インタビュー・文アドリアーノ・ジョルジinterview & text by Adriano GIORGI
ナカタへの批判が高まっているようですが、ザッケローニ監督はパルマでのナカタのプレーをどう評価していますか?

ザッケローニ(以下Z) ―― 批判云々は別にして、ベンチ生活の意義をそれなりに理解するべきだと思うね。ヒデトシはローマで長い間、ベンチ生活を強いられたから、ベンチで何をすべきかよくわかっていると思うよ。思ったようなプレーができない時には、ベンチに下げられるということもわかっているはずさ。ベンチにいると、自分の問題点が何なのか、どうしたらチームに貢献できるのか、ということがよく見えるものなんだ。
 ローマ時代のナカタは、長い間、ベンチ、もしくは、スタンドからの観戦を強いられた。だが、出番を与えられた時、彼自身の力量を見事なまでに発揮した。ナカタが活躍できたのは、彼がベンチでゲームに集中しながら、客観的に自分のプレーを分析していたからだと思うよ。期待に応えるべき仕事ができない今は、むしろベンチからゲームを見ることが必要かもしれない。
 ただし、ナカタはパルマの選手の中でも、最も高いテクニックを持ち、最もファンタジーアに富んだ選手だから、チームとしては、調子が悪いからといって、“ナカタ抜き”で戦うのはつらいだろう。私はナカタを一時“休ませる”べきだと思うが、監督(パッサレーラ)にとっては難しい選択になるね。

ナカタはどんなタイプのプレーヤーだと思っていますか?

Z ―― テクニックと身体能力の強さを考慮すれば、攻撃的MFタイプの選手だと思う。私自身、これまでにも何度か口にしているが、ナカタは世界でも有数のプレーヤーだと思っているよ。

ナカタはこれまで様々なポジションを経験しています。
トレクアルティスタ(トップ下)、左サイド、中盤の底…
…どのポジションがナカタにとって最適だと思っていますか?

Z ―― DFラインの前でプレーする能力もあると思っている。ただ、相手チームにとっては、ナカタがトレクアルティスタのポジションにいることが脅威なんだ。トップ下でこそ、ナカタは本来の力量を発揮する選手だと思うよ。ナカタの長所は正確なパスをフィードする点だけではない。彼には底知れないパワーがある。エリア周辺からのシュートや、ミドルシュートにも彼の持ち味は発揮されるはずさ。昨シーズン終盤のユヴェントスvsローマ戦を覚えているだろう?彼のミドルシュートがローマを救ったんだよ。

もし、今、ラツィオに来たら、彼にどんな役割を託しますか?

Z ―― 私は中盤の選手には常に攻撃的資質を求めている。選手の個性を考慮して、中央に使うか、サイドに使うかを決めているんだ。もし、ナカタが今のラツィオにいたら、2列目でプレーしてもらうだろうな。ただ、サイドに据えるか、センターに据えるかは、その時の状況次第だよ。

ナカタのプレーの特徴を最も引き出せるチームは?

Z ―― 具体的にチーム名を挙げるのは避けさせてもらうが、3−5−2の戦術を敷いているチームということだけは言っておこう。センター軸にナカタ、両サイドMFの積極的攻撃参加とカバーリングというフォーメーションならナカタは機能するはずさ。エリア内に入り込むこともできるし、2トップにラストパスをフィードすることもできる。

今後、彼がさらなる成長を遂げるためには何が必要ですか?

Z ―― (必要なことは)ほとんどないと思っている。確かに今は苦戦を強いられているが、これまでのナカタのイタリアでの活躍を見れば、ナカタが完成されたプレーヤーだということは誰しも感じているはずだよ。あえて言うなら、「もう少し、自分の力を信じなさい」ということかな。彼はサッカーをするために必要な資質を数多く持っているんだ。もっと自信を持ってプレーすべきだろうね。そうすれば、チームの軸として全員が認めるようなプレーヤーになるはずさ。


パルマ不振の原因をナカタの不調に求める声が高まっていますが、いったい、パルマに何が起こっているのでしょうか?

Z ―― 今の私は、よそのチームの不振の原因をとやかく言える立場ではない。ラツィオのことで頭がいっぱいだからね。それに、チームの事情なんて外からはわからないものだよ。ただ、大幅にメンバーが変わったチームで、一人の選手をスケープゴートにして批判するのはおカド違いだと思っている。ナカタがどんなにすごい選手であっても、彼一人にチーム不振の責任を負わせるのは間違っている。ナカタの不調はナカタの不調。チームの不振はチームの不振だよ。別にして考えないといけないんだ。

ザッケローニ監督、もし可能ならナカタを獲る気がありますか?

Z ―― もちろんだよ。理由は簡単。あれだけのテクニックを持った選手はなかなか見つからないということさ。ナカタはテクニックとパワーを兼ね備えたプレーヤーで、しかも運動量も豊富。これだけの資質を兼ね備えたMFは、世界広しといえども、数えるほどしかいないよ。

ナカタの長所は?

Z ―― 今言ったように、パワー、テクニック、スタミナ、戦術眼を兼ね備えているということ。どこのリーグに行っても成功できる素材だと確信しているよ。

ナカタの欠点は?

Z ―― 持続性に欠けることかな。日によって、プレーに“バラツキ”があるし、ゲーム中でもスーパープレーをしたかと思うと、その直後に凡ミスをする。安定性に欠けたところが欠点だろうね。つまり、“いい時”のナカタなら世界のトップレベルで常に脚光を浴びるような、どのチームにとっても得がたい選手だと思う。他にとりわけ欠点は見当たらないな。彼は完成されたプレーヤーだよ。

ナカタはイタリアでどのレベルまで到達すると思っていますか?

Z ―― それは適切な質問ではないと思うな。ペルージャでの活躍、そして、ローマでの実績。ナカタはすでにカルチョの世界で確固たる基盤を築いた選手なんだよ。ローマでスクデットを手にしたことで、彼は完全にカルチョの顔になったのさ。カルチョを代表するプレーヤーだからこそ、パルマへの移籍が大きな話題を呼んだんだ。ミランも獲得を希望していたし、アーセナルもオファーを出したと聞いている。ナカタはすでに“その”レベルの選手なんだ。すなわち、すでに最高のレベルに達しているということさ。
 確かに、今のパルマは勝てない状況が続いている。ナカタのプレーも物足りない面が多いだろう。だが、今に上昇してくると思っているよ。パルマもナカタもね。今のパルマにはナカタを筆頭に若い選手が多い。だから、一つリズムをつかめば、すぐにでも上位に食い込んでくると思っている。もちろん、ナカタも近いうちに、きっと本来の力を発揮するはずだよ。
I N T E R V I E W - 2
アルベルト・ザッケローニ
1953年4月1日★フォルリ生まれ
94−95シーズン、ウディネーゼをセリエBからセリエAに昇格させると、97−98シーズンにはプロヴィンチャのクラブをリーグ戦3位に引き上げる快挙を成し遂げた。指揮官としての才能が認められ、98シーズンからはミランの監督に就任。就任1年目にしてチームに見事スクデットをもたらした。昨シーズンは成績不振の責任を取る形で、シーズン途中で解任。今年9月には、ゾフの後を受けて、ラツィオの監督として現場復帰した。
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