「自分が一番だ」と思った時点で、
後退してしまうんだよ。
そう思った時にケガをしてしまうものなんだ |
 |
どうやら今シーズンもスクデットは無理なようだね?
シェフチェンコ(以下S) ―― 現時点で諦めるべきではないと思っているよ。でも、確かに、スクデット戦線に食い込むのは相当難しくなったと言わざるを得ないかな。首位との勝ち点差は大きいし、それに、首位とミランの間にまだたくさんのチームがいるからね。仮にローマが調子を落としたとしても、他のすべてのチームが“コケる”のを期待するのは無理な話さ。前半戦での取りこぼしが非常に痛かったよ。
ミランがチャンピオンズリーグに気を取られて、リーグ戦をおろそかにしたということかな?
S ―― それは違うんじゃないかな。だって、リーグ戦とチャンピオンズリーグを同時に戦っていた去年の11月、僕らはリーグ戦の5試合で勝ち点13を稼いでいるんだ。5試合で勝ち点13だよ。今シーズンの前半戦では最高の時期だったさ。逆に、チャンピオンズリーグの1次リーグ終了と同時に、チームのリズムが崩れてしまって、クリスマスの頃には完全に落ち込んでしまったんだ。
君は第12節までに11ゴールを記録したよね。
君のゴールがストップしたのと同時に、ミランもストップしたとは言えないかな?
S ―― それは単なる偶然だよ。
君の得点がこの4カ月間、「ミランには限界が生じている」という事実を見えにくくしてきたと思うんだ。ミランのために必死にプレーしていたのは君だけだ、とは考えなかった?
S ―― そんなことはないよ。1人の選手の活躍でチームが有利に試合を進めるということはよくあることだけど、だからといって、1人でチームを勝たせることはできない。僕は今シーズンのミランも最高のチームだと心から思っているよ。ライバルと対等にやっていくだけの戦力を備えたチームだと思ってる。ただ、今シーズンは残念ながら、これまで故障者が多すぎたんだ。
君はいつも謙虚すぎるよ。もちろん、謙虚さは大事だよ。でも、言うべきことは言ったほうがいい場合もあると思うんだ。まだ、自分がスタープレーヤーへの道を歩んでいるとは感じていないのかな?
S ―― 自分がチームにとって重要なプレーヤーの1人なんだという意識はあるよ。周囲の人も僕を“スター”として扱ってくれてる。それはそれで悪い気分ではないさ。でもね、僕は、以前も君に言ったように、常にミラノに着いたばかりの時の気持ちを忘れないようにしたいんだ。僕の頭の中には、いつも、ロバノフスキ(注:ディナモ・キエフ時代の監督、シェフチェンコの心の師)の言葉があるんだ。「サッカー選手は、自分がスターになったと思った瞬間にスランプに陥り、満足のいくプレーができなくなるものだ」という言葉さ。この職業を続けている限りは、辛抱と情熱を持ってすべてに取り組むことが大切なんだ。「自分が一番だ」と思った時点で、後退してしまうんだよ。そう思った時にケガをしてしまうものなんだ。
そういう風に考えることが、君がゴールを量産できる秘訣と言えるのかな?
S ―― 秘訣だって? 秘訣なんて存在しないよ。とにかく、これは選手全員に言えることなんだ。自分が最高だと思った瞬間が、終末への第一歩なのさ。
となると、“スーペル・シェヴァ”の知られざる武器とは何だろうか?
S ―― 知られざる武器なんて大袈裟な表現はしないでよ。僕の武器、持ち味に関して、君は知っているはずだろう? その点に関しては無意味な謙遜をするつもりはないから、はっきり言うよ。スピードとフィジカルパワーが僕の武器だと思っている。この武器を日々の練習でより強力なものにするため努力しているつもりだよ。キエフ時代に比較すると練習量は減ったけど、それでも、チームの練習が終わった後、いつも、ヴァレーリオ(ミランの第4GK)に残ってもらって、30分くらいシュート練習をしたり、あるいは、プリマヴェーラのDFを呼んで、1対1の練習をやっているんだ。特に、1対1の状況でドリブルで相手をかわすという練習が中心だね。それこそが僕の持ち味だと思っているから。それに、1対1でのドリブル突破なんていう状況は今のミランの戦術には存在しないから、自主的に練習しておかないと忘れちゃうしね。 |