文●ロベルト・ベッカンティーニ Text by Roberto BECCANTINI
写真●グエリン・スポルティーヴォ Photo by GUERIN SPORTIVO
かつてスペインの名門・バルセローナを中盤の底で自由自在に操り、
数々のビッグタイトルを獲得した男が、今夏、ローマにやってきた。
グアルディオラ――“世界最高のレジスタ”と呼ばれたこの男の加入によって、
ローマにどのような“変化”がもたらされるのか。
また、その“味付け”によって、ローマは再び頂点に立てるのだろうか。
 
レジスタはチームが
機能するために重要かつ
不可欠な役割だった
 彼の職業はレジスタ(プレーメイカー)。彼のことを思う時、なぜか、私はある映画のことが思い浮かぶ。トム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した、『You got a mail』というタイトルの映画だ。小さいが、とてもアットホームな書店を営むのがメグ・ライアン。その近くにできた巨大なブックストアのオーナーがトム・ハンクスという役回りだった。メガ・ショップの攻勢を前にして小さな書店は崩壊寸前に陥るというのが映画の序章だった。

 だからといって、レジスタの役割がちっぽけで家庭的だと言いたいわけではない。むしろ、その逆である。デ・システィ、ユリアーノ、ペッチ、カペッロ、ジャンニーニ、アルベルティーニ、さらに、偉大なるルイス・スアレスと崇高なるファルカンによって象徴されるように、これまでレジスタはチームが機能するために重要かつ不可欠な役割だった。ところが、サッカーが進化するにつれ、いや、進化と言うより退化と言ったほうがより正確かもしれないが、レジスタは巨大な何者かによって、ゲームの要素からはじき出されてしまったのである。もっとも、ザッケローニをはじめ、一部の監督はレジスタの重要性を認めている。だが、かつてはパウロ・ソウザやデシャンを重用したリッピのような監督も、もはや今は、レジスタを必要と見なしていないのが現実なのだ。

 チームのバランスを保つ役割を持ったレジスタは、時として、ファンタジスタと混同されることがあるが、ファンタジスタはチームのバランスとは無縁の場所に位置する存在である。幾何学的な動きをするのがレジスタだとすれば、ファンタジスタは自由な動きをする存在なのだ。言うなれば、ファンタジーアが“一人歩き”をするのである。レジスタが“一人歩き”をすることは決してない。レジスタは正確に時を刻みつつ、ゲームを組み立てるのである。それに対し、ファンタジスタは感覚的に生きており、往々にして、時の縛りから抜け出る。ファンタジスタは即興的にプレーし、時として、プレーを発明するのだ。もっとも、ファンタジスタも、以前とはその形態を変えつつある。ファンタジスタにとって、ファンタジーアだけでなく、筋肉も必要不可欠なものになってきているのだ。例えば、ジネディーヌ・ジダンが良い例であろう。彼は“ソリスト”としての独自のスタイルを持っている。ただ、それだけではない。華麗なプレースタイルの陰に、異常なまでに発達した筋肉を持ち合わせているのである。
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