームスタジアム、サン・シーロのピッチは相当ひどい。芝がめくれていたり穴が開いてたり……悪名高いピッチだよ。インテルはテクニックを生かしたパスサッカーを目指している。テクニックを売りにするチームにとっては理想的なピッチじゃないよね。その点、、イングランドのスタジアムのピッチは最高だ。ビリヤード台みたいになめらかだった。W杯で使われるスタジアムの関係者には最高のピッチを用意してもらいたい。スペクタクルなサッカーを見せるには、最高のピッチが必要なんだ。

ドイツのサッカーファンの印象は?

A― サッカー熱はかなりのものだよ。イタリア、スペイン、イングランドなどと同じくらいファンは熱狂的だ。実は、ブンデスリーガはヨーロッパの4大リーグの中で最も貧相なリーグだと思っていたんだ。でも、それは全くの間違いだった。あれは謝らなきゃいけないな。スタンドは活気に溢れていて、聞くところによると、ブンデスリーガはもちろんのこと、カップ戦でもずいぶん観客が入っているらしい。ドイツサッカーは僕が思っていた以上に盛り上がっているんだ。

ドイツ代表についてはどう思う?

A― それほど強いというイメージはないんだけど、W杯では常に上位に食い込んでくる。02年のW杯を覚えてるだろ? あの時、ドイツが決勝に進出するなんて予想した人が何人いた? それでも、それがドイツの強さなんだ。今年は彼らの地元開催。ホームの利を生かして相当なところまで勝ち進んでくることも考えられるよ。

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