インタビュー・文●ルイージ・ロニョーニ Interview and text by Luigi ROGNONI
写真●エンリコ・リヴェラーニ Photo by Enrico LIVERANI
は奇跡にすがろうとはしなかった。本物のロナウドに戻るために彼が信じたものは、練習であり、自分自身に戻ろうとする強い意志であり、ドクター、物理医療士、フィジカル・トレーナーのアドバイスだった。最初の右膝の負傷から何と25カ月もの歳月を経て、“怪物”と呼ばれた男はよみがえった。2001年12月9日のブレッシャ戦、彼の足から長いトンネルを抜け出すゴールが生まれたのだ。暗闇からの脱出を象徴するゴールに、インテリスタのみならず、世界中のあらゆるサッカーファンが惜しみない拍手を送ったのである。

そして2002年――今年はロナウドにとって、今後の人生を左右する年になることは間違いない。彼にとって、選手生活の終焉という不吉な噂を完全に打ち消す年となるはずである。相次ぐ不運に別れを告げる年となるはずなのである。

もちろん、これだけ長期間に渡るブランクからの復帰はそう簡単ではない。現に、ピッチ復帰後も、彼が筋肉にある種の違和感を感じたことは確かである。世界中のサッカーファンに大きな喜びを与えたのもつかの間、彼は筋肉疲労を訴え、数試合ベンチでの観戦を余儀なくされた。だが、これまでに何度か味わった、復帰とリタイヤを繰り返すというような不吉な空気は、今のロナウドの周辺には存在しない。

彼の筋肉を知り尽くしているフィジカル・コーチは、「ロナウドをトップコンディションに持っていくのは、2カ月半車庫に眠っていたフェラーリのエンジンを全開にするようなもの。彼の爆発的なダッシュをよみがえらせるためには、エンジンの調整と“ならし”が必要なのだ」と語っている。

今のロナウドは自信を取り戻している。彼はここ数年、決して見られなかったような楽天的な調子でスクデット獲得とW杯優勝を口にする。彼の心の中にはすでに“勝利者のメンタリティー”が戻っているのであろう。彼の魂が勝利に向かって息づいているのであろう。今のロナウドは、他の選手よりも巧く、そして、強くプレーできることを確信しているはずだ。

ロニーの表情には屈託のない笑顔が戻っている。まるで人生に微笑みかけているようである。サッカーの女神はロニーに背を向けることはなかった。奇跡が起こり得るものならば、これこそ、奇跡に違いない。
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