「秩序と楽観」こそ
クーペルのモットー

12月にヴィエリとロナウドが顔を揃えるまでの序盤戦は、クーペルの仕事ぶりが目立った時期でもあった。彼は、改革直後の新チームを任されたにもかかわらず、インテルをすぐに一つのチームとして確立したのである。しかも、2人のエースに加え、アルバロ・レコーバも偽造パスポートによるペナルティーで出場停止中だったわけだから、必然的にもクーペルは組織力と実利的サッカーで勝負に出ることになる。“クーペルのインテル”がその姿を現すのに全く時間はかからなかった。ロナウドだけが頼りだった97−98シーズンや、たった一人(マルチェッロ・リッピ)の失態で沈没した99−2000シーズンのような過去から一転して、各々が自らの果たすべき役割を理解した“集団”にインテルは生まれ変わったのである。ミラノ・ダービーやキエーヴォ戦でスキャンダラスな黒星を喫しても、ネラッズーロ軍団は解体することなく、すぐさま起き上がった。おそらく、1年前だったら、仲間割れを起こして、互いを非難し合うような泥沼にはまっていたことだろう。また、フロント改造計画も着々と進行中だが、こちらの道のりは長そうだ。会長のマッシモ・モラッティがそうであるように、インテルは未だに“直情型”キャラクターのクラブ体質を改善できずにいるからだ。とはいえ、ここまで推し進めてきた政策と組織作りは、すでに目に見える形で効果を発揮している。モラッティはトップチームの舵取りを委ねるべく20年来の協力者マッシモ・モレッティをゼネラル・マネージャーのポストへ置いて経営面を委ねる反面、“現場”の権限は監督であるクーペルに与えている。目先だけの補強をおねだりした先任者たちと違い、クーペルは誰に対しても媚びることはない。その態度は、会長モラッティに対しても同様である。少数の信頼するアシスタントとともに、彼は自らが信じる道を一直線に進んだ。「秩序と楽観」こそ、180億リラの3年契約でインテルと手を結んだクーペルのモットーである。そして、選手の協力。特に、「オレたち古株は同じ間違いを繰り返さないように率先して頑張らなければならない」と言うクリスティアン・ヴィエリは、クーペルの力で昔の力を取り戻したキャプテン、ハビエル・サネッティに負けぬリーダーシップでチームメイトから信頼を勝ち得ている。

2002年のインテルは、キエーヴォ・ヴェローナのような“おとぎ話”とは言えない。かといって、完成の域に達したフランチェスコ・トッティとファビオ・カペッロのローマや、ビッグネームを揃えて築かれたマルチェッロ・リッピのユヴェントスのようなチームでもない。“クーペルのインテル”は、慎重で注意深く、システマチックかつ忠実なサッカーでスクデットに挑む。相手が予測できるサッカー、という欠点もある。また、戦力的な穴も否定できない。例えば、左サイドのグレシュコとゲオルガトスを突破するのは、敵にとってそう難しいことでもあるまい。しかしながら、無骨だが力強く、組織力があり、ようやく自信もつかんだ現在のインテルは、ヴィエリとロナウドがグングン牽引していくことによって、頂上を目指すに相応しいチームとなった。スクデットに手が届かないとしても、最後までレースの先頭を競うことになるだろう……と言い切りたいところだが、インテルというクラブの性格上、確証という言葉を用いるのは禁物なのかもしれない。
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