アンチェロッティとはすごくうまくいっている。
昨シーズンは僕を正当に評価してくれた


ピルロ(以下P) ―― 僕に出番が回ってこない? そう断言するのはまだ早いよ。シーズンは長いから、全員にチャンスがあるはずだ。今シーズンのミランは3つのビッグタイトルを争わなきゃならない。計算できる駒を使い分けることができるんだから、監督はとても助かるんじゃないかな。

“使い分け”って言葉はきわめて“チーム本位”な感じがするな。
何年もセリエAでプレーしてきたのに、相変わらず使い分けられる駒の一人じゃ、精神的に辛いんじゃないのかい?


P ―― そりゃ、ちょっとはね。でも、その怒りは自分にぶつけたいと思うね。だって、もっと順調に成長していれば、何シーズンか前から、僕は監督にとって必要不可欠な選手になっていたはずだからね。

それは殊勝な発言だけど、記憶の糸をたどっていくと、ミランでもそうだけどインテルの時も“一部”のチームメートと同等のチャンスを与えてもらったと言い切れるかい?

P ―― いや、それはなかったね。若い国産選手より外国人助っ人のほうが辛抱強く使ってもらえるんだ。でも、理由あってのことだから、そのことで騒ぎ立てるつもりはない。なんだか彼らに“邪魔されてる”って感じで、イヤな気分なのも否定できないけどさ。

君の言う“理由”って?

P ―― 外国人選手にはイタリア人選手より高い金を遣っている。だから、ベンチに追いやってしまう前に、より多くのチャンスを与えなければならないんだ。メルカートの理論さ。仕方ないよ。

それは一理あるかもね。確かに、この前のW杯では、イタリアには世界的なレベルのMFが一人もいなかった……。

P ―― そんなことはないよ。イタリアにだって、いい選手はいっぱいいるんだよ。単に、それを認め、実際に試して一人前にしてやろうという気持ちを持ちさえすればいいだけなんだ。代表チームは有名選手を集めるだけじゃダメなんだ。それなのに、アッズーリでも十分にやっていけるような選手が、クラブチームで埋もれたままになっているんだよ。

それって、暗にアンドレア・ピルロのことを言っているのかい?

P ―― とんでもない! 僕が言いたかったのは、外国でプレーしているイタリア人選手も含めて、もっと視野を広げてほしいってことさ。プレミアリーグでトップクラスのプレーを見せているジャンフランコ・ゾラが、ここ6、7年、代表候補にすら名前が挙がらないなんて、あるまじきことだと思わない?

そりゃそうだよね。でも、ゾラもピルロも同じような処遇に甘んじている、と言うこともできる。君はゾラを引き合いに出して、自分のことを語っているようにも聞こえるんだけど。

P ―― よし、それじゃあ順を追って話を進めよう。ゾラはすごい選手だよね? そしてここ数年、コンスタントにプレーしているよね?

答えは間違いなく“イエス”だな。

P ―― でしょう。ということは、ここ数年イギリスでプレーしているっていう理由だけで、代表に招集されなかったのは間違った判断だったってことだよね。彼を構想外とした監督のせいでパルマから締め出されたゾラは、外国へ行くしかなかった。でも、プレミアリーグでプレーしたって彼は彼なんだよ。それなのに、セリエAのゾラは招集されたのにプレミアのゾラが外されるのはなぜなんだい?

ちょっとちょっと。
パルマからゾラを追い出した監督が誰だったか、君はわかって言っているのかい?


P ―― いや、知らないよ。ネヴィオ・スカーラだったかな?

いやいや、カルロ・アンチェロッティだ。
つまり君の今の監督だよ。


P ―― それは知らなかったけど、だから何だって言うんだい。僕はゾラの件に関する意見を言ったに過ぎない。アンチェロッティとはすごくうまくいっている。昨シーズンは僕を正当に評価してくれた。使える時はちゃんと使ってくれたからね。少なくとも終盤はその恩をちゃんと返したつもりだよ。
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