我々には“崇高なるレアル・マドリー”
の姿をピッチ上で示し続ける義務が
あるんだ

もし、セリエAの監督が、ラウール、ジダン、フィーゴの3人を手にしたら、きっと悩んで髪の毛が抜けてしまうと思いませんか?

V ―― そうかもしれない(笑)。「カンピオーネは両立しない」とイタリアでは言われているらしいからね。実際は、カンピオーネを同じピッチに立たせることは決して難しいことではないんだ。レベルの劣る選手2人を両立させるほうが難しいと思うがね。カンピオーネにそんな心配は要らないはずなんだよ。真のカンピオーネなら、どんな状況でも持ち味を発揮できるはずだからね。8万人ものレアル・ファンが、週末ごとにベルナベウに足を運んでくれる。彼らは心の底からサッカーを楽しんでいるんだ。彼らが楽しんでいるのは、カンピオーネたちが共存しているからこそだと言えないかい?

しかし、スペインサッカーのすべてが最高だなんて言わないでくださいよ。問題だっていろいろあるはずでしょう?

V ―― 現代のサッカーはビジネスなんだよ。商品にアイデンティティーがなければ人気が出ないんだ。その意味でも、下部組織の充実はレアル・マドリーの未来に向けたプロジェクトの大事な要素の一つだと言える。だから、下部組織から上がってきた選手を最低10人はトップチームでプレーさせたいね。そして、そのうちの5人には世界的スターになってもらうのが我々の希望だよ。今の生え抜きはラウール、カシージャス、パボンの3人だけなんだ。マドリッドを象徴する選手がもっと増えれば、それはレアル・マドリーのアイデンティティーになるはずだし、サポーターの数も増えるはずだよ。

しつこいようですが、我々イタリア人にはレアル攻撃陣の駒は過剰気味に見えるのですが、あなたはそう思うことはないんですか?

V ―― フィーゴにしてもジダンにしても最高のアーティストだ。そして、芸術家であると同時に戦士でもあるんだ。彼らは常に闘争心を失わない。サッカーをする上でこれは最も大事なことだよ。例えば70年メキシコW杯のセレソンには、芸術家であり戦士でもあるプレーヤーがたくさんいた。プラティニがいた頃のフランス代表もそうだったな。それに、うちの主力は選手としても人間としても成熟している。彼らはクラブの一員として何をすべきかを理解しているんだよ。

彼らの義務とはいったい何ですか?

V ―― まずチームの一員であること。つまり、チームワークを乱さないということが最も重要なんだ。

では、クラブ側の義務は?

V ―― さっきも言ったように、ファンを楽しませることだね。もちろん、“20世紀最高のチーム”という称号をいただいた以上、単にクラブの責任という言葉では済まされないのかもしれない。社会的責任とでも言うべきなのかな。“20世紀最高のチーム”と称される以上、我々には“崇高なるレアル・マドリー”の姿をピッチ上で示し続ける義務があるんだ。
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