文●リーノ・トンマージ Text by Rino TOMMASI 
写真●グエリン・スポルティーヴォ Photo by GUERIN SPORTIVO
第2節 トリノ戦(H) 1−0 ○ 第4節 キエーヴォ戦(H) 2−1 ○
第3節 レッジーナ戦(A) 2−1 ○ 第5節 ピアチェンツァ戦(A) 4−1 ○
 インテルが開幕4連勝を記録した。過去、開幕から4連勝を記録したチームの数は27。つまり、セリエAが単一リーグ戦として行われてから71回目を数える今シーズン、インテルが飾った開幕4連勝は、通算で28度目のものとなる。

 ところで開幕4連勝とスクデット獲得の関連性は極めて薄い。昨シーズンまでの27チームのうち、スクデットを獲得したのは半数以下の12チームだけ(44.4パーセント)。つまり、開幕4連勝がそのままスクデット獲得につながるわけではないのだ。しかし、5試合目に当たるイタリア・ダービーでインテルが勝利を収めていたなら話は別である(実際は、土壇場でインテルが追いつき1−1のドロー)。昨シーズンまでの統計によれば、開幕5連勝を記録した14チームのうちスクデットを手にしたのは9チーム、64.3パーセントという高い割合を占めている。つまり、仮に5連勝していれば、インテルがスクデットを手にする可能性は数字的に高まったと言えるのである。

序盤戦の連勝記録とスクデットの関係性
シーズン チーム
1

2

3

4

5

6

7

8

9


最終
順位
優勝チーム 勝点
1930-31 ユヴェントス 8 1位 ユヴェントス +4
1985-86 ユヴェントス 8 1位 ユヴェントス +4
1954-55 ミラン   7 1位 ミラン +4
1966-67 インテル   7 2位 ユヴェントス −1
1976-77 ユヴェントス   7 1位 ユヴェントス +1
1992-93 ミラン   7 1位 ミラン +4
1942-43 リヴォルノ     6 2位 トリノ −1
1950-51 ミラン     6 1位 ミラン +1
1957-58 ユヴェントス     6 1位 ユヴェントス +8
1981-82 ユヴェントス     6 1位 ユヴェントス +2
1949-50 ユヴェントス       5 1位 ユヴェントス +5
1950-51 ボローニャ       5 7位 ミラン −19
1976-77 トリノ       5 2位 ユヴェントス −1
1987-88 ナポリ       5 2位 ミラン −3
1931-32 ボローニャ         4 2位 ユヴェントス −4
1935-36 ボローニャ         4 1位 ボローニャ +1
1947-48 ユヴェントス         4 3位 トリノ −16
1948-49 ルッケーゼ         4 8位 トリノ −22
1952-53 ローマ         4 6位 インテル −11
1960-61 インテル         4 3位 ユヴェントス −5
1960-61 ローマ         4 5位 ユヴェントス −10
1960-61 ユヴェントス         4 1位 ユヴェントス +4
1966-67 ナポリ         4 4位 ユヴェントス −5
1969-70 フィオレンティーナ         4 4位 カリアリ −9
1995-96 ミラン         4 1位 ミラン +8
1997-98 インテル         4 2位 ユヴェントス −5
1998-99 フィオレンティーナ         4 3位 ミラン −14
2002-03 インテル 4
勝ち点差は該当チームが1位の場合は2位との差。
2位以下の場合は1位との差。
なお、今シーズンの第1節は第8節の後に行われている

 とはいえ、開幕から連勝を記録したからといって、それが確実にスクデットに結びつくわけでもないようだ。42−43シーズン、開幕から6連勝したリヴォルノが良い例だろう。イーヴォ・フィオレンティーニが指揮するリヴォルノの快進撃は、歴史に残るものだった。第1節から第6節まで勝利を積み重ねた後、第7節バーリ戦の引き分けを挟み、第8節、ミラノで行われたアンブロジアーナ戦では勝利、第9節にはトリエスティーナと引き分ける、という白星先行の戦いぶり。第10節ホームで行われたユヴェントス戦で0−3の敗戦を喫したものの、リヴォルノが、プロヴィンチャの旋風となり、最後の最後までスクデット争いを演じたのは確かである。ただし、最終節に、試合終了3分前のヴァレンティーノ・マッツォーラのゴールでトリノが勝利したため、勝ち点差でわずか1及ばなかったリヴォルノは、トリノに首位の座を譲るという残念な結末を迎えている。

 開幕7連勝がスクデットにつながらなかったというケースさえある。悲劇の主人公を演じたのは66−67シーズンのインテルだった。シーズン最終節の対マントヴァ戦、インテルのGKジュリアーノ・サルティは、ベニアミーノ・ディ・ジャコモが放った“平凡な”シュートをファンブルし、そのままゴールを許すという稚拙なミスを犯した。結果は0−1の敗戦。チームは、最後の最後にユーヴェにスクデットをかすめ獲られたのである。

 一方、開幕8連勝を2度記録したユヴェントスは、いずれのシーズンもスクデットを手中に収めている。30−31シーズン(ユーヴェのスクデット5連覇の幕開け)と85−86シーズン、ユーヴェは開幕8連勝をスクデットに結びつけたわけだが、これに限らず、ユーヴェの開幕連勝はスクデット獲得に大きな作用をもたらしている。過去、開幕4連勝以上を記録した8回のうち、ユーヴェは何と7度もスクデットを獲得しているのだ。逆にユーヴェが開幕から4連勝を記録しながら、スクデットを逸したのは47−48シーズンの1度だけ。21チームでセリエAが争われた唯一の大会であるこのシーズン、ユーヴェは首位と勝ち点差16の3位でシーズンを終えている。ちなみに、その時の優勝チームは“グランデ・トリノ”で、後続に大差をつける圧勝だった。

 ユーヴェの開幕連勝がスクデットに直結しているのに対し、インテルの開幕連勝記録はスクデットとは無縁のようである。インテルはこれまでに開幕4連勝以上の成績を3度収めながら、それらは一度としてスクデット獲得につながらなかった。前述の66−67シーズン以外にも、開幕4連勝を収めながら、60−61シーズンには3位、そして97−98シーズンはユヴェントスに次ぐ2位に終わっている。

 開幕4連勝を記録した27の例の中で、開幕連勝記録を100パーセントスクデットに結びつけているのはミランだけ。開幕4連勝以上を4度記録したミランは、いずれのシーズンもスクデットを手中に収めている。一方、最悪の形でシーズンを終了したのが、トスカーナのプロヴィンチャーレ、ルッケーゼである。48−49シーズンの開幕から4試合を白星で飾ったが、その勢いはすぐに衰え、結局、セリエA8位という成績に終わってしまった。もっとも、前シーズン16位、2年後にはセリエBに降格する運命にあったルッケーゼにとって、8位という成績は満足のいくものだったろう。

 開幕連勝記録とスクデットの関連性には、注目すべき側面がもう一つある。開幕4連勝以上を記録した27チームのうち、15チームがスクデットを手にしていないという点である。確かに、そのうちの3チームは、最終的に首位との勝ち点差が1という熾烈なスクデット争いを演じている。しかし、7チームが首位に9から22という大きな勝ち点差をつけられシーズンを終えているのもまた事実なのである。これはつまり、絶好のスタートを切ったチームほど、敗戦という厳しい現実を目にした時のショックが大きいため、一気にリズムを崩す可能性が非常に高いと考えられるのである。

 開幕4連勝後のインテルの成績は6勝3分け2敗。今のところ、常勝のリズムを崩す気配はない。果たして88−89シーズン以来となる悲願のスクデットを手にできるのか、それとも……。