ナカタの選ぶべき道はただひとつ、
ローマを出るということである

もうしばらくするとカルチョメルカートが再開する(1月2日から1月31日まで)。ピッチで展開されるサッカーだけでなく、ピッチ外でのチーム間の“駆け引き”、“札束の流れ”に興味が注がれる時期がまた来るのだ。今年の冬のマーケットも、例年どおり、話題満載になりそうな雰囲気で、相当な大物がユニフォームを変えると予想される。話題の焦点は、日本人だけでなく、我々イタリア人にとっても、ナカタの動向だ。ちょうど1年前の冬のメルカートでローマに移籍したナカタが、今年の冬も話題をさらいそうな気配である。ご存じのように、ナカタにとってローマでの現実は厳しい。鳴り物入りでローマ入りしたものの、得意のポジションでの出番を与えられずに不本意なシーズンに終わった昨シーズン。“今シーズンこそは”の期待もはかなく破れ、今では、トッティの控えに甘んじる生活。時として、EU外の枠という縛りで、スタンドでゲームを観戦するという屈辱的な生活さえ強いられている東洋のカンピオーネ。リーグ戦ではトッティのケガの“おかげで”ブレッシャ戦でプレーしたが、決定的な仕事はできずじまい。UEFAカップではレギュラーとして出番を与えられてはいるが、いまだ、周囲を納得させるだけのプレーを見せることができていない。


ペルージャではあれほど光り輝いたナカタがローマで屈辱的な生活を強いられている最大の原因は、ナカタがその冴えを見せることのできるポジション、すなわち、トップ下に今や“カルチョの顔”とも言うべきフランチェスコ・トッティがいるからである。ナカタの力がペルージャ時代と比較して後退したというわけではない。コンスタントにプレーするチャンスを与えれば、以前のように眩しいばかりに光輝くはずなのである。そんなことは子供でもわかっている。誰もが、ナカタのプレーを待ち望んでいるのだ。だからといって、自分がローマの監督だったら、「やはり、トッティを使うだろう」と誰もが思っているのだ。となると、ナカタがカルチョで成功するために選ぶ道はただひとつ。トッティのいないチームに移籍する、すなわち、ローマを出るということである。

今シーズン、ローマは快調なスタートを切った。その大きな要因としてカペッロの戦術が明解になったことが挙げられる。3バック、ダブルボランチ、2トップ、そして、その背後にトッティをトレクアルティスタ(トップ下と同意語)として据えるというのがカペッロの基本的システムである。そこにはナカタのためのスペースは存在しない。すなわち、カペッロにとって、ナカタはあくまで“保険”なのだ。トッティに何かが起こった時のための保険なのである。それが、掛け捨て保険である以上、ナカタがやがて役に立つなんて保証は何もない。そんな状況下、ナカタは、今、自身の生き方、方向性を定める必要性に迫られている。当然、すでに、自分の将来に関して代理人のジョヴァンニ・ブランキーニと話していることだろう。ロナウドをはじめとして多くのスターの代理権を行使するブランキーニのこと、何らかの戦術をすでに、水面下で、行使していると推測できる。
2 / 5