かつて、リンギオ(犬のうなり声)と呼ばれたサッカープレーヤーがいた。ジェンナーロ・イヴァン・ガットゥ−ゾである。“かつて”と言っても、わずか2年前、彼がまだ全国区のプレーヤーになる前の話である。一部のサッカーファンにはその“不思議な行動”によって彼の名は知られていた。不思議な行動、それは、若くしてペルージャからグラスゴー・レンジャース(スコットランド)に移籍したことである。イタリアからスコットランドへの移籍……当時としては非常に珍しいケースであった。

一部のファン、特にペルージャのファンにとって、ガットゥ−ゾは常にアグレッシブで、ファウルすれすれのプレーをする危険な選手として有名であった。“リンギオ(犬のうなり声)”というニックネームで呼ばれたのもちょうどその頃。また、ミラノ・ダービーでは、うなり声を上げるかのようにロナウドに“襲い”かかり、リンギオたるプレーを随所に見せつけた。

しかし、ストリートサッカー育ちのガットゥ−ゾは現在、リンギオと呼ばれることを快く思っていない。「オレはサッカー界のボクサーじゃないんだ」と反論したいのである。ミランというサッカースクールで彼は戦術を学んだだけでなく、そのプレーに磨きをかけ、今では、イタリア中の評価と尊敬を集めたMFの1人として見なされていることを強調したいのだ。

ガットゥーゾは、ピッチの上では手抜きをしないプレーヤーである。どんなボールにも必死に対応しようとする姿は美しくさえある。同時に、 ザッケローニの指示する戦術に完璧に対応するだけのテクニックと判断力も持ち合わせているのだ。

そんなガットゥ−ゾにスポットライトが浴びせられた。2000年11月15日、トリノで行われたイングランドとの親善試合。ジョヴァンニ・トラパットーニ新監督は、アッズーリのスタメンリストにガットゥ−ゾの名前を書き入れたのである。そして、この試合、ガットゥ−ゾはアッズーリに勝利をもたらすゴールを記録する。ガットゥ−ゾのゴールはこぼれ球をプッシュしたとか、シュートが相手DFに当たってコースが変わって入ったという偶然性が生み出したものではない。エリア外から狙いすまして打った正真正銘の素晴らしいミドルシュートであった。ガットゥ−ゾの正確かつ、パワフルなシュートにはイングランドのマスメディアも舌を巻いたようだ。彼のシュートにイングランドが誇る栄光の“10番”ポール・インスの像を重ね合わせた者も多かったと言われている。
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