トッティを最前線に配置することで
サイドや後方との連携が消滅した
 ここで、トッティの02−03シーズンのプレー内容を見てみよう。モティベーションを失ってしまったバティストゥータに代わり、トッティがセンターフォワードを務める試合が多かった。センターフォワードとは言わないまでも、ファビオ・カペッロ監督はトッティをトレクアルティスタではなく、完全なFWとしてプレーさせた。

 スクデットを獲得したシーズン、トッティはトップ下のポジションで動き回った。比較的プレッシャーの少ないトップ下で、ローマの10番ははつらつとプレーしていた。だが、FWとして最前線にポジションを取るようになったトッティは、相手守備陣の執拗なマークの餌食になることが多くなった。餌食とは断言できないまでも、思いどおりに動くのは厳しい状況だった。プレーに関与した回数はわずか1190回。スクデットを獲得したシーズンの1942回と比べると雲泥の差である。パス交換の多い相手はカンデラとカフーで、これは変わらなかったが、その回数は3分の1から4分の1に激減している。ポジションが2トップの一角となったため、相手DFのマークもきつくなり、アウトサイドとの距離も遠くなったことでパス交換が減ったと解釈すべきだろう。ローマのスクデット獲得の原動力だった“トッティとアウトサイドの連携”というプレーが消えたことが、マイナス要素になったことは明らかである。味方DF陣からのパスをトッティが受けるというシーンも消えた。さすがに、ディフェンスラインから最前線へのロングパスは簡単には通らない。したがって、トッティにパスをフィードする選手もオリヴィエ・ダクール(86本)、エメルソン(83本)、リマ(62本)といった中盤の選手に限られたのだ。

 トッティのパスフィードの対象となったFWはモンテッラ(49本)ただ1人。ゴール前でのトッティが、ラストパスを他のFWにフィードするより自分でシュートを打つ選択をした場面が多かったと解釈すべきだろう。昨シーズン、FWとしてプレーしたトッティは、112本のシュートを放ち、枠に行ったのが45本。ゴール数は14だった。

 ローマの2つのシーズンを振り返った今、いくつかの疑問をここに提示したい。トッティをトレクアルティスタからFWにコンバートしたことで、ローマのパフォーマンスにどんなメリットがあったのだろうか。トッティと両アウトサイドのカンデラ、カフーとの連携プレーが減ったことで、ローマの攻撃バリエーションが減り、相手守備陣は楽に守れたのではないだろうか? 最前線にコンバートされたことで、トッティのゴール数は増えると期待されていた。しかしながら、結局、ゴール数の増加はわずか1。トッティ個人としても、チームとしても、これでコンバートのメリットがあったと言えるのだろうか? トッティには、FWとして制限つきのプレーをさせるより、トップ下で自由にプレーさせたほうが良いと私は考えている。さて、読者のみなさんはどうお考えだろうか?
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