ミランの攻撃はすべて、彼の足下を経由して展開された。中盤の底から相手ディフェンスラインの裏へ正確なボールをフィードするのは、彼の得意技だ。また、FKのスペシャリストであると同時に、PKキッカーとしても完璧な仕事ぶりを見せ、ゴールを奪えるレジスタとしての評価も高めた。“ピルロはミランのピッチに不可欠な男”、誰もがそう認めたシーズンだった。今やイタリア一のレジスタとなった彼は、初めて経験するスクデットの喜びを次のように語った。

「この結果にすごく満足しているよ。スクデットは、僕のように子供の頃からそれを夢見てきた者にとって、感激この上ないことなんだ。昨シーズンはチャンピオンズリーグ優勝、そして今年はスクデット。これ以上何を望めと言うんだい?これだけは言えると思うけど、僕らは一つの時代の扉を開いたんだ。ミランの時代は今後も長く続くと思うよ。今のミランは、歴史に名を残すだけのチームだ」

彼が言うように、ミランに栄光の時代が訪れた時、チームの“羅針盤”を務める彼自身もまた、歴史に名を残す存在となっているに違いない。

セードルフはタイトルに非常に縁がある男だ。すでにアヤックスとレアル・マドリーでリーグ優勝を経験済みである。だが、ミランの一員として手にするスクデットには、特別の感慨があると語る。

「最高にうれしいよ。なんせ、僕はイタリアでまだ優勝したことがなかったからね。これまでプレーしたサンプドリアでも勝てなかったし、インテルでも勝てなかった。ミランに来て、やっとスクデットを手にできたんだよ。イタリアでタイトルを勝ち獲るのは、それだけ大変ということだろうね」

インテル時代の煮えきらないプレーを引きずって、シーズン序盤は平凡な出来に終始していたが、中盤から後半にかけてエンジン全開。天性のセンスで中盤のバランスを保ち、攻守に欠かせない存在となった。特に、破壊的なミドルシュートは、ファンに強烈な印象を残している。ミラノ・ダービーでの決勝ゴール、デッレ・アルピでのユヴェントス戦での2ゴールは圧巻だった。

早熟の天才と呼ばれた男にとって、ここ数シーズンの不振を払拭し、改めてその才能を見せつけるシーズンとなった。

自身7度目のスクデット獲得の喜びを、キャプテン、パオロ・マルディーニは次のように語っている。

「周囲から見れば、去年、マンチェスターでチャンピオンズカップを手にした時のほうが喜びを爆発させていたように感じるかもしれないけど、実際は違うんだ。スクデットの喜びは、じわじわと湧き上がってくるもの。今は幸せで胸がいっぱいなんだよ。スクデットだけじゃない、自分の目標達成を可能にしてくれる、ミランのような偉大なチームでプレーできることに、僕はいつも満足しているんだ」

ネスタと堅守のDFコンビを形成し、年齢による衰えを感じさせないプレーを披露した。トラパットーニが最後まで彼のEURO2004出場を望んだのもうなずける。

「僕の年齢に達すると、普通は“その日暮らし”といきたいところだろうけど、僕は違う。僕はまだ勝利に飽きていないんだ。ミランはまだまだ勝てるチーム。イタリア国内でも、ヨーロッパでも勝てるチームだと思うよ」

若者の情熱とカンピオーネ熟練のテクニックを持ち合わせる名DFは、早くも8度目のスクデット獲得に意欲的である。

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