文●アダルベルト・ボルトロッティ Text by Adalberto BORTOLOTTI
写真●グエリン・スポルティーヴォ Photo by GUERIN SPORTIVO

ロン・ドールに輝いたパヴェル・ネドヴェドをいかに定義すべきなのか? 非常に興味深い課題である。まず言えること。それは、彼が様々な能力を兼ね備えたプレーヤーであるという点である。彼は下がって相手選手をマークすることも、前を向いて絶妙のタイミングでラストパスをくり出すこともできる。もちろん、状況に応じてドリブルで切れ込んで強烈なシュートを放つこともできる。

単に攻守に優れているだけではない。彼はどのポジションでも人並み以上のプレーを披露し、多くの指揮官を満足させてきた。簡潔に言えば、ネドヴェドは攻守にわたって非凡な能力を発揮できるオールラウンドプレーヤーなのである。今回のネドヴェドのバロン・ドール受賞は、世界のサッカー界がスペシャリストを排除する傾向にまた一つ歩を進めたことを示唆している。

個人技を前面に押し出したプレーも、歯車の一つとして完璧に機能することもできるネドヴェドのようなプレーヤーは、カルチョの長い歴史をひもといてもなかなか見当たらない。あえて同類の選手を探すとすれば、20年も前にユヴェントスでプレーしていたマルコ・タルデッリの名が挙がるだろう。当時の代表監督、エンゾ・ベアルゾットは、ユヴェントスではDFとしてプレーしていたタルデッリを中盤に据えた。マスメディアに人気のなかったベアルゾットが、この起用法でさらに批判の嵐にさらされたのは言うまでもない。しかし、ベアルゾットの読みの深さと先見の明は卓越していた。何より、攻守にわたるタルデッリの活躍なくして、イタリアの82年W杯スペイン大会制覇はあり得なかったのだから。

タルデッリは、身体能力の面でもネドヴェドに勝るとも劣らない存在だった。攻撃面での迫力、チームを牽引するカリスマ性においては、タルデッリのほうが優れていたかもしれない。ただ、タルデッリはあくまで守備的要素が強い選手だった。事実、得点力に関しては、一試合当りのゴール数が示すように、ネドヴェドがタルデッリを上回っている。いずれにせよ、MFの軸として機能し、ワンプレーでゲームの局面を変える実力とカリスマ性を持つネドヴェドを見て、タルデッリの姿を想起するイタリア人は少なくないはずだ。

ユーヴェに入団して以来、ネドヴェドがさらなる成長を遂げたことは間違いない。もっとも、ラツィオに所属していた頃からネドヴェドははつらつとしたプレーを披露していた。ラツィオでプレーした5シーズン、彼はチームをセリエA制覇と2位に導いた。2シーズン連続で優勝争いを演じるチームにまでラツィオを引き上げた功績は称えられるべきである。ラツィオに一時代を築いたのはネドヴェドだった、そう言っても過言ではないだろう。

そのラツィオでネドヴェドの役割を引き継いだデヤン・スタンコヴィッチもまた、タルデッリ同様、多くの点でネドヴェドに類似している。もちろん、現時点のスタンコヴィッチをネドヴェドと比較するのは時期尚早である。スタンコヴィッチがネドヴェドよりも6歳年下という事実を考慮しての比較になるが、技術面で2人の差はほとんどないと言えるだろう。足下のボールコントロール、ヘディング、状況判断といった面でも、スタンコヴィッチはすでにカンピオーネの域に達している。もっとも、サッカーに取り組む姿勢に関しては、2人の間に大きな差がある。好不調の差が激しいスタンコヴィッチが、絶えず強い精神力と好プレーを披露するネドヴェドの域に達しているとはとても言いきれないのだ。

ちなみに、ネドヴェド・タイプのプレーヤーをイタリア国外に求めた時、真っ先に思い浮かぶのがマンチェスター・ユナイテッドのMFポール・スコールズである。ネドヴェドよりも2歳年下のスコールズは、攻撃的MF、あるいはセカンドアタッカーとしてのプレーを得意としている。昨シーズンは14ゴールを記録するなど、ネドヴェド同様に得点能力にも恵まれている。相手のマークを外す技術もネドヴェド同様に高く、あらゆる面で2人は非常に似通っていると言えるだろう。

もっとも、ネドヴェドとスコールズの間には、やはりたった一つだけ大きな違いがある。それは調子を持続する能力である。スコールズがトップコンディションでプレーできるのはせいぜい数試合に過ぎない。ネドヴェドとは対照的に、好不調の波が激しいのである。一方のネドヴェドは、前述のとおり、長期にわたって好調を維持できる選手なのである。

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