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“赤い悪魔”の衝撃的な敗退の裏には、少なくとも3つの要因があった。 まず1つめは心理的な理由である。彼らはホームでの第1戦で4-1と圧勝し、第2戦のため、敵地リアソールに乗り込んだ。勝負の怖さを知っているミランとはいえ、油断が全くなかったと言ったら嘘になるだろう。一方のデポルティーボ・ラ・コルーニャは、地元の観衆に何とか応えようと必死だった。相手は昨シーズンの欧州王者。相手にとって不足はない。つまり、ミランとデポルティーボ・ラ・コルーニャの間には、対戦前からモティベーションの面で大きな違いがあったのだ。 2つめの理由はフィジカルの問題である。あの日、ミランは非常に疲労した状態でデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦を迎えていた。なぜなら、ゲームに至るまでの2カ月間、ほとんどターンオーバー制を採用せずに戦い続けていたのだ。しかも、デポルティーボ・ラ・コルーニャ戦の前のカンピオナートでは、キエーヴォとモーデナという格下相手に、2戦とも引き分けという苦戦を強いられていた。ミランの首脳陣は、スクデットとチャンピオンズリーグの2冠を目指していた。だからこそ、トレーニングスタッフは、練習をよりハードなものへと切り替えた。つまり、目先のデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦より、その2週間後の準決勝でトップコンディションになるよう練習の負荷を大きくしたのだ。第1戦を3点差で勝っていることもあり、ミランというチーム全体がすでに準決勝への切符を手に入れたものと思い込んでいた。ところがデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦では、練習の疲労から完全に足が止まってしまった。そして、最後まで流れを引き寄せられず、“悪魔”は敵地で3点差を逆転されるという“歴史的敗北”を喫したのである。 3つめの敗因、それは戦術的なミスである。前回のミラノ・ダービー後、ミランのシルヴィオ・ベルルスコーニ会長はカルロ・アンチェロッティ監督に対し、次のような“命令”を下している。「今のミランにはどんなチームをも打ち破れる攻撃力がある。それなのに、なぜ1トップで戦わなくてはならないのか? ミランは常に2トップで戦うべきだ」。監督のアンチェロッティはこの命令に従順だった。彼は敵地での試合にアンドレイ・シェフチェンコ、ヨン・ダール・トマソンの2トップ、その下にカカーをトレクアルティスタとして置くという攻撃的な布陣を敷いたのである。しかも両サイドバックに、これまた攻撃参加を得意とするカフーとジュゼッペ・パンカロを起用した。くり返しになるが、第1戦は4-1で勝っていたのだ。選手のフィジカルコンディションが落ちていたことを考えれば、もう少し守備的な布陣で戦う選択肢もあったはずである。例えば、前線を1トップにし、中盤をより厚くすることもできた。しかし、アンチェロッティ監督は攻撃的なシステムを貫き通したのだ。確かに今のミランが攻撃的な布陣を敷けば、どんな相手でもなぎ倒すことができよう。だが、そうした強攻策は“諸刃の剣”になる危険性を秘めている。特にフィジカルコンディションが整っていない時に、攻撃的に戦うことはこの上なく危険だ。事実、あの夜のミランは“どんな相手にでも敗れる可能性があるチーム”に成り下がっていた。 チャンピオンズリーグ早期敗退の余波は、何もピッチ上だけの問題ではない。この敗退でミランは財政的にも非常に大きな損失を被った。昨シーズン、ミランがチャンピオンズリーグにて得た収入は4800万ユーロ(約62億4000万円)。内訳は、優勝賞金+チケット売上金が3800万ユーロ(約49億4000万円)、放映権料が1000万ユーロ(約13億円)であった。ところが今シーズンは賞金+チケット売上金の1412万ユーロ(約18億3000万円)に留まっている。放映権料にいたっては、550万ユーロ(約7億1500万円)だという。つまり、今シーズンのチャンピオンズリーグによる収益は2000万ユーロ(約26億円)を割り込むことになるのだ。昨シーズンと比較すると2800万ユーロ(約36億4000万円)もの収入減となる。イタリア有数の裕福なクラブであっても、これは決して小さな損失ではない。 しかし、来シーズンもミランがヨーロッパ随一の戦力を持ったチームであり続けることは間違いない。今シーズン終了後、主力選手の放出はほぼないだろう。さらに、ラツィオからDFヤープ・スタムを獲得することもほぼ確定的と見られている。加えて、もしエドガー・ダーヴィッツを呼び戻すことができるのならば、来シーズン、ミランが“リベンジ”を果たす可能性はさらに高まるというものだ。 |
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