文●アレッサンドロ・ボッチ Text by Alessandro BOCCI
写真●兼子愼一郎 Photo by Shin-ichiro KANEKO
A=出場試合 G=得点 (  )内はそのうち途中出場での記録

カカーにとって、セリエA初年度で手にしたスクデットの味は格別である。「ついに、夢が叶ったんだ。世界で最も厳しいと言われるリーグで優勝できたんだから、喜びは人一倍だよ」と、シンデレラボーイは目を輝かせる。

セリエA初挑戦の選手が、いきなりこれほどの活躍を見せるのは珍しいこと。「チームにうまく馴染めたのが大きかった。特に、イタリアではどのようにプレーすべきか教えてくれたアンチェロッティに感謝しているよ」と、成功の要因を分析する。また、慎み深い彼は“恩師”以外への謝辞も忘れない。「ミランに僕を入れてくれたベルルスコーニ会長にもお礼を言いたい。チームメートへの感謝も忘れないよ。特にルイ・コスタのような素晴らしい人に出会えたことは、すごく幸運だった。彼はいつも僕を激励し、勇気づけてくれたんだ」

この経験を糧に、若きエースはいよいよ真のカンピオーネへと成長を遂げてゆく。「“食欲は食べながら増してくる”という格言があるけど、今の僕も同じさ。スクデットの感動を味わったばかりだというのに、この喜びをまた味わいたいと思い始めているところなんだ」。スクデットは、謙虚な青年をちょっぴり欲張りにしたようだ。

シーズンを通して驚異的なパフォーマンスを発揮。昨シーズンに続きアッビアーティとのポジション争いを制して、確固たるレギュラーGKの座を築いた。

「デポルティーボに敗れてチャンピオンズリーグの準々決勝で敗退した時点で、目標はスクデット一つになった。確かに気持ちは落ち込んだけど、スクデットのために集中し直したんだ。だから逆に、スクデットを目指す僕たちのモティベーションは上がっていた。ミラノ・ダービーで勝利をモノにした時、全員が口々に言い合ったのさ。『スクデットは絶対に俺たちのものだ!』ってね。そして、そのとおりになったんだ。本当に素晴らしい気分だよ」

ジダは今シーズン、スクデット獲得以外にも、大きな目標を実現させている。ミランでの活躍が評価されて、ついにセレソンの定位置を手に入れたのだ。猫のように俊敏で優雅なセービング、卓越した反射神経、そして、ディフェンスラインのミスを瞬時にカバーする判断力――あらゆる面で最高のGKであることを立証した1年。30歳を過ぎた今、彼はキャリアのピークに到達しようとしている。

カカーとともに、ミラン17度目のスクデットの原動力となったシェフチェンコ。このカンピオーネは、そのパワーと才能のすべてをミランに注入した。

「ミラネッロに初めて足を踏み入れた日から、今までずっと、この日が来るのを夢見ていた。5年間待って、やっと目標を達成できた。今、スクデットはチャンピオンズリーグ優勝よりも美しいものだと感じているんだ」

昨年、チャンピオンズリーグ決勝で最後のPKを決め、ミランにチャンピオンズカップをもたらした男はそう語る。奇しくも、第32節ローマ戦で決勝ゴールを決めて、ミランに5年ぶりのスクデットをプレゼントしたのも彼であった。

「僕のゴールがスクデットをもたらした、なんて表現はやめてくれ。スクデットは全員で勝ち獲ったもの。チーム全体のものなんだ。これだけ多くの素晴らしい選手が集まった今シーズンのミランは、カルチョの歴史に名を残すチームになると信じているよ」

昨シーズンのスランプを見事克服したゴールマシーンは、24ゴールを記録。再び、指定席である得点王のイスを手にしている。

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