Andriy SHEVCHENKOEnrico CHIESARoberto Carlos SOSA











文●富樫洋一
text by Yoichi TOGASHI

ストライカーと呼ばれる選手は、セリエAにゴマンといる。そして、そのタイプも千差万別、ゴマンとある。彼らを結びつける共通の特徴は、ただ得点を決める感覚に優れているということだけ。そのゴマンといるストライカーから、一歩抜け出るために必要なものは、並外れたスピードだったり、跳躍力だったり、ボールを扱う3次元の感覚だったり、予知能力だったり、手品のようなボールテクニックだったりするのだ。

さて、実は(と勿体ぶる必要もサラサラないが)私も、その昔、ストライカーだった。高校、大学(軟弱な同好会です)、社会人と、アマチュアチームでそこそこ鋭い点取り屋だったのだ。「だからナンなんだ!」と詰め寄られても困るが、それなりに得点することにかけては一家言ある。いや、ストライカーに対しての思い入れも、普通のファンよりは強いつもりだ。

その私の、セリエAで今一番好きなストライカーは、エンリコ・キエーザ。憑かれたようにゴールに突き進み、情け容赦なく、そしてチームの好不調に関わりなく、渾身の力でシュートをぶち込む。キエーザの狂気迫る得点能力を評価するのは、もちろんジャッポーネのオッサン・ライターだけではない。96年ヨーロッパ選手権イングランド大会の直前、監督アリゴ・サッキは、アッズーリの攻撃の切り札としてキエーザを召集し、98年W杯フランス大会の直前には、チェーザレ・マルディーニが、また彼を召集している。これは、大きな大会の直前、最後に代表入りする選手が大活躍するという、82年W杯スペイン大会の(監督ベアルゾットによって代表入りした)パオロ・ロッシ、90年W杯イタリア大会の(監督ヴィチーニによって代表に召集された)サルヴァトーレ・“トト”・スキッラーチのひそみにならってのピックアップに違いなく、キエーザが、いかに両代表監督のお眼鏡に適っていたか、いかに不思議な得点感覚を持っていると認められていたかの証である。

キエーザのプレーが私をワクワクさせるのは、前線からのしつこいほどのチェック(私が凡庸なストライカーだったのは、これを励行するだけのスタミナがなかったからである)と、不思議な予知能力による見事なパスカット、ケレン味のない思い切りのいい、しかも絶妙なコースに飛ぶシュートがあるからだ。内股でピッチの速い走りも何か変でGoo。余談ながら、こういう、捉えどころがなく、天才的で鬼気迫るストライカーの例に漏れず(ペレ、クライフ、マラドーナと同様)、契約しているシューズ・メーカーが、プーマだという点も、妙に納得できる事実なのである。

キエーザに次いで気になるストライカーは、ペルージャのギリシャ人ヴリザス。O脚気味の足とそのボールタッチだけで、彼がタダならぬ才能の持ち主だとわかる。その彼が、ギリシャ代表にも呼ばれていないところにギリシャ・サッカーの今後の底力を感じてしまうのだが、それもまた余談。

いやいや、私の個人的な趣向は別にして、セリエAには誰が見ても文句のない、正統派のストライカーが何人もいる。古巣フィオレンティーナとの一戦での見事なドライブ・ボレーが、豪快で力強い彼の得点の特徴をよく表している“獅子王”バティストゥータ。角度のない地点こそが彼の確実なシュートレンジとの感もあるエルナン・クレスポ。華奢な身体をキーキーいわせてイヤらしい得点を次々決めるフィリッポ・インザーギ。小柄ながら、しなやかな身体でグサッとネットにボールを突き刺す、マルセロ・サラス。小柄でも、力づくでスピンのかかった曲ダマをゴールに押し込むジュゼッペ・シニョーリ。鉈のようなパワー、ハンマーのようなインパクトでボールを叩き込むクリスティアン・ヴィエリ。完璧なドリブルと、サッカーボールの物理学をすべて解析しているかのようなタッチでボールをゴールインさせるアンドレイ・シェフチェンコ。シュート・インパクトのフォームが工芸品のように美しいフランチェスコ・トッティ……。

そして、ヴリザスではないが、プロヴィンチャのチームにもキラリと光るストライカーが多くいる。地味なレッチェの地味なクロアチア人ダヴォール・ヴュグリネッチ。バーリの金の卵、アントニオ・カッサーノ。ピルロの加入で輝き出したポンコツ、大柄なセリエBの得点王、ブレッシャのフブナー。第2のバティストゥータを目指す、ぎこちないアルゼンチン人ロベルト・カルロス・ソサ。市場価値急上昇中のヴェローナの長身FW、ボナッツォーリ……。
セリエAは、ストライカーを愛でるだけで、話が尽きることがない。

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