当面の目標は、
サンプドリア時代の22ゴールという
自己記録を更新することかな


シーズン当初、君は完全に控え要員だったよね。
ナポリに移籍なんていう噂も流れていた。君自身、どんな気分だった?

キエーザ(以下C) ―― ちょっと落ち込んでいたことは確かだよ。テリムが監督就任の記者会見で、「キエーザがいるからフィオレンティーナを選んだ」みたいなことを言っていたから、僕もその気になっていたんだ。ところが、ある種の誤解でテリムが気分を害したということもあったし、僕自身の体調があまり良くなかったことも重なって、戦力外みたいな扱いをされちゃってたんだ。だから、僕も頭にきて、つい、余計なことを言っちゃったんだよ。そうしたら、それがまた新たな誤解を招く、といった感じで、すべてが悪い方向に流れていたんだ。でも、ある時、流れが変わったんだよ。

どういうこと?

C ―― 僕自身が考え方を変えたんだ。いや、“作戦”を変えたと言うべきかな。「もう何も言うまい」と決めたのさ。黙って、ひたすら練習に励み、テリムが監督就任時に考えていたことが間違いではないということをプレーで示そうと思ったんだ。「フィオレンティーナにはキエーザが必要だ」ということを練習で見せつけることにしたんだよ。

その戦術が功を奏したということ?

C ―― そうだね。黙々とハードな練習をこなしたよ。幸いにして、テリムは執念深い男ではなかった。僕は必死に練習をした。軽い練習の時でも気持ちを込めて全力で取り組み、常に集中力を保つように努力したつもりだよ。すると、テリムはスタメンリストに僕の名前を書き込んでくれたんだ。そして僕はゴールを量産することで感謝の意を示したのさ。

でも、だからって、そう簡単にゴールを量産することはできないだろう?

C ―― もちろん、いろいろな要素が絡んでくるよね。体調も重要だし……体調が悪けりゃ何もできやしないからね。それに加えて、プレーする喜びとか、ゴールを決める喜びとか、チームのために何かをするという喜びがないといい仕事はできないし、戦術と自分の持ち味がうまく噛み合わなくてもゴールは生まれないと思うんだ。テリムは僕にセンターフォワードのポジションをくれた。僕の持ち味を理解してくれたんだ。エリア内でダイレクトにシュートを打つという、僕の持ち味をね。

それだけでゴールを量産できるのかな?

C ―― もちろん、自分1人でゴールを決めるのは難しいよ。だが、ラッキーなことに、今シーズンのフィオレンティーナは攻撃的なサッカーをやってくれている。当然、FWの選手のシュートチャンスは多くなったから、僕が9ゴール、ヌーノ・ゴメスは6ゴール、レアンドロも5ゴールを決めている(第18節終了時点)。要するに、今シーズンのフィオレンティーナは、FWが本来の仕事をできるようになってるんだ。テリムの攻撃的サッカーのおかげでね。

今シーズン、これまでにマークした9つのゴールの中で、“ベスト”のゴールはどれかな?

C ―― よく言うよね、「次のゴールがベスト」だって(笑)。冗談はさておき、もちろん、すべてのゴールが僕にとって貴重なゴールさ。だが、過ぎ去ったことはすべて引き出しにしまっておくことにするよ。僕にとって、これから何本ゴールを決めるかということのほうがはるかに大事なことなんだ。

得点王は意識しているかい?

C ―― 得点王になりたいとは思ってるよ。だが、難しいだろうね。当面の目標は、サンプドリア時代の22ゴールという自己記録を更新することかな。得点王は、バティストゥータ、クレスポ、シェフチェンコの3人のうち、誰かが獲ると思うよ。ただ、僕も「もう諦めた」と言っているわけじゃない。今のフィオレンティーナのサッカーならば、FWに不可能という言葉は存在しないからね。2カ月後に同じ質問をしてよ。答えが変わっているかもしれないから。
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