| 文●ルイージ・ロニョーニ Text by Luigi
ROGNONI 写真●兼子愼一郎、六川則夫、グエリン・スポルティーヴォ Photo by Shin-ichiro KANEKO/Norio ROKUKAWA/GUERIN SPORTIVOO |
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| “移り気なインテル”は 懸念を完全に打ち消すかのように 勝利を重ねている |
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| 1908年の創設以来、インテルは、“スクアドラ・フェッミナ”(女性的なチーム)と呼ばれて続けてきた。“女性的なチーム”――すなわち、“才気”と“放埓さ”を持ち味に万人を唸らせる勝利を収めたかと思うと、翌週には、目を覆うような惨めな敗戦を喫する、いわゆる“移り気な”チームとして認識されてきたのである。その“移り気なインテル”を象徴するのが、まさに2002年5月5日の出来事だった。その日、インテルは自らの宿命に導かれるかのように、絶望の淵に追いやられた。600万人のインテリスタが夢に描いていたスクデットをほぼ手中にしながら、自ら放棄するがごとくそれを手放したのである。 “移り気なインテル”の新シーズンは、チャンピオンズリーグ予備戦、ポルトガルのスポルティング・リスボン戦で始まった。インテルは、アウェー戦で0−0、ホーム戦で2−0という戦いぶりで、難なくスポルティングを退けた。セリエAでのスタートダッシュも、生気に満ちていた。開幕節となった第2節、ホームでトリノを破ると、レコーバ、ヴィエリ、クレスポ、そしてモルフェオといった天才たちがその才能を遺憾なく発揮し、序盤戦10試合で7つの勝ち星を手にしている。
今シーズンのインテルの強さは、戦力的な面以上に精神的な面に裏打ちされるものなのかもしれない。例えば、マッシモ・モラッティ会長は、ロナウドの損失に関してこう語っている。「ロナウドが去ったことでチーム内に一体感が生まれた。人は逆境に陥った時こそ団結するんだよ」。そう、サン・シーロの象徴的存在だったロナウドがインテルを見捨てたことにより、昨シーズンの最終節にスクデットを失って打ちひしがれていたチームに、強い団結心とリベンジの意識が生まれたのである。 “怪物”ロナウドの損失はクレスポの加入で補われた。復帰を願うファンの熱い思いを裏切り続けてきたロナウドと比較すれば、はるかに出場が保証されゴールも期待できるクレスポの獲得は、現実的な選択だった。それでも、裏切られることが常となっているファンは「厳しいリーグ戦になる」といういつもの思いを捨て切れずにいた。それもやむを得ないことである。“移り気なインテル”に安定した戦いを期待するのは高望みというものなのだ。 しかし、今シーズンのインテルは違った。ファンやマスメディアの懸念を完全に打ち消すかのように勝利を重ねている。多くのゲームで苦戦を強いられながら、ほとんどのゲームで確実に勝利を手にしてきたのだ。ここに至るまでに、微妙な試行錯誤をくり返してきたのは間違いない。多くの天才たちがピッチ上でその本領を発揮し、観客がゲームを堪能するに至るまでには多くの葛藤もあったはずだ。 エクトル・クーペル監督は当初、その慎重なゲーム運びを理由に、マスメディア、そしてインテリスタから多少の批判を浴びていた。そこで、彼はある種の賭けに出た。すなわち、スペクタクルなサッカーへの転換。これは、慎重派のクーペルにとっては大きな賭けだった。しかし、彼にはそれなりの勝算があったはずだ。何より、彼のチームには、華やかなサッカーを披露するには十分すぎる人材がいたのだから。
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