本誌記事 WebCALCiO 2002

ピッポ・インザーギの完全復活を多くの人が待ち望んでいる。ミランのカルロ・アンチェロッティ監督は、スクデットとチャンピオンズリーグのダブル制覇に不可欠となるインザーギの復活を心待ちにしており、マルチェッロ・リッピ代表監督は、ドイツW杯への道を平坦にしてくれるピッポ・ゴールの恩恵に浴したいと願っている。2005年は“インザーギ復活の年”となるのだろうか。

04−05シーズン、チャンピオンズリーグのグラスゴー・セルティック戦でゴールを決めたインザーギは、復活の雄叫びを上げたかのように見えた。だが、その直後に、インザーギは、アントワープのマルク・マルテンス医師の執刀により、左足のくるぶしに再びメスを入れたのである。

ピッポのケガに関して、様々な憶測が流れている。かつてマルコ・ファン・バステンが若くして現役生活を断念したように、インザーギもこのまま選手生活を終えるのではないかと危惧する声があるのも事実だ。ただ、すべての憶測を否定するかのように、インザーギは再起への一歩を踏み出そうとしている。2月の中旬にピッチに復帰して、2年前(02−03シーズン)、カンピオナートとカップ戦で30得点を記録してミランを牽引した時の“スーペル・ピッポ”の復活を目論んでいるのだ。

ピッポはこれまでに、大きな手術を2回受けている。1回目の手術は去年の4月、EURO2004でプレーしたいという切実な願いの下、ボローニャのサンドロ・ジャンニーニ教授のメスに運命を託したもの。そして、2回目の手術は関節のケガを根本的に解消しようという意図の下に今回なされたもの。マルテンス教授による手術は、少なくともここまでは成功したかのように見える。苦難の日々を経て、今のインザーギは微笑みを取り戻したのだ。

周囲が、「インザーギは終わった」という目で彼を見る中、彼は必死にリハビリに励んでいる。物理療法とジムでの筋トレ。ミラネッロに戻ったインザーギは、急ピッチでコンディションを取り戻しつつあるのだ。今はまだ、別メニューでのトレーニングに汗を流す日々だが、近いうちに、チーム練習に合流できるはずである。そうすれば、ミニゲームにも参加できるようになるはずだ。

ピッポが希望を失うことはない。「いつかはピッチに戻る」と確信しているかのようであり、復帰への強い思いを前進へのエネルギーとしているかのようでもある。彼は一日も早く戦線に復帰し、エルナン・クレスポからレギュラーポジションを取り戻すことを心に誓っているのである。彼の願いは、まずは自らのゴールでミランをタイトルに導くこと。ミランの一員としてゴールを量産していれば、やがて、リッピ監督からの電話があると確信しているのだ。インザーギの頭の中には、代表でのプレーへの欲望が今もなお渦巻いているのだ。


インザーギは、過去に不本意な形で代表と決別している。トラパットーニ前監督との口論が原因で代表から遠ざかった彼にとって、リッピの代表監督就任は新たな希望であり、新たなモチベーションだと言える。だが、リッピ監督とインザーギの関係は、少なくとも過去においては良好ではなかった。2001年の夏、リッピはインザーギのゴール感覚をさほど評価せず、彼を放出している。ただ、今のリッピは違う。イタリア代表監督となったリッピは、ピッポの得点感覚を高く評価しているのだ。リッピは、くるぶしの手術を終えた直後のインザーギの携帯に「君のことを忘れたわけではない」とのメッセージを送った。それを聞いたインザーギに大きなモチベーションが生まれたことは言うまでもない。

インザーギにとって、代表で再びプレーすることは大きな挑戦である。彼はユーヴェの一員として、さらに、ミランの一員として多くのタイトルを手にした。だが、代表の一員としてはいまだ何も手にしていない。「マーリア・アッズーラを着て何らかのタイトルを勝ち取りたい」という欲望は尽きないものだ。現在の彼はケガという困難に直面している。だが、代表の一員としてタイトルに挑戦することに遅すぎるということはない。来年のW杯は大きなチャンスであると同時に、最後のチャンスなのだ。チャンスをモノにするためには、ゴールを量産した2年前のような“スーペル・ピッポ”であることが求められる。アッズーリFW陣のポジション争いを勝ち抜くためには、絶頂期を上回るほどのスーペル・ピッポであることが求められているのだ。

現在、アッズーリはFW陣の人材には事欠かない。今や新生アッズーリの得点源となったアルベルト・ジラルディーノ、いまだリッピ監督には招集されていないが、爆発力が魅力のクリスティアン・ヴィエリ、さらに、リッピの監督就任と同時に脚光を浴びるようになったルーカ・トーニがピッポのライバルとなる。さらに、アッズーリの常連、フランチェスコ・トッティとアレッサンドロ・デル・ピエロ。それに、アントニオ・カッサーノまで加えたFWリストは膨大なもの。これらのボンバーとのポジション争いを勝ち抜くことは、“並の”インザーギでは不可能だ。“ペナルティエリア内の狙撃手”の異名を取った頃のスーペル・ピッポに戻ることが必要だろう。

ベストコンディションに戻りさえすれば、ピッポが相手守備陣にとって最も厄介な選手になることは間違いない。インザーギほどゴール嗅覚が優れた選手は他にいないのだ。だからこそ、リッピ監督も彼のケガの回復状況を注意深く見つめているのである。


インザーギの現実的な目標は、ミランでのポジション奪回だ。2月23日のマンチェスター・ユナイテッド戦、オールドトラッフォードのピッチに立つことを目指し、必死のリハビリに励んでいるのだ。ピッポにとっては、ロッソネーロのシャツを身につけてピッチに立つことが先決である。アッズーリでのプレーはその先のことなのだ。

ゴールハンターとしてのピッポのすごさは、これまでの実績が如実に物語っている。セリエA通算113ゴール、ヨーロッパのカップ戦で通算48ゴール(あと1ゴールでアルフレード・ディ・ステーファノの記録に並ぶ)という数字はだてではない。評論家や相手チームのDFが最も怖いFWの一人としてピッポ・インザーギの名を挙げるのも無理からぬことなのである。

インザーギの代表復帰プランが明確なものとなるには、来シーズンまで待つ必要があるだろう。代表に復帰してドイツW杯に参加するには、これ以上の足踏みは許されない。ピッポは、ミランでのパフォーマンスを通じて、代表の座を狙うしかないのだ。ミランは、ケガに苦しむインザーギに救いの手を差し伸べた。インザーギとの契約を2009年の6月まで更新するという粋な計らいを見せたのである。新たな契約書にサインしたインザーギは、ミランで現役生活を終えるつもりだと明言した。今年から来年にかけて、スーペル・ピッポの逆襲が始まる。ミランのスクデットとアッズーリでのポジション奪回に向けて、ピッポは相手ゴール前で危険な動きを見せるのだ。

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